暴風による被害で施設から3頭のサーバルが脱走、現在も行方不明
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 アメリカ・ペンシルベニア州で発生した嵐が、野生動物保護施設に深刻な被害を与えた。なぎ倒れた木がサーバルの囲いを直撃し、2025年11月6日の朝、施設で保護されていた3頭が逃げ出してしまったのである。

 3頭はいずれも高齢で、長年施設で人と暮らしてきた飼育個体のため、野外で自力で生き抜くのは難しいとみられている。

 施設は周辺住民に協力を求めながら捜索を続けているが、依然として行方は分かっていない。

嵐の被害で施設の囲いが破損し、3頭のサーバルが姿を消す

 2025年11月5日の夜、ペンシルベニア州東部では最大時速75kmに達する暴風が吹き荒れ、多くの地域で停電や倒木が発生した。

 バークス郡にあるクリケット野生動物リハビリ施設「クリケット・ワイルドライフ・リハビリテーション・センター[https://cricketwildlife.com/]」も被害を受けた。

 翌6日の朝、スタッフが施設全体を点検した際、サーバルの飼育区画の囲いが倒れた木に押し潰されて大きく破壊されているのが確認された。

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 飼育区画の中に3頭の姿がなく、すでに外へ出てしまっていたことが明らかになった。

 この3頭は、施設が以前行っていた野生のネコ科動物の救護活動で保護され、その後も長く世話されてきた、施設にいた最後のサーバルである。

 なお、他の動物たちはすべて無事に確認されているという。

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3頭はいずれも高齢で、野外生活に不向き

 逃げ出した3頭はいずれもアフリカ原産の中型ネコ科動物サーバルで、年齢は10~12歳前後。

 逃げ出した3頭はいずれも保護個体で、長年施設で飼育されており、野生での狩りの経験はなく、自力で餌を確保する能力は低い。

 施設のオーナーであるメリッサ・デスカントさんによれば、1頭は人懐っこく「撫でられるのが好きな甘えん坊」で、残る2頭は「臆病で森に隠れるタイプ」だという。 

 国際自然保護連合(IUCN)はサーバルを“軽度懸念(LC)”に分類しており絶滅危惧種ではないが、生息地が減少している地域もある。

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サーバルとは?

 サーバルはアフリカのサバンナや湿地帯に生息するネコ科で体重は約9kg、体高は50cmほどで、四肢が長くしなやかな体型をしている。

 金色の体に黒い斑点と縞模様を持ち、長い脚と大きな耳が特徴だ。脚の長さは体高の半分以上を占め、ネコ科の中でも最も脚が長いとされる。

 この体型は草原で獲物を探すのに理想的で、優れた聴覚を生かして地中に潜むネズミの動きを察知し、垂直に3m近く跳び上がって仕留めることもある。

 主食はネズミや鳥、カエルなどの小動物で、ときに昆虫や魚も捕らえる。

 性格は臆病で単独行動を好み、人間を攻撃することはほとんどない。野生では夜行性で、昼間は草むらや岩陰に身を隠して過ごす。

 寿命は野生で10年ほど、飼育下では15~20年に達することもある。寒さには弱く、体温調節が苦手なため、温暖な環境を好む。

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移動範囲の広さが捜索を難しくする

 デスカントさんは「3頭は普段から暖房完備の寝床で生活しており、寒さには強くない」と述べている。

 アフリカ原産のサーバルは気温の低下に弱く、特に冬が近づく時期には体力消耗が大きな負担となる。

 ペンシルベニア州では冬の寒さが厳しいため、一刻も早い救助が必要だ。

 それに加えてサーバルの移動能力の高さも捜査を難しくさせている。

 他の地域でサーバルが逃走した例では約30マイル(約48km)離れた場所で発見されたケースもあり、今回の3頭がどの方向へ、どの程度移動しているかは予測がつかない。

 森林地帯に身を隠している可能性が高いものの、確実な判断は難しいという。

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危険性は低く、施設と住民が連携して捜索が続く

 デスカントさんは「3頭は家猫や子どもと共に育ってきました。

私たちにとっては家族のような存在です」と説明し、「見かけても近づかず、傷つけず、どうか連絡をください」と呼びかけている。 

 施設は破損した囲いの修繕作業を進めながら、周辺住民と協力して捜索を続けている。現時点では目撃情報は寄せられておらず、3頭の行方は依然として分かっていない。

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 サーバルの体の色は落ち葉や枯れ木に紛れ込むとわかりづらいのも捜査を難しくさせているかもしれない。

 私もペンシルベニア州に住んでいたのだが冬の寒さが厳しい場所なので、寒さに耐えられるかどうかも心配だし、他の野生動物に狙われる心配もある。

 一刻も早い救助を心から願っている。人懐っこいサーバルとか、出会えたらそれだけでご褒美のようなものだ。現地にいって捜査隊に加わりたいくらい。

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