アメリカ・メイン州の大規模医療システムが、生存している患者に「死亡通知」を送付するという前代未聞のミスを起こした。531人の患者が、自分自身に向けたお悔やみの手紙を受け取ることになったのだ。
医療記録上では誰も死亡扱いにはなっていなかったが、手紙の内容には遺族向けの手続き案内まで含まれていた。原因は手紙を自動生成するコンピュータシステムのエラーだったことが明らかとなった。
自分の死亡通知書を受け取った患者は、さぞかし驚いたことだろう。
生きている人に「死亡通知」を誤送付
この驚きの送付ミスをやらかしたのは、メイン州とニューハンプシャー州の病院や診療所の情報を統括管理している非営利の大規模医療システム「メインヘルス」である。
メインヘルスは、医療機関の患者情報をもとに書簡を自動生成するシステムを運用しているが、エラーによって531人の生存している患者本人に死亡通知の手紙が誤って送付された。
手紙の文面には、遺族が遺産を整理する方法など、通常は死亡者の家族に送られる内容が含まれていた。
メインヘルスの広報担当者は、ABCニュース[https://abcnews.go.com/Health/maine-health-system-accidentally-sends-letters-500-patients/story?id=127128215]の取材に対し「遺産関連の書簡を自動生成するコンピュータシステムの不具合が原因だった」と説明している。
医療記録上は生存。全員に謝罪
担当者によると、患者の医療記録上では誰一人として死亡扱いにはなっていなかったという。
この問題はすでに修正され、影響を受けた全員に正式な謝罪文が送付されたという。
メインヘルスは声明で「このたびの誤送付を深くお詫び申し上げます。患者様の記録は正確に保たれており、問題は完全に解決しています」と発表した。
アイダホ州でも起きた同様の誤送付
こうした「生存者への死亡通知」は今回が初めてではない。
2021年1月、アメリカ・アイダホ州の医療機関「セイント・アルフォンソス」でも、サイバー攻撃の影響で一部の患者に誤って死亡通知が送られる出来事があった。
地元局KIVI-TV[https://www.kivitv.com/news/treasure-valley-residents-receiving-letters-from-saint-alphonsus-saying-they-are-dead]によると、原因は文書の宛名設定を誤ったことで、正しい宛先情報が反映されないまま通知が印刷されてしまったという。
本来は「患者の個人情報が外部に流出した可能性がある」と知らせるお詫びの通知を送る予定だったが、システムの設定ミスにより、誤って死亡通知の文書が生成されてしまったのだ。
セイント・アルフォンソスは「患者の医療記録上では全員が生存者として正しく登録されている」と説明している。
医療現場のデジタル化が招く思わぬトラブル
今回の誤送付は、医療現場のデジタル化が進む中で起きた典型的なシステムトラブルといえる。
大量のデータを自動処理する仕組みが整う一方で、設定や連携のわずかな不具合が深刻な混乱を招くこともある。
メインヘルスは再発防止のため、システムの管理体制を全面的に見直しているというが、病気を患っている患者が死亡通知を受け取るとか不吉でしかない。
いつかは誰でも終わりを迎えるのだが、生きているうちにお悔やみ申し上げられたら、ついにお迎えがきちゃってる?と心配になっちゃうよね。
もし誤送付されるなら幸せな内容であってほしいな。「あなたは元気に100歳を迎える運命にあります」とかさ。
References: Abcnews.go.com[https://abcnews.go.com/Health/maine-health-system-accidentally-sends-letters-500-patients/story?id=127128215]











