アイルランド西部の森で「ライオンがうろついている」という通報が相次ぎ、地元が一時騒然となった。
SNSに投稿された動画には、ライオンのようなたてがみを持つ動物が森を歩く大型動物の姿が映っていた。
警察で調査が進められた結果ついにその動物が保護された。見つかったのはライオンではなく、毛を「ライオン」のように大胆にカットされた大型犬のニューファンドランドだったのだ。
この犬は「マウス」という名の飼い犬で、無事飼い主の元に戻された。
森に“ライオン”が現れた?警察が通報を受けて出動
2025年10月29日、アイルランド西部クレア州のマウントシャノン近郊の森に「ライオンのような動物がうろついている」との通報がアイルランド警察に入り、キラルー署が調査を開始した
通報のきっかけはSNSに投稿された、車内から撮影したと思われる動画だった。
映像には、金褐色のたてがみを思わせる毛をまとった大型の動物が木々の間を歩く様子が映っており、閲覧者のあいだで「まるでライオンみたいだ」と話題になっていた。
正体はペットのニューファンドランド犬
警察の調べで、その正体すぐに判明した。この動物は大型犬のニューファンドランドで、飼い犬であることが判明した。
名前はマウスといい、とても穏やかな性格だ。
マウスは厚い被毛が大胆にカットされており、首まわりとしっぽの先端の毛だけがふさふさと残っていた。
この姿が、遠目にはライオンのたてがみのように見えたのだ。
また、首輪をしていなかったため、一見すると野生動物のようにも見える。
警察はXに発見したマウスの写真を投稿し「もし今日森に行くなら、見つかるのはライオンではなく、人懐っこいニューファンドランド犬かもしれません」とユーモラスにコメントを添えた。
日本では「首輪をしていない犬=放し飼い」という印象を持たれがちだが、アイルランドの地方では少し事情が異なる。
広い敷地や田舎道では、穏やかな性格の犬をリードなしで歩かせる飼育スタイルが一部で見られる。
特にニューファンドランドのような大型犬はおとなしいため、1匹で近くの森に散歩させることもある。
マウスが散歩中だったのか、あるいは家から抜け出して森の探索をしていたのかはわからないが、保護された後はすぐに飼い主の元へ戻された。
ニューファンドランドはカナダのニューファンドランド島原産の犬種で、体重は50~70kgに達することもある。
厚い二重の被毛を持ち、寒冷な海でも泳げるほどの耐水性がある。もともとは漁師を手伝う作業犬で、海に落ちた人を救助するほどの泳力と力強さを持つ。
性格は温厚で人懐こく、子どもにも優しく接するため、家庭犬としても人気が高い。
ニューファンドランドの毛刈りに関して注意喚起
このライオン出没騒動のあと、北アイルランド動物虐待防止協会(USPCA)の運営部長、シボーン・マカフィー氏は、この犬種の適切な毛の手入れについて注意を促した
マカフィー氏は「医療的な理由がない限り、ニューファンドランドの被毛を剃ることは推奨されていません」と説明する。
この犬種の厚い二重の被毛は体温の調整と皮膚の保護に重要な役割を果たしており、剃ってしまうと日焼けや熱中症などの健康被害を引き起こすおそれがあるという。
マカフィー氏は「マウスがなぜこのようにトリミングされていたのかは不明ですが、動物は常に身体的・精神的な健康を最優先にケアされるべきです」と呼びかけた。
マウスはけがもなく安全に保護され、飼い主のもとに無事戻され、警察や地元の人々は、恐怖よりも安堵と笑いに包まれた。
動物福祉団体USPCAは「マウスが安全に保護され、“ライオン”ではなかったことをうれしく思う」とコメントを発表している。
References: Irishpost[https://www.irishpost.com/news/the-lion-of-co-clare-that-caused-chaos-online-finally-unmasked-300337]











