巨大カボチャ vs 廃車寸前の車、耐久勝負の結末は?
image credit:<a href="https://www.abc4.com/news/everything-utah/hee-haw-farms-giant-pumpkin-drop/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Jason Robison/via abc4</a>

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 34年乗った小さな愛車の上に、手塩にかけた巨大カボチャを落とす。そんな耐久勝負で愛車と別れを告げた男性の映像が話題だ。

 アメリカでは秋はカボチャのシーズンだ。ハロウィンで飾られる以外にも、巨大さを競うコンテストや盛大に割られるイベントがある。

 農家のアランさんは今シーズン、自作のカボチャを使い愛車に別れを告げた。

 なんと愛車に、コンテストで優勝した重さ870kgのカボチャを落として廃車にしたのだ。シュールかつ衝撃的な破壊シーンとその背景をお伝えしよう。

一体なぜ?自作の巨大カボチャで愛車を潰した男性

 この光景は、2025年10月26日アメリカ・ユタ州プレザントグローブにある観光農園ヒーホーファームでとらえられたもの。この様子はfox13newsのfacebook[https://www.facebook.com/fox13newsutah/videos/big-pumpkin-vs-little-car-who-do-you-think-wins-alan-gebert-put-that-to-the-test/1184164993583509/]でも取り上げられている。

 同園の人気イベント 「巨大カボチャ落とし(Pumpkin Drop)」の一環だが、実はある農家の男性が決行した愛車との別れの儀式でもあった。

 クレーンに吊り下げられた巨大なカボチャが落下して、小型車を直撃。車は無残につぶれ、カボチャも割れてめちゃくちゃだ。

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 なんともシュールな光景だが、つぶれた車は地元のカボチャ農家のアラン・ゲバートさんの愛車。そのニックネームは「フロスティ」だ。

 そして潰したカボチャもまた、アランさんが育てたもので、巨大カボチャコンテストで優勝したものだという。

アメリカのハロウィーンシーズンはカボチャの“お祭り騒ぎ”

 ハロウィーン(毎年10月31日)シーズンのアメリカでは、いたるところでカボチャを目にする。

 カボチャで作る飾り、ジャック・オー・ランタン[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3]のみならず、巨大カボチャの重量コンテストや、カボチャを投げて割るような“お祭り騒ぎ”が各地で繰り広げられる。

 巨大カボチャコンテストは、主にハロウィーンに先駆け、収穫を兼ねる形で開催される。栽培者が数百kgから1トンほどに育ったカボチャを会場に持ち込んで重量を競うのだ。

 優勝した巨大カボチャは展示されるが、後に余興として盛大に破壊される。

 途方もなく大きいため、割ること自体がショーとなり、割れたカボチャの種を希望者に配ることもあるもよう。

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 ついでにいえば、ジャック・オー・ランタンになったカボチャも、ハロウィーン当日にはいたずらで投げられたり割られたりする。

 翌日に飾りの役目を終えたジャック・オー・ランタンが壊され、ごみ集積場に大量に持ち込まれたりするのも毎年のことだ。

 なお、ハロウィーンでよく使われるオレンジ色の「パンプキン」はペポカボチャで観賞用や加工用。

 コンテストに出品される巨大に育つカボチャは主に「アトランティック・ジャイアント(Atlantic Giant)[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%88]」と呼ばれるカボチャで、いずれも食用向けではなく、後者は家畜の飼料やたい肥にされることが多いそう。

870kgの巨大カボチャで愛車を廃車にする計画

 さてこのほど衝撃的な形で愛車と別れたアラン・ゲバートさんは、巨大カボチャを趣味で育てていた。

 今年、彼が育てて収穫したカボチャは重さ870kgにもなり、ユタ・ジャイアント・パンプキン・フェスティバルの計量で見事1位となった。

 ところが、その栄えある優勝カボチャは、まもなくクレーンに吊るされ、落とされるという過酷な運命をたどる。

 実はアランさん、自ら育てた巨大カボチャを長年乗ってきた愛車に落として廃車にする計画を立てていた。

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 なんとも突飛な計画だが、思いつきではなく考えた末のことだという。

 フロスティの正式名は1991年製 ジオ・メトロ(Geo Metro)。妻ジルさんとも長い間乗り続けた車だが、さすがに古くなり、動かなくなってきたころに、この方法を考えるようになったという。

”一番ふさわしい終わり”が実現

 そして当日。重大な任務を負った優勝カボチャは、ヒーホーファームに運ばれ、クレーンで高さ42mまで釣り上げられた。

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 その後まもなく下のフロスティめがけて…

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 落下!

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 盛大に割れ、黄色い果肉があたりに飛び散る。フロスティも無残なもので、ガラスも割れてぺしゃんこに。その迫力に観客もくぎ付けだ。

 このイベントを終えアランさんはこう語る。

ずっと妻と話してきたことなんだ。これが一番ふさわしい終わり方だと思ってた。とうとう実現したから、ちょっと楽しかったよ

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長年アランさんと家族を支えたフロスティ

 かくして廃車となったフロスティは、34年の生涯で走行距離約333,000 km(207,000マイル)を刻み、アランさんと家族の暮らしを支え続けた。

 古くはサウスカロライナ州で片道160 km以上の通勤をこなし、アランさんがオクラホマ州ヴァリアントで働いていたときも、その後ユタ州立大学で修士号を取得し、印刷会社でプロジェクトマネージャーやプログラマーとして働いていた日々も共に過ごした。

 フロスティをよく知り、この出来事をSNSに投稿したジルさんも「当時7000ドル(現在のレートで100万円ほど)で買った車がこんなに長持ちするなんて!」と、感謝を込めてこう振り返る。

フロスティは見ためこそ冴えないけど、本当に頼れるチャンピオンだったの

 雪道では苦戦することもあったが、駐車場では小型で便利なため、生活に欠かせない存在だった。

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 愛着があるだけに、ただ機械的にスクラップにするよりは、うちの巨大カボチャで…って気持ちなのだろう。フロスティへのやさしさがうかがえる彼女の投稿には45万件ものいいねがついている。

地域活性化に貢献、収益はチャリティーにも

 なおヒーホーファームの巨大カボチャ落としは、「秋の風物詩」として有名で、毎年数千人が訪れるほど。地域活性化にも役立っている。

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 さらにこのイベントの収益はチャリティーに充てられたりと、観客を楽しませるだけでなく、いろんな意味で役立つため、最善の選択だったといえそうだ。

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 こうしたイベントは、各地で行われており、2025年9月末にコネチカット州 ダーラムのイベント会場で開催されたカボチャ落としの様子は再生数10万回を超えている。

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カボチャを飛ばすイベントも

 一方そのころ、ユタ州北部ノースローガンでは、ユタ州立大学の工学プログラム主催の毎年恒例「パンプキントス」が開催された。

 その競技は、自作の”投石機”でカボチャを飛ばし、距離や命中精度を競うというもの。以下は2023年のパンプキントスの様子だ。

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 今年は約340 kg(750ポンド)のカボチャがミニバンの屋根をかすめてへこみを残す瞬間も垣間見えたそう。

 これも一種の収穫祭、いわゆるカボチャ祭り、みたいなものなんだろうか。ストレス発散とかになるのかな。

追記(2025/11/17) レートと書くところを誤ってルートと書いてしまいました。訂正して再送します。

References: Fox13now[https://www.fox13now.com/news/local-news/northern-utah/nearly-2-000-pound-pumpkin-crushes-car-in-spectacular-finale-to-35-year-journey] / Neatorama[https://www.neatorama.com/2025/11/02/Big-Pumpkin-vs-Little-Car-Both-Smashed-Up-Real-Good/]

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