ギザの三大ピラミッドの1つに空洞を発見。隠された第2の入口がある可能性
メンカウラー王のピラミッド Image by Istock <a href="https://www.istockphoto.com/jp/portfolio/DiegoFiore?mediatype=photography" target="_blank">Stock Photos 2000</a>

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  エジプトのギザ台地にそびえる三大ピラミッドの1つ、メンカウラー王のピラミッドの内部で、新たな発見があった。

 エジプトとドイツの共同研究チームが3年間にわたる調査で、東側の壁の裏に2つの空洞があることを確認したのだ。

 この部分は磨かれた石が集中しており、既知の北側の入口と似た仕上げが施されている。

 研究チームは、この空洞が封印された「第2の入口」である可能性があるとみている。

この研究成果は『NDT & E International[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S096386952500012X]』誌(2025年10月号)に発表された。

ピラミッド東側の壁の奥に2つの空洞、第2の入口か?

 エジプト・カイロ大学とドイツ・ミュンヘン工科大学の研究チームは、ギザの三大ピラミッドの1つ、メンカウラー王のピラミッド[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%82%A6%E3%83%A9%E3%83%BC%E7%8E%8B%E3%81%AE%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89]の東側壁面を対象に、電気抵抗測定、地中レーダー、超音波探査を組み合わせた非破壊検査を行った。

 調査は3年間にわたって続けられ、その結果、石灰岩の表面から約1.1mと1.4m奥に2つの空洞があることを確認した。

 チームは、これらの空洞が偶然の亀裂や空間ではなく、当初から設計された構造である可能性を示唆している。

 考古学者たちは古くから、ピラミッドの東側の一部が異常に滑らかに磨かれていることに注目していた。

 その範囲は高さ約4m、幅約6mに及び、北側の入口部分と同じように丁寧に仕上げられている。

 研究チームは「このように研磨された石は、現在知られている北側の入口部分以外では確認されていない」と指摘しており、東側の磨かれた石の一帯が第2の入口を覆っている可能性があるという。

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メンカウラー王のピラミッドとは

 メンカウラー王のピラミッドは、紀元前2490年ごろ、第4王朝のファラオであるメンカウラー王のために建造された。

 もとの高さは65.5m(現在の高さは62m)で、三大ピラミッドの中では最も小さいが、その造形には独自の特徴がある。

 下部は赤みを帯びた花崗岩で覆われ、上部は白い石灰岩で仕上げられている。

 この二層構造は他のピラミッドには見られない美的工夫であり、王の威厳と神聖性を象徴するものとされている。

 内部には玄室(王の棺を収めた部屋)と副室があり、19世紀にイギリスの探検家ハワード・ヴァイズが棺を発見したが、後に海難事故で失われたと伝えられている。

 こうした背景から、メンカウラー王のピラミッドは小型ながらも構造的・装飾的に高度な建築物とされており、今回の空洞発見が建設技術や内部設計の理解をさらに深める可能性がある。

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2019年に提唱された「第2の入口」説が再注目

 実は2019年、オランダの独立研究者ステイン・ファン・デン・ホーフェン氏は、このピラミッドに第2の入口があるという仮説を初めて唱えていた。

 ホーフェン氏は学術サイト「Academia.edu[https://www.academia.edu/89378315/Hypothesis_The_possible_second_entrance_into_the_Menkaure_pyramid]」やYoutube動画で、東側の磨かれた石の配置に着目し、「隠された入口が存在する可能性」を指摘していた。

 当時は裏付けがなく注目されなかったが、今回の研究結果によってその信頼性が高まった。

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ピラミッド入口は通常北側、封印された入口なのか?

 古王国時代(紀元前26~22世紀)に建てられたピラミッドでは、入口は北側に設けられるのが一般的だという。

 そのため東側に空洞があるという結果は、従来の設計思想とは異なる新たな試み、あるいは意図的に設けられた可能性がある。

 ギザの三大ピラミッドの中で最も小さいメンカウラー王のピラミッドは、これまで「地味な存在」とみなされてきたが、今回の発見は、古代エジプトの建築技術がまだ解明しきれていないことを改めて示している。

 今後さらに詳細な探査が行われれば、このピラミッドの内部構造だけでなく、ピラミッド全体の設計思想や信仰の理解が大きく進むかもしれない。

References: Sciencedirect[https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S096386952500012X] / TUM[https://www.tum.de/en/news-and-events/all-news/press-releases/details/detection-of-air-filled-anomalies-in-menkaure-pyramid-could-indicate-new-entrance]

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