でかっ!ロケットでかっ!ってなるニューグレンの地上輸送映像
大型ロケット「ニューグレン」の第1段ブースター Image credit:r/megalophobia

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 アメリカの宇宙企業ブルーオリジンが開発した大型ロケット「ニューグレン」のパーツを運搬する映像が、SNSで大きな注目を集めている。

 高速道路をほぼ覆い尽くすほどの巨大なロケット部品がゆっくりと進む姿は、目の錯覚を疑うレベル。

すぐそばを走るトラックがミニカーのように見えてしまい、現実感が揺らいでいく。

 もしも自分が車を運転中に遭遇したら、2度見どころの騒ぎじゃないけど、実際にこのスケール感をリアルで味わってみたい。

自由の女神より高い大型ロケット「ニューグレン」

 今回運搬が目撃されたのは、通販大手「Amazon」の設立者であるジェフ・ベゾスが設立した航空宇宙企業「ブルーオリジン」社が開発した大型ロケット「ニューグレン[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%83%AC%E3%83%B3]」の一部だ。

 ニューグレンは全長約98m、直径7mの2段式ロケットで、自由の女神像(全高93m)を上回るほどの大きさだ。

 名前はアメリカで初めて地球周回軌道に到達した宇宙飛行士ジョン・グレン氏に由来する。

 ニューグレンは人工衛星や探査機を軌道へ送り出すために設計されたロケットで、第1段には液化天然ガスと液体酸素を燃料とするBE-4エンジンが7基搭載される。

 第1段ブースターは垂直着陸による再使用を前提としており、最大25回の打ち上げに耐えられるとされる。第2段には真空環境向けに最適化されたBE-3Uエンジンが2基備えられ、いずれもブルーオリジンが手掛けたエンジンだ。

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90t級の巨大パーツが道路をゆく迫力

 運搬していたのは、ニューグレンの第1段ブースターとみられている。

 エンジン本体はまだ取り付けられておらず、外装とエンジンマウント部のみの状態だが、それでも約90t級の重量がある。

 ニューグレン全体では1800tを超える巨大ロケットだが、その構造体の一部分だけでもアメリカの高速道路を覆いつくすほどの大きさだ。

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 多車軸の特大トレーラーが未来的構造物を進んでいく様子は、日常の風景が一変し、突然SFの世界に引きずり込まれたかのようで、驚きと衝撃と、ちょっとしたワクワク感がある。

 BGMは宇宙戦艦ヤマトのテーマ曲[https://www.youtube.com/watch?v=DJGlWwZtsMo]でお願いしたいものだ。

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2回目の飛行で初のブースター回収成功

 ニューグレンは2025年1月に初めて宇宙へ飛び立ち、2段目の軌道投入には成功したものの、第1段ブースターの回収には失敗している。

だがブルーオリジンはそこで歩みを止めず、改良作業を重ねてきた。

 そして2025年11月13日、ニューグレンはついに2回目の打ち上げに成功し、NASAの火星探査ミッション「ESCAPADE」の2機の探査機を宇宙へ送り出した。

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 打ち上げ自体は天候不良や強い太陽嵐の影響で数日間延期されたが、フロリダ州ケープカナベラル宇宙軍基地から力強く上昇し、順調に飛行を続けた。

 今回最大の成果は、探査機の投入だけではない。第1段ブースターが分離後に大西洋上へ降下し、ブルーオリジンの回収船「ジャクリン」へ垂直着陸することに成功した点だ。

 これはブルーオリジンにとって初の軌道級ブースター回収であり、同社のロケット再使用技術が大きな節目を迎えた瞬間でもある。

 社員たちは着陸映像を見守りながら歓声を上げ、創業者ジェフ・ベゾス氏も管制室で興奮気味に様子を見つめていた。

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 打ち上げから約20分後には、上段からESCAPADEの2機が計画通りのタイミングで分離し、任務は順調に進んでいる。

 探査機は地球から約150万km離れたラグランジュ点2へ向かい、しばらく待機した後、地球の引力を使ったスイングバイで火星へと向かう計画だ。

 火星への到達は2027年の予定で、大気がどのように失われたのか、太陽風がどれほど影響しているかなど、火星の環境進化に関わる観測が進められる。

追記(2025/11/15)本文のロケットのパーツの説明を訂正して再送します。

References: Futurism[https://futurism.com/space/huge-rocket-highway] / Theguardian[https://www.theguardian.com/science/2025/nov/13/jeff-bezos-blue-origin-nasa-spacecraft-new-glenn-mars]

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