人間まだまだ捨てたもんじゃない。そこに困っている者がいれば、見知らぬ人同士が団結し、なんとか助けようと救いの手を差し伸べただ。
南米コロンビアで、あやまって水路に落ちてしまった犬を救うために、通りがかった人々が互いに手を取り合い、人間の鎖を作って救出したのだ。
ちょうどその時、現場を通りかかった男性はこの様子を撮影し、SNSに投稿した。
ためらうことなく咄嗟に行動を起こした人々のやさしさと連携は、どんな時代にも消えることのない、人間の本能にある優しさの証だ。
水路に落ちた犬を前に、多くの人が集まる
2025年11月10日、コロンビアの首都ボゴタにあるエル・ティンタル地区で、一匹の犬が誤ってコンクリートの運河に落ちる事故が起きた。
ちょうどそのとき、近くを愛犬と散歩していたニコラス・ガジャルドさんは、遠くから人々の騒ぎ声を耳にした。多くの人々が水路の上に集まり、水面をのぞき込んでいるのだ。
近づいていったところ、ガジャルドさんは、すぐに何が起きているのかを理解した。
犬が水路のコンクリートの土手から滑り落ちてしまったのだ。土手の斜面は非常に急で、人間でもそこを上るのは困難だ。
人と人が手をつなぎあい、人間の鎖を作って救助
犬は水の中で必死に体を支えていたが、斜面が急すぎて自力では戻れない。すると、その場にいた人々がすぐに行動を起こした。
彼らは手を繋ぎあって列を作り、互いが支えになるようにして「人間の鎖」を作ったのだ。
一番下に位置した人物が犬に手を伸ばし、列の上側にいる人たちがその体を支えながら引き上げようとする。
見知らぬ人どうしたが、その心は一つとなり、同じ目的へ向かっていった。
ガジャルドさんは反対側の岸にいたため救助には加わることができなかったが、スマートフォンでその様子を撮影した。
「私は向こう岸にいたので何もできませんでした。だから、この感動の瞬間を残すことにしたのです」と彼は語った。
犬は無事救助され、飼い主のもとへ
人々が力を合わせた結果、犬は無事に水路の上へと引き上げられた。幸いケガもなかった。犬は近所では顔見知りの犬で、すぐに近くに住む飼い主のもとへ戻された。
コロンビアでは、飼い主がいても犬が家の外に出て自由に歩き回ることがあるため、仲間の犬と遊んでいる間に落ちてしまったのかもしれない。
ガジャルドさんは救助の様子をSNSに投稿し、スペイン語で「Ejemplo de la unión hace la fuerza(団結は力なり)」と記した。
動画は瞬く間に拡散し、多くの人々から称賛の声が寄せられた。「人間への信頼を取り戻した」「こういう人たちがもっと必要だ」など、温かいコメントが相次いだ。
まだまだ人間捨てたもんじゃない。困っている者が目の前にいたら、見知らぬ者同士が協力し、力を合わせることができるのだ。











