イギリスに設置された、AI生成の巨大看板広告が地獄絵図。クトゥルフ降臨と話題に
すべてAIで生成された巨大看板の一部 @mattthr.bsky.social

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 街中がきらびやかなイルミネーションに包まれるクリスマスの季節がやってきた。この年末の風物詩に心が沸き立つ人も多いだろう。

ところが、イギリスのロンドン郊外にある町では少し状況が異なるようだ。

 レストランの建物の上に掲げられた巨大なクリスマス広告が、道行く人々を恐怖と困惑の渦に巻き込んでいる。

 すべてAIによって生成されたその絵には、異界から現れたかのような怪物たちの姿であふれていたのだ。

 顔が溶けた人々、体が融合した犬、頬に目を持つ雪だるまなどが描かれており、そのラヴクラフト的な恐怖の世界は、「AIがクトゥルフを召喚した」としてネット上で話題になっている。

楽しいはずのクリスマスの様子が地獄絵図に

 ロンドン近郊のキングストン・アポン・テムズにある遊歩道は、地元のお店が立ち並ぶ人気エリアだ。

 しかし現在、この場所を訪れる人々は、通りの一角にあるレストラン「コート・ブラッセリー(Côte Brasserie)」の建物の上に掲げられた巨大な広告看板に釘付けになっている。

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 残念ながら、それは感嘆の意味ではない。看板にはクリスマスの賑やかな群衆が描かれているのだが、その描写が明らかに異常なのだ。

 AI(人工知能)で生成されたとみられるこの絵には、恐ろしく変形した人々や動物たちがひしめき合っている。

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 本来なら賑やかで温かみのあるクリスマスの風景を描くはずだったが、完成した絵はまるで別世界だった。

 人々の顔は判別できないほど歪み、腕や脚の数も合わない。犬のような体が人間と混ざり合い、雪だるまの頬には目玉が描かれている。地元の人々は立ち止まり、恐怖におののいた。

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クトゥルフ降臨?困惑する住民たちとネットの反応

 この巨大看板を見た 通行人がSNSに写真を投稿すると、たちまち話題となった。

 ジャーナリストのマット・スロワー氏は、SNSのBluesky[https://bsky.app/profile/mattthr.bsky.social/post/3m5vhalmvls22]で次のように冗談を飛ばした。

この看板は表向きはクリスマスのために掲げられたものだ。しかしAIのおかげで、実際には我らが闇の帝王クトゥルフの復活を祝うものになってしまった

 クトゥルフとは、アメリカの作家、ハワード・フィリップス・ラヴクラフト(1890年8月20日 – 1937年3月15日)が創作した神話に登場する、タコのような頭部を持つ架空の邪神のことだ。

 ラヴクラフトが生み出した怪神や異次元の存在を含む神話体系は「クトゥルフ神話」と呼ばれ、現在も世界中に熱狂的なファンがいる。

 「Reddit[https://www.reddit.com/r/london/comments/1ozk1jl/scenes_of_lovecraftian_horror_at_kingstons/?]」でも「ラヴクラフト的恐怖の光景」というスレッドが立ち、「どうしてこの惨状が許可されたのか」」「これ全体で30mもあるのか」「頬に目玉がある雪だるまなんて悪夢だ」「印刷前に誰も確認しなかったのか」などのコメントが相次いだ。

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悪夢の看板はもう1つあった

 さらに悪いことに、看板はこれ一つだけではないようだ。

 ソフトウェア開発者のスティーブン・オークマン氏は、現場を確認しに行った感想をBluesky[https://bsky.app/profile/stephenoakman.bsky.social/post/3m5w4iqrkf22x]に投稿した。

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自分自身の目で確かめる必要があったが、神よ、想像以上にひどい。隣にもう一つ別の看板があり、それはこれよりもさらに悪夢だ

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 現代の技術とは思えない低クオリティ

 看板を近くで見ると、「ラヴクラフト的恐怖」の深きものども[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B7%B1%E3%81%8D%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%A9%E3%82%82]の正体がより鮮明になる。人間の顔は原型をとどめないほど歪んでおり、余分な手足が生えている者もいる。

 犬と思われる動物の体は、人間の姿と恐ろしく融合してしまっており、ハッピーなホリデーとは程遠い光景である。

 現代の画像生成AIは、大きな進歩を遂げており、人間の顔や手の形を比較的正確に描くことができるが、この広告ではそれらが完全に崩れていた。

 おそらくは、古いAIツールで作られた可能性が高いわけだが、なぜそれをチェックすることなく、公共の場に堂々と展示されているのだろう?

 いったい誰がこの看板を発注し、展示したのかは完全には明らかになっていない。

一説によると、この看板を設置したのはテナントのレストランではなく、建物の家主だとの話もある。

 あるBlueskyユーザー[https://bsky.app/profile/djburges.bsky.social/post/3m5visiqfzk2d]はこの絵を「完全なAIスロップ(AIによるゴミ)」と断じながらも、「私は新しいAIロボットであるクトゥルフの支配者を歓迎する」と皮肉を込めて書き込んだ。

 2025年10月に発表された調査[https://graphite.io/five-percent/more-articles-are-now-created-by-ai-than-humans]によると、インターネット上のコンテンツの50%以上がAIによる生成物になっているというデータもある。

 今回の件は、そうしたデジタル世界のゴミが、現実世界の祝祭さえも侵食し始めている兆候なのかもしれない。

References: Reddit[https://www.reddit.com/r/london/comments/1ozk1jl/scenes_of_lovecraftian_horror_at_kingstons/?] / BSKY[https://bsky.app/profile/stephenoakman.bsky.social/post/3m5w4iqrkf22x] / Futurism[https://futurism.com/artificial-intelligence/christmas-mural-ai]

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