消防署にやってきた迷子犬、事故でケガをしたことがきっかけで正式に署員となる
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 アメリカ・テキサス州にある消防署に、ある日、1匹の犬が迷い込んで来た。首輪など身元を示すものはなく、犬はそのまま署内に居ついた。

 犬は毎日隊員たちに寄り添い、いつの間にか署内に癒しを与えてくれる、かけがえのない存在となっていった。

 だがある日のこと、犬は交通事故に遭って大ケガを負ってしまう。だが手術をするには、法的な所有者の許可がいる

 隊員たちはこのことがきっかけで、飼い主を探し出したのだが、正式に癒し担当の消防署員として犬を迎え入れた。と、かいつまんで書いたが、ここに至るまでの長い道のりとストーリーを是非読んでほしい。

ある日突然、消防署に迷い込んで来た犬

 2025年9月、テキサス州モンゴメリー郡消防局(ESD 9)の81分署の建物に、1匹の犬がふらりと姿を現した。そして署内を見回すと、そのまま座り込んでしまった。

 署員たちは、犬に水と食事の残り物を与えて様子を見守った。茶色と白の斑が入ったその犬は、首輪はつけていなかったが、野良犬とも思えなかったという。

 頭が常に片側に傾いているように見えたので、消防士たちの中には、「聴覚に問題があるのでは?」という者もいた。

最初のうちは、そのうちどこかへ戻っていくか、飼い主が探しに来るだろうと思っていました。でも、それは起きませんでした

 消防署長のレイモンド・フラネリーさんは、その時の様子をこのように語っている。犬はその後数日にわたって、81分署の周辺で過ごしていた。

 何度か森に探検に出かけることもあったが、必ず81分署に戻ってきたという。

そのうちに署員たちも情が移ってきて、とうとう消防署で飼うことにしたのだ。

 署員たちはこの犬を「クッキー・マリー」と呼ぶようになった。署員たちがケージを購入し、所長の奥さんがベッドを寄付してくれたそうだ。

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隊員たちの「お見送り」が任務に

 やがて、クッキー・マリーは81分署の日常の一部のような存在になっていった。フラネリー署長は続ける。

この犬はすごいんですよ。シフトには女性の救急隊員が2人いるんですが、朝になって彼らが交代するとき、この犬がまず1人を車まで送って行きます。

そして1人が車に荷物を積み込んで出発するのを見届けると、戻ってもう1人が出て来るのを待つんです

 クッキー・マリーの「見送り係」はそれだけではない。消防車が出動するたびに、彼女は署の裏手のゲートのそばで待機し、戻ってくると車両と一緒に入って来て、降りてくる消防士たちを迎える。まるで、自分もチームの一員であるかのように。 

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 実はもともと、フラネリー署長は「犬の持ち込み禁止」というポリシーを掲げており、当初はこの犬を受け入れることに慎重だったという。

私は言ったんです。「この犬のために家を探してやらないと」って。

でも隊員たちは、私が引退してくれれば犬を飼えるのにって言ったんですよ

 こんな冗談交じりの会話が交わされるほど、隊員たちはクッキー・マリーの存在にすっかり心を奪われていたそうだ。

ある週末に起きた異変

 クッキー・マリーがすっかり81分署に馴染んだ頃、事件は起こった。ある週末、クッキー・マリーは彼女は足を引きずり、明らかに苦しそうな様子で姿を現した。

 フラネリー署長の妻は犬の保護団体でボランティアをしていたため、とりあえずクッキー・マリーに痛み止めを与えて様子を見ることにした。

 しかし月曜になると彼女の症状は悪化していた。、そこはさすがの救急隊員たちで、全員がすぐに行動を起こすことに。

 彼らはクッキー・マリーを動物病院へ連れて行く決断をし、一人が動物病院への搬送を手配した。

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 レントゲン検査の結果、彼女は足を骨折しており、手術が必要だと判明した。獣医は、おそらく彼女は車に何度もかはねられた可能性が高いと説明している。

 また、隊員たちが気にしていた頭の傾きも、過去の事故による古い外傷の影響である可能性が高いことが判明した。

 さらに、マイクロチップを読み取ったところ、クッキー・マリーには飼い主がいて、数か月前から行方不明になっていたことが明らかになった。

 飼い主の家は消防署からおよそ10km離れた場所にあり、クッキー・マリーはそこから姿を消していたようだ。

 だがここで、思わぬ問題が浮上する。

彼女の手術には、3,000ドル(約47万円)の費用がかかると見積もられた。

 だが獣医は、飼い主の同意がなければ高額な手術を行うことはできないと説明したのだ。

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元飼い主との話し合いの結果、正式に「消防署の犬」に

 クッキー・マリーは、既に署員たちにとって「うちの犬」のような存在になっていたが、法的な所有者はあくまで元の飼い主である。

 突然の交通事故に加え、治療のための手続きという現実的なハードルが、クッキー・マリーと消防署の前に立ちはだかったのである。

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 隊員たちは、クッキー・マリーの飼い主と連絡を取ろうと奔走した。彼女は81分署にとって、緊迫した任務の合間にささやかな癒やしをもたらしてくれる、なくてはならない存在になっていたからだ。

 飼い主を探すのと同時に、隊員たちはセカンドオピニオンを求めて他の獣医を探し、手術代を集めるためにクラウドファンディングで募金を始めた。

 そしてとうとう以前の飼い主と連絡がつき、話し合いの結果、クッキー・マリーは81分署で暮らすのが一番良いという結論に至った。

(元の)家族にとってはつらい決断でしたが、犬にとって何が最善であるかを本当に理解してくれていました

 フラネリー署長は、その時の状況をこのように説明している。元の飼い主には、健康上の問題もあったそうだ。

 こうして法的な問題は解決し、費用の面でも最終的に約8,000ドル(約126万円)が集まり、クッキー・マリーは無事に手術を受けることができた。

 この8,000ドルは、彼女の治療やワクチン接種のほか、彼女のために81分署にフェンスを設置するのに使われるとのこと。

 そして余った約4,000ドル(約63万円)は、モンゴメリー郡にある動物保護施設へ、クッキー・マリーの名前で寄付されることになったという。

 手術を終えたクッキー・マリーは、現在首の周りにカラーをつけて、81分署で療養を続けている。隊員たちを見送る任務にはまだ戻れていないらしい。

朝食が済むと、彼女はすぐに正面玄関にもどって、隊員たちがまず彼女に挨拶してから建物に入ってくるように陣取るんです

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 消防署は24時間体制であり、81分署にはいつも隊員の誰かが常駐している。永遠の家を手に入れたクッキー・マリーは、もう寂しい思いをすることはない。

この犬が救急・消防隊員に与えるサポートは計り知れません。夜中に心肺蘇生の養成や交通事故の処理から戻ってきた隊員たちを、彼女はここで待っていて、愛情を与えてくれるんです。

彼女は間違いなく、81分署の隊員たちの心を奪ってしまいました

 フラネリー署長は、今回の件を受けて最後にこう語っている。

今後は間違いなく、(犬禁止の)ポリシーは変更になるでしょうね。さもなければ、次の規則には「消防署長は署内に立ち入り禁止」と書かれてしまうことになるかもしれませんから

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References: Dog Walks Into Fire Station And Makes Herself At Home — Then They Learn Why[https://www.thedodo.com/daily-dodo/dog-walks-into-fire-station-and-makes-herself-at-home-then-they-learn-why]

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