泳げるんかい!ヒトデに近づかれたイソギンチャクが全力で逃げ去る瞬間
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 海の中には、不思議な生き物がたくさん生息している。刺胞動物のイソギンチャクもそのひとつだ。

彼らは岩場に張り付いて、ゆらゆらと触手をたなびかせながら獲物が来るのを待っている。

 そんな彼らにも天敵が存在する。それがヒトデだ。

 海底を這うように忍び寄ってきたヒトデを、触覚で感じ取ったイソギンチャクは驚きの行動に出た。

 なんと岩場から離れると、体をクネクネさせながら全力で泳ぎ去っていくのだ。これが結構速くてびっくり!その様子を撮影した映像を見ていこう。

動けるんかい!しかも泳ぐぞイソギンチャク

 SNSで話題となっている動画には、海底に定着しているオレンジがかったピンク色のイソギンチャクと、その背後から忍び寄るゴム手袋のようなヒトデが映し出されている。

 このイソギンチャクは「ストムフィア・コクシネア(Stomphia coccinea)」で「スイミング・アネモネ(泳ぐイソギンチャク)」と呼ばれる種だ。

 イソギンチャクは筒状の体の上部に、平らな「口盤(こうばん)」というエリアがあり、その中心に食べ物を取り込む「口」が開いている。その周囲を毒針のある「触手」が囲んでいる。

 うねうねした無数の触手が生えている円筒形の胴体部分の下にあるのが、「足盤(そくばん)」と呼ばれる筋肉質の円盤だ

 イソギンチャクは通常、この足盤を吸盤のように岩や貝殻に密着させ、体を固定して生活している。

 移動するとしても、足盤の筋肉を波打たせ、カタツムリのようにゆっくりと這う程度だが、中には完全に動ける種も存在する。それがストムフィア・コクシネアだ。

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 エサを求めて海底を這いまわってきたヒトデの気配を感じたイソギンチャクは、触手で確認すると、体を大きくねじらせ始めた。

 さらに岩場に固定していた足盤を一瞬で剥がすと、胴体を左右にくねらせながら水中へと飛び出していったのだ。こいつ、動くぞ…。

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 体をリズミカルに屈曲させ、水を蹴って推進力を得ながら泳ぐ姿は、まさに「すたこらさっささーのさー」だ。

 ヒトデもじわじわと動けるのだが、この速さでは追い付かないだろう。お魚さんも心なしかびっくりして見ている感じがする。

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本当に危機が迫った時にだけ発動される泳ぎのスキル

ストムフィア・コクシネアは、北極海や北大西洋、北太平洋などの冷たい海を好んで生息する。普段は他のイソギンチャクと同様、足盤で岩や貝殻の上に固着してじっとしている。

 触手にある刺胞(しほう)と呼ばれる毒針を使い、流れてくる動物プランクトンや小エビなどの甲殻類、小魚を捕らえて食べる肉食性のハンターである。

 だが、逆に自分に危機が迫ると生存本能が目覚める。彼らが反応するのは特定の捕食者が発する化学物質だ。

  動画に映っているゴム手袋のような質感のヒトデは、「レザー・スター(Leather Star)」の一種と思われるが、こうしたヒトデが発する化学シグナルを感知すると、イソギンチャクの脱出スイッチが入る。

 ただし、この全力疾走ならぬ全力遊泳はかなりのエネルギーを消耗するため、本当に命の危険があるときだけの切り札なのだという。

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 動画を見た人々の間では、「動きがまるで小さなエイリアンみたいだ」「SF映画で見たことあるやつ」「予想以上に速い」と驚きの声が上がっている。

 じわじわと忍び寄るヒトデと、ロケットのように飛び立つイソギンチャク。自然界は毎日、このような食うか食われるかの真剣勝負が繰り広げられているのだ。

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 今回話題となった映像のオリジナルを探したところ12年前のYoutube映像である可能性が高い。

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