3万台のBMWを組み立てていたヒューマノイドロボットが傷だらけになって引退
Figure AI

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 アメリカにあるBMW社の自動車工場に試験導入され、その近未来的な姿で世間を騒がせたヒューマノイドロボットの話を覚えているだろうか?

 試験導入から正式運用を経て11か月が経過し、このロボット「Figure 02」が引退することを、開発元のロボット企業「Figure AI」社が正式に発表した。

 2025年11月19日に公開された引退直後の姿は、全身が黒ずみ、あちこちに無数の傷が刻まれていた。

 それらの傷は彼らが実際の製造ラインに立ち、3万台もの「BMW X3」の生産を支援し、9万個以上の金属パーツを運び続けた証でもある。

人と共に車を組み立て続けたヒューマノイドロボット

 2024年8月、アメリカ、サウスカロライナ州にあるBMWスパータンバーグ工場にヒューマノイドロボット「Figure 02(フィギュア02)」が試験導入され、年末より正式運用が始まった。

 導入目的は、ヒューマノイドロボット(人型ロボット)が実際の自動車組立ラインでどこまで人間の作業を代替できるかを検証することだった。

 その後、約11ヶ月間働き続けたFigure 02は引退を迎えた。

 公開された映像には、傷だらけになったFigure 02の姿が映し出されている。

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 ヒューマノイドロボットの導入については、「PR用の実験に過ぎないのではないか」という懐疑的な見方もあった。

 しかし、Figure AI(フィギュアAI)社のブレット・アドコックCEOは、この傷ついた機体の映像こそが「実世界での配備」の証明であるとしている。

 研究室ではなく、実際に油や金属粉の舞う工場内で、長期間にわたり反復作業をこなした結果が、この姿に表れているのだ。

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人間のような指の動きと高度なAIを搭載したFigure 02

 Figure 02はFigure AI社が開発した第2世代の汎用ヒューマノイドロボットだ。

 初代機と比べて配線がボディ内部に収納され、マットブラックの外見になったほか、バッテリー容量が約50%増加している。

 また、人間の手のように繊細な動きができる指先を備えるなど、工場での実労働を意識した設計がなされている。

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 さらにチャットGPTでおなじみのOpenAI社と提携した高度なAIモデルを搭載しているのも大きな特徴だ。

 カメラで捉えた視覚情報から周囲の状況を瞬時に理解し、自律的に判断して動くことができる。この高い認識能力こそが、複雑な工程への対応を可能にしたカギと言えるだろう。

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3万台の生産に関わり、歩いた距離は300km以上

 現場での彼らの主な任務は、部品箱から板金パーツを取り出し、溶接用の治具に正確にセットすることだった。

 その精度は高く、許容誤差はわずか5mm。セット後は人間や従来のロボットアームが溶接を行う流れだ。Figure 02はこの作業を84秒サイクルでこなし、99%以上という精度を維持したという。

 本格稼働していた11ヶ月間で、関与した「BMW X3」の生産台数は3万台以上。積み込んだ板金部品は9万個を超える。

 工場内を歩行した総距離は約322kmにも及び、稼働時間は1250時間を突破した。月曜から金曜まで、1日10時間シフトで稼働していたという。

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故障から得た教訓は次世代機へ

 運用は全てが順調だったわけではない。同社はハードウェアの課題についても明らかにしている。

 特に故障が多かったのが前腕部分だ。人間サイズの手首から肘にかけてのスペースに、複雑なモーターや配線、熱処理システムを詰め込んでいたため、絶え間ない反復動作の負荷で、制御チップやケーブルに不具合が生じることがあった。

 だが、こうした現場でのデータこそが開発には不可欠だ。

この教訓は、すでに開発中の次世代機「Figure 03(フィギュア03)[https://www.figure.ai/news/introducing-figure-03]」に活かされている。

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 手首周りの配線構造を見直し、モーター制御を最適化することで、より頑丈な構造へと改良されているそうだ。

 今回の引退は、量産や実用化を見据えた次の段階へ移行するための区切りと言えるだろう。

 お疲れ様!Figure 02。近い将来人とロボットが肩を並べて会話を交わしながら作業する未来が見えてきた。

References: Figure[https://www.figure.ai/]

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