不屈の旅人「ボイジャー1号」、ついに往復通信に丸2日かかる「1光日」の彼方へ
ボイジャー1号 Image credit:NASA/JPL-Caltech

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 1977年の旅立ちから幾多の困難を乗り越え、太陽系外の暗闇をたった一機で突き進む不屈の探査機ボイジャー1号。永遠の旅人となったこの機体が、また一つ偉業を達成しようとしている。

 現在ボイジャー1号は、太陽圏を脱出し、星間空間を航行中だが、来年となる2026年11月、ついに「1光日」という歴史的な節目に到達する予定だ。

 これは光の速さで追いかけても丸24時間かかる距離だ。往復通信に丸2日を要する未知の領域へ、ついに足を踏み入れようとしているのだ。

 NASAの管制官たちは、敬意を持って、この偉大な探査機との対話を続けられるようこれまで以上に尽力している。

伝説的探査機ボイジャー1号、その旅路と現在地

 ボイジャー1号がNASAのケネディ宇宙センターから打ち上げられたのは、今から48年前の1977年9月5日のことだ。姉妹機であるボイジャー2号の発射から16日後に打ち上げられた。

 ボイジャー1号の当初の目的は木星と土星、そしてそれらの衛星を探査することだったが、その任務を完璧に遂行した後も、太陽系の外側を目指して旅を続けている。

 その機体には、いつか出会うかもしれない地球外知的生命体へ、あるいは未来の地球人へ向けて、地球の音や画像を収めた「ゴールデンレコード」が搭載されている。

 2025年11月25日現在、この孤独な旅人は地球から約254億kmという、太陽圏を超えた遥か彼方の宇宙を飛行している

 NASAのリアルタイムデータ[https://science.nasa.gov/mission/voyager/where-are-voyager-1-and-voyager-2-now/]によると、地球からの通信が片道で届くのにかかる時間は「23時間33分23秒」を示している。あと27分足らずで、光の速さですら24時間かかる距離に到達する場所まで来ているのだ。

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宇宙はとてつもなく広く、電波が届くまで時差が生じる

 物理学者のアインシュタインが提唱したように、光の速さはあらゆる物体が出せる最高速度で、1秒で約30万kmを進む。しかし、その光をもってしても宇宙の広さの前では無力に近い。

 この光の速度は、通信に使われる電波にも共通している。光も電波もどちらも「電磁波」と呼ばれる同じ現象であり、真空中ではどちらも秒速約30万kmで進む。

違うのは波の細かさ(波長と周波数)だけで、伝わる速さは変わらない。

 アポロ計画のころ、月面からの通信には往復で約2.6秒の遅れがあった。火星になると最大4分、木星では52分、冥王星では6.8時間にもなる。距離が遠くなるほど、電波が届くまで時間がかかってしまうのだ。

 このように通信には長い時間がかかるため、地球からの指示を待っていては間に合わない場面が多い。

 そこでNASAは、深宇宙探査機が自分で状況を判断し、動けるように設計している。もし指示を待つしかなかったら、多くの探査機はすでに宇宙のどこかで動けなくなっていたはずだ。

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幾多の沈黙から蘇った不屈の魂

 しかし、これらすべての距離も、ボイジャー1号が現在いる場所とは比較にならない。半世紀近く前に製造されたこの機体はいまも、極寒で放射線が満ちた過酷な宇宙空間を飛行している。

 老朽化は避けられず、実際、過去にはシステムトラブルで通信が途絶え、もう二度と声が聞けないのではないかと絶望視された局面も一度や二度ではなかった。

 だがその度に、ボイジャー1号は地上からの懸命な呼びかけに応え、奇跡的な復活を遂げてきたのだ。

 原子力電源の出力は年々低下しているが、NASAはこの探査機が電力を使い切る2030年代初頭までは、その使命を果たし続けると信じている。

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ついに通信時間1光日に到達、その先に待つ永遠の旅

 そして約1年後の2026年11月(現在の推定では2026年11月15日)、ボイジャー1号は地球から約259億kmの地点に到達する見込みだ。

 これは地球から送った電波が届くまでに24時間かかる距離、すなわち「1光日」に相当する。

 地球から発せられた声がボイジャー1号に届くまで丸1日、往復で2日を要するため、NASAの運用チームにとっては、スローモーションのような時間の流れの中での作業となるだろう。

 それでも、チームは最後まで通信を維持し、可能な限りデータを受信し続けるよう尽力するという。

 ボイジャー1号の電源は、原子力電池の出力が低下しつつあり、数年以内に機能を停止するとみられている。

 しかし、通信が途絶えた後も旅は続く。

 NASAの試算によると、約300年後には太陽系を取り囲む氷の粒の領域「オールトの雲」に達し、約4万4000年後には「グリーゼ445」と呼ばれる恒星の近くを通過すると予測されている。

 運用を終えたあとも、ボイジャー1号は宇宙空間を進み続ける。地球から送り出された最も遠い人工物として、「ゴールデンレコード」を抱きながら、太陽系の外で人類の存在を伝える旅を続けていくことだろう。

 がんばれ!ボイジャー1号!

References: Science.nasa.gov[https://science.nasa.gov/mission/voyager/where-are-voyager-1-and-voyager-2-now/] / Newatlas[https://newatlas.com/space/voyager-approaches-1-light-day-from-earth/]

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