ひたすら寝そべり続ける選手権の優勝者が決定、オムツをつけて挑む参加者たち
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 世の中には限界まで何かを耐え抜くことを競う多種多様なイベントが存在している。それを競ったとて、と言いたくなるものもあるが、人間に刻まれた闘争本能なのかもしれない。

賞金が出ればなおさらだ。

 中国の内モンゴル自治区では、「マットレスの中にひたすら寝そべっているだけ」というチャレンジが開催されて話題になっている。

 最後まで3人の参加者が残ったが、最終的に優勝したのは、なんと33時間35分という長丁場を寝そべって過ごした23歳の男性に決定。

 彼女に勧められて参加したというこの男性、獲得した優勝賞金で、友人たちに鍋をおごるつもりだそうだ。

一番長く寝そべっていた人が優勝!

 この大会は、2025年11月15日、内モンゴル自治区の包頭市で行われた、「躺平大賽(寝そべりコンテスト)と呼ばれるイベントである。

 国内のマットレスブランドがスポンサーとなって開催されたこの大会では、参加者はマットレスの上で寝そべって過ごすことが求められる。

 寝返りを打ったり本を読んだり、スマホを見たりするのは自由。テイクアウトの食事を持ってきてもらい、うつ伏せになって食べるのはOKだ。

 ただし起き上がることは許されず、トイレに行くのも不可である。それがこのチャレンジで一番厳しいのはこの点だろう。

 そこで参加者たちはおむつを着用して挑むことに。

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 当初、参加者は約240人いたそうだが、186人が1日持たずに脱落した。だが、ただ寝そべっているだけではなかなか勝負がつかないのも事実。

 そこで残った参加者たちには、特定のポーズや動作を行うといった、難易度を上げるためのチャレンジを行うことに。

 こういったチャレンジは、すべて参加者側との同意を得た上で行われたが、結構厳しいものだったらしく、ギブアップする人が続出したそうだ。

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優勝者の記録は33時間35分!

 それでも33時間9分が経過した時点で、3人の猛者が残っていた。実は主催者側は、このイベントのタイムリミットを決めていなかったんだそうだ。

 そのため、この時点で、これ以上長引かせるのは難しいと判断。残った3人に対して、「両手両足を上げた姿勢を保つ」ように指示をし、一番長く維持できた人が優勝するというルールを提示した。

 その後33時間11分で、1人が脱落。さらに33時間35分が経過した時点で、ついにもう1人がギブアップし、最後に残った23歳の男性が優勝者に決定した。

 15日の10:08に始まったこのイベント、終わった時には翌16日の19:53になっていたことになる。

 優勝者の男性は、賞金3,000元(約66,000円)を獲得。2位・3位となった参加者にも、それぞれ3,000元(約44,000円)・2,000元(約22,000円)が贈られたそうだ。

 優勝した男性は、インタビューに答えて次のように語っている。

彼女がこの大会のリンクを送って来て、挑戦してみたら?って勧めてくれたんです。

あまり準備とかはしていなくて、途中であきらめようかと思ったけど、彼女が続けるように励ましてくれました。

(賞金の使い道について)このお金で友人たちに鍋をご馳走しようと思います。昨日も食べ物や飲み物を持って来てくれたんですよ

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 この大会の一部始終はオンラインでライブ配信され、全国で数千万人が視聴したと言われている。現地のネットユーザーたちは、こんな感想を寄せていた。

  • 横になっているだけでお金をもらえるなんて最高じゃん
  • どこでやってるの? 私も行く! 一週間は横になっていられるよ
  • ついに「寝てるだけで勝てる」が実現した!!
  • 正月までだってねてられる
  • 俺はここ1か月ずっと横になってるよ。本当に何日も飲まず食わずで大丈夫
  • 次はどこでやるんだ?
  • 他の都市では開催しないのかな
  • スマホ用のモバイルバッテリーがあれば、70時間は行けると思う!

「寝そべり族」が肯定される昨今の風潮に当局が動いた

 実は同様の「寝そべりチャレンジ」は、中国の他の都市でも開催されているんだそうだ。かなり人気が高いらしく、ショッピングモールや観光施設が、集客目的で行うケースも増えているらしい。

 こういった風潮の背景には、近年中国のネット界隈で話題になった、「寝そべり族(躺平主義)」と呼ばれる若者たちの存在があるという。

 これは過度な競争社会や「働き過ぎ」のプレッシャーに対する、ゆるやかな抵抗を意味するネットスラングから始まったムーブメントだ。日本でもニュースやネットで取り上げられていたので、見聞きしたことのある人もいるかもしれない。

 2021年、中国のSNSで「寝そべりは正義だ!」と最初に発言したネットユーザーは、自分の生き方をこう語っていた。

私は2年以上仕事をしていませんが、何も間違っているとは思いません。

働くことによるプレッシャーは、周囲の人との比較や、年長者の伝統的な考え方によって引き起こされます。

1日2食にすることで、食事の問題は解決しました。買い物は毎月200元以内に抑えており、お金がなくなったら1年に1~2ヵ月働きます。ふだんは家や外で寝そべって、猫や犬のように過ごしています

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 仕事もしない。結婚もしない、車も買わない、マイホームも買わない。買い物もしない。ただ寝そべっているのが、一番コスパが良い生き方だ…。

 なんだかどこかの国でも似たような問題があったような気がするが、もちろん中国共産党はこんな怠惰な生き方は認めていない。

 2025年10月、当局は「ネット上のネガティブなコンテンツ」を一掃するキャンペーンを開始。「敗北主義的」「厭世的」な言論を規制する姿勢を明確にしてきたのだ。

 今後は個人のユーザーも、気軽にネットで弱音を吐いたり、愚痴を言ったりすることが難しくなるかもしれないらしい。

 今回のような、横になっているだけで賞金がもらえるなんてイベントも、もしかすると近い将来、規制の対象になってしまうかもしれない。

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References: Chinese man wins ‘lying flat’ contest by resting on mattress for more than 33 hours[https://www.scmp.com/news/people-culture/trending-china/article/3333256/chinese-man-wins-lying-flat-contest-resting-mattress-more-33-hours]

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