親が亡くなっても死亡届を出さず、親がまだ生きているふりをして年金の不正受給を続けて逮捕される…そんなニュースを日本でもときおり聞くことがある。
イタリアでも同様の事件はかなりまん延していて、毎年数十人が死者になり続けて年金を受け取ったとして逮捕されているそうだ。
2025年11月、亡くなった母親の代わりに3年間にわたって年金を受け取り続けていた56歳の男が逮捕された。
男は女装し、かつらを被り、バッチリ化粧もした上で役所を訪れていたが、職員の目は誤魔化せなかったようだ。
死んだ母親に成りすまして年金を不正に受給
2022年、マントヴァ県ボルゴ・ヴィルジーリオに住んでいたグラツィエラ・ダッロリオさんは、82歳で他界した。
だが彼女の息子は母親の死を届け出ず、遺体を自宅に隠した。それから3年。57歳になった息子は、母親に成りすまして年金を不正に受け取り続けていた。
2025年11月はじめ、母親の身分証明書の有効期限が切れてしまったことをきっかけに、この事件が明るみに出ることに。
イタリアでは身分証明書の更新には、所有者が直接役所を訪れる必要がある。そこで息子は11月11日、母親の服を着、かつらを被り、化粧をして母親になりすまして手続きのために役場へ向かった。
担当職員が異変に気づいて通報
そしてグラツィエラさんの名前を名乗り、更新手続きをしようとしたのだが、ここで担当の職員が違和感に気づいた。
80代の女性にしてはしわがなく、肌の質感が高齢者には見えなかった。それに首も異様に太く、ときおり男性のような低い声になる。
何よりも決定的だったのは、首の後ろやあご、手に生えていた、女性とは思えない体毛だったそうだ。
実際の写真を見てみよう。
この写真だとかろうじてオバサンに見えなくもないが、実際に応対した職員にとっては違和感ありありだったのだろう。
怪しいと思った職員は、一度息子を帰らせたのち、警察に通報。その上で、追加の署名が必要になったからと、「グラツィエラさん本人」に、再度19日に窓口に来るよう依頼した。
そして19日、再び女装して現れた息子は、その場で逮捕された。その後警察は本物のグラツィエラさんの写真と息子を照合し、別人であることを確認。
息子はこの時、顔にファンデーションと口紅を塗り、爪にはマニキュアを塗って、70年代風のブラウスと真珠のアクセサリーを身につけていたそうだ。
自宅のクローゼットから遺体を発見
証拠を突き付けられた息子は観念し、自宅の捜索に同意した。警察が家の中を探した結果、洗濯室のクローゼットの中から、グラツィエラさんの遺体が見つかった。
遺体はシーツと寝袋に包まれ、既にミイラ化していたという。おそらくは自然死だったと見られているが、遺体は検死のために地元の病院の安置所に搬送された。
実は息子は元看護士であり、母親の遺体からシリンジで血液や体液を抜いて、腐敗を防ぐ処置を行っていたという報道もされているようだ。
日本では人が亡くなると、まず役所に死亡届を提出し、その後に年金の停止や未支給年金の請求手続きを行う。
イタリアでも、死亡時には医師が作成した死亡診断書をもとに、家族が自治体へ死亡届を提出する仕組みになっている。
死亡の届出が受理されれば、自治体は住民登録を抹消し、その情報が社会保障機関(INPS)にも自動的に通知されるため、年金はそこで停止される。本来であれば、この流れが働くことで不正受給は防げるはずだ。
しかし今回はそもそも死亡届が提出されなかったため、住民台帳からも抹消されず、年金の支給が継続してしまっていたことになる。
不正に受け取られた額は、3年間で約53,000ユーロ(約960万円)。この中には、すでに亡くなっていた父親の遺族年金も含まれていたと報じられている。
現在、息子は遺体の隠匿と給付金詐欺の容疑で捜査を受けているという。
ちなみに日本でも、親の死を隠して年金を受け取り続けたという事件が、ときおりニュースで伝えられる。決して少ないとは言えない数だ。
このような不正受給は、詐欺罪や死体遺棄罪などの対象となり、不正に受け取った分の返還もガッツリ求められる。
いつまでもバレないわけはないし、親不孝ここに極まれりって思うんだけど、働かなくても定期的に入ってくるお金に、目が眩んじゃうんだろうな。
追記(2025/12/03)
「ご任せない」という誤字を「誤魔化せない」に変更して再送します。
References: Man Disguises Himself As His Deceased Mother to Continue Collecting Her Pension[https://www.odditycentral.com/news/man-disguises-himself-as-his-deceased-mother-to-continue-collecting-her-pension.html#google_vignette]











