ペットのタコはピアノが弾けるのか?辛抱強く教えた結果、ついに飼い主とセッションが実現!

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 ペットいっしょに音楽を楽しめたら…? そう思う人は多いみたいだ。一緒に音楽を鑑賞したり、歌を歌ったり、あるいは楽器を奏でたり。

 ピアノを奏でる猫引き語りをする犬、ギターに合わせて熱唱するインコなど、まあ哺乳類や鳥類ならありだよね。

 だがなんと、海の生き物であるタコに「ピアノを弾かせてセッションしよう!」などと思いついてしまった人がいる。

 果たして、タコは音楽を奏でられるのか? ペットのタコとミュージシャンの飼い主。ふたりのトレーニングの一部始終を追ってみよう。

市場で買って来たタコにピアノを教えてみようじゃないか

 スウェーデン人ミュージシャン、マティアス・クランツさんは、YouTubeやInstagramで「楽器改造系」の配信で人気のコンテンツ・クリエイターだ。

 ピアノやギターを分解したり作り替えたり、なんとも奇抜な装置を作って音楽を演奏するという独特のスタイルで支持を集めている。

 そんな彼が、「動物にピアノを教えてみたい」という長年の夢を実行に移すことにした。そこで彼が向かったのは、なんと海鮮市場だった。

 どんな生き物がいいかな?とあちこち見て回った彼が、最後に立ち止まったのはタコを売っているお店。1匹の元気そうなタコをゲットした彼は、ワクワクしながら家路についた。

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 そして水槽にタコを入れると、「タコヤキ」と名付けて、まずは信頼関係を築くことに注力した。

数日かけて、彼はようやく餌を食べるほどには僕を信頼してくれるようになった。いったん食べてくれるようになると、「あ、わかったんだ」と感じました。

初めてのピアノの鍵盤に挑戦する準備ができていると確信したんです

だが触手で鍵盤を「押す」のはちょっと難しかった

 だが、そこから先は一筋縄では行かなかった。まず彼はタコヤキのために特製の鍵盤を用意して、まずは鍵盤を「押す」トレーニングを開始した。

 好奇心旺盛なタコヤキは、触手で鍵盤に触ってはみるものの、マティアスさんが期待したように「弾いて」くれることはなかった。

 それでも根気よく、鍵盤に触れる度に餌を与えることで、なんとか押し下げる動作を覚えてくれることを期待したのだが、やがてマティアスさんはあることに気づいてしまう。

「押す」という動作は、タコにとって自然なものではなかったんです

 だが、逆にでも、引っ張ることに関しては、タコは本をかけるくらい得意分野だ。そこでマティアスさんは改良を重ね、レバー付きの鍵盤を考案した。

 このアイディアはうまく行ったかに見えた。タコヤキは触手をレバーに絡めて、「引っ張る」ことを覚えたのだ。

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特定の鍵盤を押させてメロディーを奏でさせたいのだが

 そこで今度は、タコヤキ用にカスタマイズしたキーボードを製作。それからマティアスさんの試行錯誤が始まった。

 だがここでまた試練が訪れる。タコヤキはキーボードの上に乗ったり、持ち上げたりと、オモチャとしては気に入ってくれたようなのだが、それが何であるのかをまったく理解していない。

 次の課題は、タコヤキにどのキーを押すかを覚え込ませ、メロディを奏でることだったが、これがまた大変だったのだ。

 第一に、タコヤキは音楽というモノを理解していなかった。

そこで水中にスピーカーをセットして、鍵盤を押せば音が出るということを学習させた。

 だがタコにはそもそも耳がない。音の代わりに振動でなんとかならないかと思ったが、このアイデアは失敗に終わった。

 次に試してみたのは、鍵盤を光らせること。光った鍵盤を押せばいいと学習してもらいたかったのだが、タコヤキはこれを完全スルー。

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 いくら餌と光る鍵盤を関連付けて覚えさえようとしたり、ライトの色を変えてみたりしても、何週間経ってもタコヤキはまったく興味を示さなかったのだ。

 次に思いついたのは、タコの大好物のカニを使うこと。押してほしい鍵盤にカニを表示することで、思い通りのメロディを奏でさせられるのでは?

 だがこのアイデアも結局成功しなかった。タコヤキはカニ自体には反応したものの、それで鍵盤についているレバーを掴んではくれなかった。

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僕は認めざるを得ませんでした。タコヤキはこのクソみたいなライトが嫌いなんですよ。結局効果があったのは、鍵盤を小刻みに動かすことでした。

 そう、効果があったのは、なんとレバー自体をぷるぷると動かすことだった。タコヤキはこの動きに反応して、レバーを引いてくれるようになったのだ。

 さらに訓練を続けること1週間で、タコヤキは2本のレバーを同時に扱えるようになった。そして2週間後、なんとタコヤキは複数の触手を同時に使って、和音を奏でることに成功した!

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 その後、タコヤキはピアノが気に入ってくれたようで、どんどん上達していった。マティアスさんの夢が叶う日も近い。

僕は動物にピアノを教えたいとずっと思っていました。理論上、タコにはとてつもない潜在能力があります。3歳児と同じくらい賢く、問題解決能力も抜群です。

でも、タコの真骨頂はは、8本の腕それぞれに小さな脳があり、独立して考え、動けることです。まるで8人のピアニストが、1つの体に宿っているようなものなんですよ

そしてとうとうセッションが実現した!

 何カ月も一緒に苦しいトレーニングに耐えたタコヤキとマティアスさんは、とうとう念願のセッションを行った。

 マティアスさんが爪弾くギターに合わせて、タコヤキがコードを奏でていく。マティアスさんの嬉しそうな顔ったら!

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 下がふたりの半年間を記した、ダイジェスト版の動画である。セッションが始まるのは、2:35あたりからだ。

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晩年を迎えつつあるタコヤキ

 こうしてたこ焼きとのセッションを楽しんでいたマティアスさんだが、「もっとタコヤキの動画を上げて!」という視聴者からのリクエストに、次のように答えている。

動画では触れていませんでしたが、タコの寿命は実はとても短いのです。タコは飼育下では通常1~2年しか生きられません(これは野生よりも長い寿命です)。

タコヤキを飼い始めて約11ヶ月になりますが、迎えた時には既にほぼ成体でした。そのためタコヤキは今、いわゆる老齢期、つまりタコのライフサイクルの最終段階に入っています。

この時期、タコは徐々にエネルギーと好奇心を失い、ほとんどの時間を休息に費やします。タコヤキは今、ほとんど洞窟の中にいます。

オモチャで遊ぶこともほとんどなくなりましたが、驚くべきことに、ピアノのためには今でも外に出てきます。それもほんの数分だけです。

前回の動画がうまくいったからといって、無理やりまた動画を撮るのはやめようと思っています。タコヤキをゆっくりさせてあげたいんです。

それに、彼はとても誇らしげに見えます。

きっと、自分が海で一番のピアニストだと自覚しているからでしょう!

 食用に売られていたタコをペットとして飼育するのは、実はかなりハードルが高いはず。マティアスさんはアクアリストとしても、かなりな高スキルを持っているんだと思うんだよね。

 もしもあのときマティアスさんと出会わなければ、タコヤキはとっくに誰かのお腹に入っていたはずだ。

 海一番のピアニストとなったタコヤキ。どうかマティアスさんのもとで、穏やかな余生を過ごしてほしいものである。

 ところで日本でも、「買って来た生き物を飼ってみた」系のコンテンツクリエイターはけっこういて、特にエマスちゃんねるさんの、買って来たタコが卵を産んだ[https://www.youtube.com/watch?v=kYmRUit5DF0&t=25s]話はけっこう話題になっていたから、ここにも見た人がいるかもしれない。

 やっぱり水槽ではベビーたちが育つのは難しく、かといって引き取ってくれる水族館も見つからなくて、当時視聴者たちはずいぶん気をもんだものだ。

 一部は海に帰っていったわけだけど、あの赤ちゃんダコたちのうち、いったいどれくらいが今も生き延びているのかな。

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