雷を怖がる元爆発物探知犬、飼い主の腕の中に飛び込み身をゆだねる姿にグッとくる。
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 張り詰めた緊張感の中で、鋭い嗅覚だけを頼りに爆発物を探し出し、人々の命を守ってくれる爆発物探知犬。過酷な任務を生き抜いてきた彼らだが、引退後、幸せで安らかな余生を送れることは保証されてはいない。

 だが少なくともこの2匹は違っていた。フロリダ州で暮らす男性が引き取った爆弾探知犬は安心できる家と心から信頼できる飼い主と出会えたようだ。

 雷が鳴り響いた日、元探知犬は飼い主の腕の中に飛び込み、震える体を預けたのだ。そこにあるのは戦地での重圧を背負った姿ではなく、普通の飼い犬のように甘える姿だ。

雷に怯える元爆発物探知犬、飼い主の腕の中に緊急避難

 フロリダ州ペンサコーラに住むモンテさん(30歳)は、引退した爆発物探知犬を2匹飼っている。

 この日は嵐で外から雷の音が鳴り響いた。すると愛犬の1匹、ドルカがソファで横たわるモンテさんにゆっくりと近づいてきた。雷の音が怖かったのだ。

 モンテさんは、ソファに乗るように促すと、犬は彼の腕の中へともぐりこんでいった。モンテさんがぎゅっと抱きしめやさしくなでると、心を落ち着かせたようだ。

 するともう1匹の犬もソファに飛び乗り、モンテさんにその身を預けた。

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 かつては緊張状態の続く戦場で活躍した犬たちだが、今は飼い主のぬくもりが一番安心できる居場所となっていたようだ。

 モンテさんによると、2匹の犬はアフガニスタンで任務に就いていたという。

 雷が苦手な犬は多い。それは爆弾探知犬だって例外じゃない。でも今は普通の犬がいつもそうしているように、安心して飼い主に頼ることができるようになった。

 「うちの子はアフガニスタンで働いていた元爆発物探知犬なんです。多くの犬と同様に、雷雨はこの子を不安にさせますが、どうやら私の腕の中に安らぎを見出しているようです」

 モンテさんは、「私が愛犬たちの安全地帯(セーフスペース)になれることを嬉しく思います」と語る。

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戦地の記憶が恐怖を呼び覚ましている可能性

 モンテさんは、彼の愛犬たちが雷を怖がる理由は、一般的な飼い犬の不安とはまた別の理由があるのではないかとと推測している。

 かつて愛犬たちが任務に就いていた現場では、緊急時の警報や近くの爆発、ロケット弾の着弾など、常に命の危険を知らせる轟音に晒されていた。

 その過酷な経験から、現在の雷の音が戦場での恐怖とトラウマとして強くリンクし、強く蘇っている可能性があるという。 

飼い主に安心して甘える元探知犬の姿に感動

 この動画はInstagramですぐに拡散され、これまでに7万4000以上の「いいね」を獲得している。

 ネットユーザーの一人は「本当に愛されているね。幸せそうな姿が見られて私もすごく嬉しいよ」とコメントを寄せた。

 また「爆発物探知犬は大きな音が鳴る前に『ドカンという音の元』を見つける訓練を受けていたんだ。そう考えると悲しいな。」との意見も。

 さらに、「1匹目は本当に怖がっておびえているけど、2匹目は完全に便乗してそこに行っただけかも」という声も上がった。

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雷から愛犬を守る対策法

 動物愛護団体の「ブルー・クロス[https://www.bluecross.org.uk/advice/dog/behaviour-and-training/dogs-and-thunderstorms]」によると、雷や花火の音に過剰な恐怖を感じる「音響恐怖症」は、犬にとって珍しいことではない。

 特に元探知犬のようにトラウマを抱えている場合、その不安は深刻になり、パニックを起こして逃げ出したり、自分を傷つけたりする危険性がある。

 愛犬を雷の恐怖から守るため、まず天気予報を確認し、嵐が予想される際には家にいられるよう予定を調整することが基本となる。

 また、不安を和らげるため、窓がなく静かな場所などに布をかけたクレートなどを利用した「安全地帯」をあらかじめ用意し、雷の音を打ち消すホワイトノイズや音楽を流すことが有効だ。

 嵐の最中は、飼い主自身が冷静に振る舞い、怖がる愛犬を過度になだめたりせず、知育玩具などで気をそらそう。

 万が一のパニックで逃げ出した場合に備え、マイクロチップの装着や玄関の施錠確認も欠かせない。

 重度の恐怖行動が見られる場合は、獣医師や行動専門家に相談しよう。

苦手な刺激に慣れさせるために、弱い刺激から始めて徐々に慣れさせていく「脱感作トレーニング」などが有効な子もいるという。

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