歴史もあって独創性も際立ってるが肝心の集客はいかに。競合が多い観光地の宿泊業界で、ストーリーやローカル体験といった差別化戦略が進む中、イギリスで「元公衆トイレ」という異色のホテルがいろんな意味で話題だ。
映画「ハリーポッター」のロケ地で知られるオックスフォード市で、6月開業したブティックホテル、その名も「The Netty(ネッティ)」は、なんと地下の公衆トイレとして100年以上も利用されていた。
はたして男性用トイレだったその空間に泊まるお客はいるのだろうか?唯一無二かもしれないホテルの詳細と海外の反応をお伝えしよう。
19世紀後半に建てられ、100年以上利用された男子用トイレ
物語の始まりは1895年。ビクトリア女王時代に建てられた男性用トイレは、100年以上にわたり市民や観光客に利用されてきた。
だが2008年、このトイレが、交通量の多い道路に面しており、横断歩道もないため、安全上の懸念から閉鎖された。
地下への階段はフェンスで覆われ、以後17年間ものあいだ放置されることになる。
歴史ある美しい景観の街並みにふさわしくないとし、市民団体からは撤去の声が上がっていた。
実業家が買い取り、行政からホテル利用の許可を取りつける
だが2019年、事態は一転する。
オックスフォードの実業家グウィン・ハリーズ=ジョーンズ氏がこの場所を購入し、ホテルとして再生する計画が市に承認されたのだ。
市議会は「周辺の歴史的建造物の特性を尊重する」との条件付きでこれを許可。
そして工事が始まり、2025年6月にアンダーグラウンドなブティックホテル「The Netty(ネッティ)」として完成・開業した。
ちなみにホテル名「Netty」の由来は、イングランド北東部で話される「ジョーディ」という方言で「トイレ」の俗語を意味するそう。
以下はイギリスのローカルニュースを取り上げるITV News Uplifting Storiesチャンネルが、8月30日にYoutubeに公開した動画だ。
風変わりな元トイレの地下ホテルにかなりのユーザーが注目したようだ。
客室は2つだけ。イギリス最小のホテルの一つ
The Netty(ネッティ)の客室は「Suite One」と「Suite Two」のわずか2室。イギリス最小のホテルの一つともいわれている。
いずれも約22㎡でベッドはキングサイズ。
Suite One
落ち着いたブルーとマホガニー色がアクセントの男性的なテーマで統一。このデザインはオックスフォードにある世界最初の大学博物館、アシュモレアン博物館と劇場のオックスフォード・プレイハウスにインスパイアされたそう。
Suite Two
ピンクとグリーンの柔らかい色調と植物モチーフ。女性をテーマにした軽やかで優しい雰囲気だ。
ちなみに各部屋の宿泊費は 1泊170~200英ポンド(約35,100~41,300円)と意外にお高め。最大 2 名まで宿泊可能だそう。実際の費用は予約サイト(Booking.com, Trip.com, Agoda, Expedia)などでも確認できる。
サービス・設備はシャワーのほか、スマートテレビ、無料Wi-Fi、紅茶とコーヒーメーカー、無料ミニバーとアメニティ。
宿泊の際はフロントなしのセルフチェックイン方式で、緊急時の連絡先が提供される。
安全対策としては、チェックイン時に物理キーの代わりに暗証番号式の入室コードが発行され、それが毎日更新されるとのこと。
オックスフォードの中心部にあり、アシュモレアン博物館のすぐ近くだったりと、観光に便利な立地だそう。
住所は 1a St Giles’, Oxford, OX1 3JS, United Kingdom
デザインのこだわり
設計はロンドンのインテリアデザイナー、レイチェル・ゴウドリッジが担当。
オリジナルの床タイルを残し、幾何学模様をデザインに取り込んだ。高光沢仕上げの天井が自然光を反射し、地下空間に開放感を演出する。
フランスの老舗ピントン社によるタペストリー製ヘッドボード、ピエール・フレイのシャワーカーテンなど、ラグジュアリーな素材を採用。
ピンクとブルーの高置タンク式トイレやステンレス製の小型シンク。よく考えるとかつてのトイレの中にまたトイレが配置されている奇妙な設計に笑ってしまう。
「値段が高すぎる」「オリジナルの床タイル!?」の声
視聴数もかなりあったが、100年以上使われていた元男性用公衆トイレであるNettyの動画を観たユーザーからはこんな声が寄せられている。
- 一晩200ポンドって高すぎでしょ。腹立つわ
- 酔っ払いが玄関先で放尿しているイメージから抜け出せない。泊まるなんて無理
- トイレからまたトイレ(を意味する名前のホテル)になるのか…
- まず思ったこと。換気がどうなってるか
- オリジナルの床タイル!?ないわー
- 公衆トイレがないと立ちションする男性が増える。
元に戻してほしい- そこに臭い小便器があったってことを知っただけだった
- 一泊200ポンドで興味が失せた
万人受けしなくても興味があるお客に
ホテル支配人のアナ・ピニェイロさんも、このホテルの特殊さについてこう語る。
オックスフォードで最も奇妙な宿泊場所の一つだと思います。誰もが楽しめるわけではないのは承知してますが、もしよろしければ。とても素晴らしい体験になると思います
万人受けしないことは承知の上。興味があるお客たちが泊ってくれれば充分、というスタンスのもよう。にしてもそれで経営が成り立つのだろうか。
ユニークな体験を求める観光客向けって感じだが、上のコメントにもあるようにオリジナルの床がまだ使われることが衛生的に気になりすぎる。
それでも歴史的背景含め、ストーリー性もたっぷりあるし、建築史的にも面白いかも。興味がある人はThe Netty公式[https://thenetty.co.uk/]をチェックだ。
References: Thenetty.co.uk[https://thenetty.co.uk/] / BBC[https://www.bbc.com/news/articles/c5y354znyppo] / Oxfordhistory.org.uk[https://www.oxfordhistory.org.uk/stgiles/history/toilets.html]











