イタリアの脱獄王、4度目のプリズンブレイクに成功

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 2025年12月のある日、イタリア・ミラノにあるオペラ座刑務所から、1人の受刑者が脱獄した。

 彼が使ったのは、窓の鉄格子をのこぎりで切り開き、結び目のあるシーツを使って脱出するという、ハリウッド映画さながらの手口だった。

しかもこの受刑者にとって、これが4度目の脱獄成功だったという。

 今回の事件は、イタリアの刑務所の過密と人員不足という問題を浮き彫りにする結果となったようだ。

 この受刑者は現在も逃走中で、その行方はまだ判明していない。

まるでドラマ?絵に描いたような脱獄劇

 2025年12月6日から7日にかけて、ミラノの「オペラ最高警備刑務所」で脱獄劇が起こった。

 脱獄したのは、アルバニア国籍のトマ・タウラント受刑者(41)。彼は窃盗や強盗、薬物関連の罪で服役しており、刑期は2048年10月までとされている。

 今回彼が用いた手口は、まるで映画やテレビドラマで使われるような、いわば「脱獄の王道」とも言えるものだった。

 最重要警備区画に収容されていたトマは、窓の鉄格子を切断し、結び目を作ったシーツを伝って逃走した。

 捜査当局が再現したところによると、トマは刑務所の外周にある高さ6mの外壁まで到達し、これを乗り越えた上で、夜の闇の中へと姿を消したという。

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 トマがどのようにして外壁を超えたのか、また外部に協力者がいたのかなどについて、現時点では明らかになっていない。

 現在、トマの同房のシモーネ・ボレッラ受刑者(25)が、脱獄の共犯者として取り調べを受けているという。

 ボレッラ受刑者は、トマに協力して窓の鉄格子を切断し、シーツを結んでロープを作り、窓から垂らして手助けをしたとされている。

 ただし、ボレッラ受刑者は、鉄格子の隙間を通り抜けることができず、いっしょに脱獄することは叶わなかったのだそうだ。

 刑務官労働組合のジェンナリーノ・デ・ファッツィオ事務局長は、12月7日午後の会見で次のように語っている。

刑務官とその他の法執行機関が、現在この逃亡犯の捜索にあたっており、今回も事態を解決してくれると信じています。

しかし、あらゆる抜け穴をその場しのぎで塞ぐだけでは、もはや限界です。文明国にふさわしい、実効性のある具体的な計画なしに、これ以上前進することはできません

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3回の脱獄を成功させたプリズン・ブレイクのエキスパート

 実はトマは、これまでにも3回脱獄を成功させており、今回が4回目の脱獄となったそうだ。1度目は2009年にテルニの刑務所から脱獄。

 2013年にはパルマの刑務所から脱獄しているが、この時もトマは最重要警備区画に収容されていたという。

 その後、潜伏先のベルギーで身柄を拘束されたが、2023年にはベルギーのリエージュ近郊の刑務所から脱獄に成功。

 この時は看守や警備システムを出し抜き、囚人たちが作った人間ピラミッド」を使って壁を乗り越えたのだそうだ。

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 彼は現在、イタリア全土のみならず国外も含めて指名手配されている。捜査当局は、オペラ刑務所内に設置された監視カメラの映像を解析し、脱獄の経緯を再現するとともに、外部から何らかの「手助け」があった可能性についても調査が行われている。

人員不足が原因? イタリアで相次ぐ刑務所内での不祥事

 2025年に入ってから、イタリア国内ではおよそ10件の脱獄が発生しているという。ファッツィオ事務局長は、この状況への危惧を隠さない。

今回の脱獄は、刑務所で日常的に起きている深刻な問題と相まって、少なくとも過去25年間、最近の政権も含めて続いてきた刑務所政策の失敗を、あらためて浮き彫りにしています。



オペラ刑務所では定員918人に対して1,338人の受刑者が収容されており、収容率は153%に達しています。

これを管理しているのは533人の刑務官ですが、本来必要とされる人数は少なくとも811人で、約34%が不足しているのです。

客観的に見て、これは持続不可能な状況であり、被収容者の基本的な人権を損なうだけでなく、刑務官の職員にも極めて大きな負担を強いていることになります。

想像を絶する業務量と、通常の勤務時間を大幅に超えるシフトが常態化しており、憲法上の権利すら圧迫されているのが現状です

 現在、イタリアの全受刑者数は約6万3,690人にのぼる一方で、刑務官の数は4万6,000人余りにとどまっており、全国で約2万人不足しているという。

 また、オペラ刑務所は、イタリア最大級の刑務所の一つであり、受刑者の大半が終身刑で、一生を刑務所内で暮らすことになるのだそうだ。

 彼らの管理や処遇の複雑さから、この刑務所はヨーロッパでも最も重要かつ厳重に監視された刑務所であると言われている。

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 ファッツィオ事務局長は、人員の増員はもちろんだが、受刑者の収容密度を早急に緩和する以下のような対策が、すぐに必要だと主張する。

・刑務官および他の専門職の人員増強
・老朽化が進む施設の近代化
・崩れ続ける建物への対応
・技術や装備の強化
・医療支援の確保
・そして制度全体の改革

 過密収容の問題に加え、刑務所内での暴力事件も後を絶たない。12月6日には、カストロヴィッラリにあるロゼッタ・シスカ刑務所で、暴行事件が発生。1人の受刑者が刑務官2人を襲撃した。

 この受刑者は、家族に電話をかけるために独房から出ることを許可されていたが、突然、背後から担当の刑務官を殴打し、外傷を負わせたという。さらに駆けつけた別の刑務官も攻撃され、肩を負傷した。

 今回の外間受刑者の立つ御攻撃は、こういったイタリアの刑務所の長年の問題に対する、新たな批判を引き起こすきっかけとなったようだ。

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 4回脱獄したということは4回罪を犯したわけで、反省はしていなさそう。また入っても出られるし、くらいに思っているんだとしたら、かなり深刻な問題だね。

 こんな時こそAIロボットの出番かと思うのだが。

References: https://www.rainews.it/articoli/2025/12/milano-sega-le-sbarre-della-finestra-e-si-cala-con-delle-lenzuola-evade-dal-carcere-un-pericoloso-detenuto-58c7abaa-6398-4ed4-b2ea-f6403fc84141.html[https://www.rainews.it/articoli/2025/12/milano-sega-le-sbarre-della-finestra-e-si-cala-con-delle-lenzuola-evade-dal-carcere-un-pericoloso-detenuto-58c7abaa-6398-4ed4-b2ea-f6403fc84141.html] / Evasione da Opera, indagato il compagno di cella del fuggitivo[https://www.ansa.it/sito/notizie/cronaca/2025/12/15/evasione-da-opera-indagato-il-compagno-di-cella-del-fuggitivo_1b8d3d9e-e5fb-4891-8baf-28704ace841b.html]

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