猫はどんな相手にも立ち向かう勇気を持っている。ましてやそれが自分のテリトリー内であり、家族が襲われていたとなればなおさらだ。
アメリカ、ニューヨーク州の農場で、飼育されているニワトリが野生のキツネに襲われていたのを目撃したのはこの家で飼われている20代後半の老猫だ。
猫はひるむことなく、まっすぐにキツネに向かっていった。ものすごい速さで追いかけていくと、キツネは逃げる途中で口にくわえたニワトリを離した。
それでもあきらめきれず、再びニワトリに近づこうとするキツネを、猫は決して許さなかった。
農場に忍び寄るキツネの影
2025年6月15日、カナダとの国境にも近い自然豊かなニューヨーク州ポツダムにあるジェン・メリマンさんの自宅敷地内で、平穏な日常を破る事件が発生した。
メリマンさんが設置していた監視カメラが、私道に侵入してきた1匹の動物の姿をとらえていた。北米に広く生息する野生のアカギツネだ。
キツネの狙いは、農場で飼われているニワトリたちだった。映像には、キツネが素早い動きでニワトリの1羽をひっつかみ、そのまま連れ去ろうとする緊迫した様子が映し出されていた。
激しく抵抗するニワトリ。だがキツネは離そうとせず、衝撃で大量の羽が空中に舞い散る。このままでは餌食になってしまう。
そう思った次の瞬間、画面の右下から茶色のふわふわな動物が飛び出してきた。
ニワトリを救うため、全力で走りキツネを追い払う老猫
キツネがニワトリを連れ去ろうとしたその時、メリマンさんのオスの愛猫「ヌードルス」が猛ダッシュで迫ってきた。
ヌードルスはキツネに対し、ひるむことなく追いかけていく。その凄まじい気迫に圧倒されたのか、キツネは逃げ出し、口にくわえていたニワトリを離した。
ヌードルスはニワトリの近くから離れずにガードしていたが、キツネはまだあきらめていなかったようで、再び向かってきた。
だがヌードルスはこれを許さない。再びキツネを追い払おうと迫っていく。
この間にニワトリは逃げ出すことに成功した。
映像ではキツネが画面右側に逃げていくところで終わっているが、ヌードルスはこの後もキツネを威嚇し続け、執拗に追い立てたことで、このニワトリは無事生き延びることができたそうだ。
老いてもなお強い、家族の守護者
キツネも生きるのに必死なので、隙あらばこの農場のニワトリを襲いにくるという。
残念なことに、その数週間後には数羽のニワトリが行方不明になってしまったそうだが、それでもヌードルスのおかげで、多くのニワトリは救われているという。
ヌードルスはニワトリを守る番犬ならぬ、番猫の役割を自ら買って出ているそうだ。
ヌードルスは20代後半だそうで、かなり年老いているが、長い年月をかけて経験を積み、より強く、より頼もしい存在になっているという。
家族を守るために戦う猫たち
ヌードルスのように、家族の危機に際して驚くべき勇気を発揮した猫たちは他にもいる。
2014年、カリフォルニア州の自宅前で、近所の犬に襲われた4歳の男の子を助けるため、体当たりして犬を撃退した猫のタラの話はあまりにも有名だ。
ほかにもある。
オクラホマ州で、庭にいた同居犬が2匹のコヨーテに襲われた際、黒猫のビンクスが猛ダッシュで加勢に入った。自分より獰猛なコヨーテ相手にひるむことなく突撃し、見事追い払って犬の命を救ったのだ。
ミシシッピ州で深夜、強盗の侵入を察知した元保護猫のバンディットは、寝ている飼い主を必死にひっかいて起こした。おかげで飼い主は武装した侵入者と鉢合わせすることなく撃退に成功。まさに命の恩人(恩猫)となった。
普段は自由気ままに振る舞っている猫たちだが、その胸の内には、家族を何としても守り抜くという熱いハートと勇気が秘められているのだ。











