ゴールデンレトリバーとシベリアンハスキー。どちらも人気の高い犬種だが、この2種が合わさると「ゴベリアン」と呼ばれるミックス犬となる。
個体によってどちらの特徴が強くでるかは異なるが、オランダのアムステルダムに暮らす「ザイド」はゴベリアンで、2匹のシベリアンハスキーの純血種と暮らしている。
毛色はハスキーそのものだが、耳はゴールデンのように垂れており、中身は甘えん坊という、良い意味で強烈なギャップを持つ彼は、飼い主だけでなく多くのネットユーザーの心を鷲掴みにしている。
元保護犬のゴベリアン、ハスキーとゴールデンのミックス犬
ゴベリアンのオス、ザイドはオランダのアムステルダムで、飼い主のデミ・グールセンさん(28歳)と一緒に暮らしている。グールセンさんはザイドが生後4か月のときに保護施設から引き取り、家族として迎え入れた。2025年12月現在、もうすぐ2歳になる。
ザイドは、体格や振る舞いはゴールデンレトリバーそのものだが、毛色はシベリアンハスキー特有のグレーと白の模様をしている。
また、ハスキーのピンと立った耳とは異なり、ゴールデン特有の柔らかな垂れ耳を持っているのが大きな特徴だ。
彼はグールセンさんが飼っている2匹の純血種のシベリアンハスキー、ダニャとベイリーと一緒に元気に過ごしているが、他の犬たちとは「かなり違う」ようだ。
ザイドはハスキーというより、だいぶゴールデンレトリバーに近い性格をしているという。
全く別のルーツを持つ2つの犬種
ゴールデンレトリバーとシベリアンハスキーは、どちらもアメリカで最も愛されている犬種リストに名を連ねているが、彼らのルーツは大きく異なる。
ゴールデンレトリバーは、19世紀のスコットランドにおいて、貴族が理想の鳥猟犬を求めて意図的な交配を重ね、作出された比較的新しい犬種だ。
ハンターが撃ち落とした水鳥を回収する役割を担い、人と阿吽(あうん)の呼吸で連携できるように生み出された。
「外交的で温和、人と信頼関係を築き、喜ばせることが大好き」という特性は、盲導犬や捜索救助活動といった分野でも発揮されている。
一方、シベリアンハスキーの起源は古く、シベリア北東部のチュクチ族によって、過酷な環境を生き抜くために育て上げられてきた犬種だ。
厚い被毛を持つそり犬として、広大な氷の大地で軽い荷物を引くために、長い年月をかけてその能力が確立された。
友好的だが威厳があり、いたずら好きで独立心が強いハスキーは、持久力と軽快な動き、そして印象的な瞳で知られている。
どちらも社交的でエネルギッシュな使役犬だが、一方は「人の指示に従い喜ばせるため」、もう一方は「過酷な自然の中で自立して働くため」に生み出された。ルーツの違いが、持って生まれた性格の決定的な違いとなっている。
「ゴベリアン」に見られる一般的な特徴
ゴールデンレトリバーとシベリアンハスキーのミックス犬は、通称「ゴベリアン(Goberian)」と呼ばれている。
ゴベリアンは両親から高い知能と運動能力を受け継ぐ傾向がある。ゴールデンレトリバーの「人懐っこさ」とハスキーの「冒険心」を併せ持っており、非常に活動的だ。
外見のバリエーションは豊かで、ザイドのようにゴールデンの垂れ耳とハスキーの毛色を持つ場合もあれば、その逆のパターンもあり、ハスキー特有のブルーアイを持つ個体もいる。
性格面では、ゴールデンの従順さがハスキーの頑固さを和らげることが多いといわれているが、どちらの血が濃く出るかは育ってみないとわからない。
だがどちらの血が色濃くでようとも、愛しい家族であることに変わりはない。
クールな見た目に隠された「奉仕の心」
飼い主のグールセンさんにとって、こうした犬種による性質の違いは日常的に感じられるものだという。
「ザイドはどこへでもついてきますし、水や泳ぐことが大好きです」と彼女は言う。「とても甘えん坊で、いつもかまってほしがるんです」
それでも、ゴールデンのような献身性の奥に、ハスキーらしい振る舞いの兆候も見られるという。
「ザイドはよく言うことを聞きますし、私のために何かをしようとするんです」と彼女は説明し、渡したものを喜んで運んでくれることを例に挙げた。
「一方、うちのハスキーたちは私を横目でチラリと見るだけですね。ザイドにはゴールデンレトリバー特有の喜ばせたい欲があるんです」
グールセンさんはTikTok(@demi.geurtsen)で、ゴベリアンとハスキーたちが美しい風景の中で冒険を楽しむ動画などを定期的に公開しているので要チェックなのだ。











