何気なく利用している文明の利器が、突然牙をむくことがある。バングラデシュの首都ダッカにある大学構内で、多くの学生を乗せた下りエスカレーターが突如として制御不能に陥り、猛スピードで急加速するという事態が発生した。
SNSで拡散された16秒間の動画には、通常速度から一気に加速し、まるで絶叫マシンのようになったエスカレーターにしがみつく学生たちの姿が映し出されている。
幸いにも目立った怪我人は報告されていないようだが、現場は一時パニック状態となり、施設の安全管理に対する議論が巻き起こっている。
日常の移動が恐怖のアトラクションに
バングラデシュの名門私立大学であるBRAC大学のキャンパス内での出来事だ。学生たちが日常的に利用していたエスカレーターに異変が起きた。
何の前触れもなくエスカレーターが急加速を始めた。
片側のエスカレーターは正常に動いているように見えるが、問題の下りエスカレーターだけが、明らかに異常なハイスピードで動き出したのだ。
現場の空気は一瞬にして張り詰めたものに変わった。「動け、動け、早く行け!」という叫び声が響き渡り、逃げ場を失った学生たちの間で混乱が生じた。
手すりを必死に掴んでバランスを保とうとする者、前の人の背中を支えにする者、足元をふらつかせながらもなんとか転倒を免れようとする者など、誰もが必死の形相だ。
下りきった場所にいた学生たちは、次々と押し出されてくる後続の人波に巻き込まれないよう、慌てて飛び降りるようにしてその場を離れた。
周囲で順番待ちをしていた学生たちも、あまりの出来事にショックを受け、呆然と立ち尽くしたり、悲鳴を上げたりしていた。
この様子を捉えた16秒の動画は、同大学の学生であるタヒミド・カマル氏によって撮影され、またたく間にXなどのSNSで拡散された。
動画は大きな怪我人が映ることなく終了しているが、その速度と混雑具合を見れば、一歩間違えば大惨事になっていたことは想像に難くない。
もし誰か一人が転倒していれば、将棋倒しは避けられなかっただろう。
原因は不明。問われる安全管理とメンテナンス
この動画が拡散されるにつれ、ネット上ではキャンパス内の安全基準や、日常的なメンテナンス体制に対する懸念の声が多く上がった。
特に授業の合間など、学生が集中するピーク時にこうした機械的な欠陥が起きれば、被害は甚大なものになる。
エスカレーターの誤作動自体は稀なケースかもしれない。しかし、閉鎖された空間で逃げ道が限られている場合、たとえ直接的な怪我がなくても、パニックそのものが二次災害を引き起こすリスクがある。
現在のところ、BRAC大学側からは、エスカレーターがなぜ加速したのかという詳細な原因についての公式声明は出されていない。
機械そのものの欠陥なのか、制御システムのエラーなのか、あるいはメンテナンスの遅れが招いた結果なのかは不明なままだ。
また、事故後にエスカレーターが停止されたのか、検査が行われたのかといった公式な確認情報も発表されていない。
公共空間におけるインフラの予期せぬ故障を捉えた動画は、世界中で増え続けている。
今回の映像はほんの一瞬の出来事だが、多くの人が利用する公共の場において、安全確認と緊急時の対応がいかに重要であるかを、改めて思い起こさせてくれる。
References: Gulfnews[https://gulfnews.com/world/asia/viral-video-shows-escalator-malfunction-triggering-panic-at-brac-university-in-dhaka-1.500381959] / Hindustantimes[https://www.hindustantimes.com/trending/outofcontrol-escalator-at-dhaka-university-sparks-panic-among-students-watch-101765888132469.html]











