アメリカのミネソタ州には、かつて外で生まれ育った生粋の野良猫たちが350匹以上も暮らす巨大な猫の保護施設がある。
ここはまさに猫たちの聖域で、訪れる人々はたくさんの猫たちに会えることを期待しているのだが、その群れの中に一匹だけ、猫ではない動物が完璧に溶け込んでいる。
「絵本のウォーリーを探せ」さながらに目を凝らして探してみると、そこにはなんと穏やかな表情を浮かべた犬の姿が!
実はこの犬、スタッフに引き取られた元保護犬なのだが、猫たちの部屋に行きたいと鳴いてせがんだ結果、この聖域の一員となることができたという。猫たちが認めているかどうかはちょっとよくわからないが。
この犬は自分は大きな猫だと思っているようで、今では猫たちを群れとしてまとめようと日々奮闘しているらしい。
猫ちゃんたちと一緒にいたい!鳴いて懇願した犬
ミネソタ州にある猫専用保護施設、ファーボール・ファーム・キャット・サンクチュアリ[https://furballfarmcatsanctuary.com/]を運営する責任者の一人、ジャニスさんは、7年前に元保護犬のベラを引き取った。
仕事場であるこの施設にベラを連れて行くようになったジャニスさんだったが、当初はたくさんの猫たちが自由に過ごす専用エリアに犬を入れることなど全く考えていなかった。
ところが、ベラは別の考えを持っていた。
猫たちが居住するエリアの入り口に立つと、中に入れてほしいと切ない声で鳴き始め、自分も仲間に入りたいと必死に訴えかけたのだ。
ジャニスさんは戸惑ったものの、あまりにも入りたいとせがむので、慎重にベラを猫たちに引き合わせた。
しかし、いざ対面させてみると、驚いたことにほとんどの猫がベラと一緒にいても落ち着いて過ごせることがわかった。
それからというもの、ベラが猫たちに寄り添って眠る姿は、施設では当たり前の光景となった。
350匹の猫を群れとしてまとめようと日々奮闘するベラ
ジャニスさんをはじめとする施設のスタッフは、350匹もの猫がひしめき合う猫の聖域で常に猫に気を配っているベラのことを頼もしく感じている。
ベラ自身もなぜか使命感を持ち、頼まれてもいないのに猫たちを羊のように群れとしてまとめようと日々奮闘している。
ベラは猫たちを誘導して守ろうとする本能を持っているようで、その情熱と熱心な姿は今や施設に欠かせない風景となった。
子猫たちに猫パンチされようと、その場から逃げることなく「まあまあ、猫さん落ち着いた」とばかりにどっしりと腰を下ろす。
だが350匹という大所帯だ。全ての猫がベラを歓迎するわけではないため、スタッフは相性をしっかり見極めて接触を調整している。
実はベラの存在がこの施設にとって役に立つ理由がある。
ベラと寄り添ってくつろげる猫であれば、新しい飼い主の家に先住犬がいても、問題なく一緒に暮らしていけるという貴重な指標が得られるからだ。
ベラはとにかく猫が大好きで、猫たちに囲まれながら過ごすのが生きがいのようになっちゃっている。
ベラに猫化の傾向が現れる
猫たちと長い時間を共有してきたベラは、次第に猫のような習慣を身につけていった。
いけないことだと理解していても、時々こっそり猫の餌を盗み食いしようと試みることがある。
さらに、猫からお昼寝の極意もしっかりと教わったようだ。猫たちと同じように、暖かい床暖房の上で眠る時間を何よりも愛している。
すべての犬がこれほど多くの猫に囲まれて平穏に過ごせるわけではない。だが、ベラにとってはこの場所こそが最高の安らぎの場なのだ。
ジャニスさんは、ベラが自分のことを一匹の巨大な猫だと思い込んでいるのではないかと感じている。
自分から望んで猫の聖域に飛び込み、一応は仲間として猫たちに認められたっぽいベラの特別な毎日は、これからもたくさんの温もりに包まれて続いていくだろう。
そのうち香箱座りもマスターしちゃったりするのかな。











