年末が近づくと、なぜか毎年のように復活するものがある。それが「ノストラダムスの予言」である。
16世紀のフランスの医師であったノストラダムスが残した予言は、日本では特に「1999年地球滅亡説」で一世を風靡。今も彼の名前はよく知られている。
この予言は大外れしたとされているが、実は海外は別の解釈がなされていた。その理由は本文で詳しく説明するが、いまだに彼の予言を知りたがる人は少なくない。
ということで、ノストラダムスが残した予言書とされる「百詩篇集」より、2026年に関係があると思われるフレーズをいくつかピックアップしてみよう。
2025年の予言は当たったのか?
その前に、2025年の予言は果たして当たっていたのだろうか。予言によると、2025年には以下が起こりうるとのことだった。
- 戦争の終結
- 隕石衝突
- イギリスで「古代の疫病」が再来
- ブラジルを襲う自然災害
戦争や紛争は世界各地で勃発しているが、「長き戦争で軍隊が疲弊し、兵士に支払う金が尽きる」との予言は、おそらくロシア・ウクライナ戦争に関するものと解釈されていた。
2025年12月現在、残念ながら戦争はまだ続いており、膠着状態と言ってもいいだろう。軍隊が疲弊し、金が尽きたという点は当たっているのかもしれないが。
地球に巨大隕石が衝突した事実も確認できない。2025年10月に小惑星が南極上空409kmを通過[https://sorae.info/astronomy/20251015-2025-tf.html]した件がニュースになったが、衝突したというわけではない。
イギリスの「疫病」についても、鳥インフルエンザが散発で発生したり、エムポックスの感染が確認されたりはしたものの、これは古代の疫病には当たらないだろう。
また、ブラジル各地では確かに大雨による洪水や土砂災害が起きている。ただしどれも、毎年どこかで起こっているレベルのものであり、2025年に特筆すべきものだったかというと疑問が残る。
というわけで、ギリギリ自然災害については「当たらなかったわけではない」と言うのが落としどころだろうか。
さて、それでは2026年に関連すると思われる予言を見ていこう。[https://abcnews.go.com/US/asteroid-flew-closer-earth-satellites-space-agencies/story?id=126289953&utm_source=chatgpt.com]
ノストラダムス、2026年の予言
1.スイスの川が血であふれる
都市が示す恩恵のゆえに…ティチーノは血であふれるだろう
ティチーノとはスイス南部の州だが、ここで言及されているのは、スイスとイタリアを流れるティチーノ川のこととされる。
ただし、ノストラダムスは予言の中で、ティチーノという地名を明言してはいない。原文では「川が赤く染まり、大地が大きな争いに見舞われる」と記されている。
なのでこの予言を原文通りに受け取ると、スイスやイタリア周辺で川が赤く染まるような戦争や内乱、あるいは自然災害や疫病が発生するのかもしれない。
2.有名人が雷に打たれる
偉大な人物は昼間に雷に打たれるだろう
文字通りに読めば、王族や政財界の重鎮、セレブリティなどが、昼間に雷に打たれるという予言に見える。
だがこれを比喩として見たとき、世界をリードする大物の指導者が、突然失脚したり暗殺されたりする暗示にもとれないだろうか。
3.蜂の大群が出現する
蜂の大群が夜の待ち伏せによって出現し、どこから来たのかもわからなくなるだろう
これは本当にリアルな蜂の大群が現れるのかもしれないし、ドローンのような小型の飛行機械の比喩かもしれない。後者だとすると、「夜の待ち伏せ」というのはいささか不穏である。
ミツバチの減少が世界的な問題になっていることもあり、文字通り蜂が増えるという意味にとって、ポジティブに解釈する(したい)向きもあるようだ。
4.海の上で戦争が起こる
フスタ船やガレー船が7隻の船を囲み、死闘が繰り広げられるだろう
フスタ船とは、浅瀬に適した小型のガレー船のこと。海上での軍事行動を連想させるフレーズである。
この部分に関しては、近年緊張が高まっている南シナ海や台湾周辺など、中国に関する予言なのでは?との解釈が行われている。
5.奴隷の民が高い地位につく
奴隷のように扱われている民が、戦争での幸運によって、非常に高い地位にまで引き上げられるだろう
弱い立場だった集団が、戦争をきっかけに高い地位につく。もしかすると革命や政変が起こるのかもしれない。
奴隷を意味する「slave(英)/esclave(仏)」の語源は、ラテン語の「sclavus」であり、「隷属する民」の他に「スラブ人」という意味もあったとされる。
そのため、主に英語圏では、ロシアとウクライナの関係に大きな変化が起こるのでは?という解釈もされているようだ。
6. 7か月続く大戦争
7か月にわたる大きな戦争があり、災厄によって多くの人々が死ぬ。しかしルーアンとエヴルー、王が敗北することはない
原文に年号は示されていないが、7か月と言う期間や戦争・地名という材料が揃っているため、後世の解釈者たちは現代史と結び付けて読んできた。
ルーアンとエヴルーはフランスの都市だが、これを「2つの勢力」に読み替えて、ロシアとウクライナ、あるいは中国とアメリカといった、「屈服を拒む指導者」による戦争を意味するのでは?といった解釈も囁かれている。
7.祖先が地獄の底から出てくる
棺は鉄の墓室に納められ、そこには王の7人の子供が閉じ込められている。祖先たちは地獄の底から姿を現し、子孫が死んだのを見て嘆くだろう
まるで先祖がゾンビか亡霊になって現れるとでも言いたげな、かなりホラー寄りの予言である。
鉄で囲まれた墓室とは、セキュリティや規制の壁に囲まれたネット空間を象徴しているのかもしれない。
あるいは、世界のどこかで代々続いた系譜が途切れてしまうことの暗示なのかもしれない。どちらにせよ、あまり明るい予言ではなさそうだ。
ノストラダムスは本当に1999年滅亡を予言したのか?
ここで予言者ノストラダムス本人についても、さらっと紹介しておこう。ノストラダムスことミシェル・ド・ノートルダムは、1503年にフランスで生まれ、医師や占星術師として活躍した人物である。
1555年に発表した『百詩篇集』で、韻を踏んだ四行詩の形で未来を示唆したとされるが、詩は比喩や暗喩が多く、年号や固有名詞をあえてぼかしているため、後世の出来事に当てはめてさまざまに解釈され続けてきた。
日本では「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」という一節が大ブームとなり、世界の終わりを示す予言として広く知られることとなった。
しかし、この「1999年滅亡説」が社会現象にまで発展したのは、日本特有の現象といえる。
その背景には、作家・五島勉氏が当時の冷戦や公害といった社会不安を背景に、難解な予言詩をドラマチックな物語として翻訳・紹介した経緯がある。
五島氏による独自の解釈と筆致が、多くの日本人に「世界の終末」という強烈な印象を植え付けたのである。
対照的に、海外ではこの詩が地球の終焉を意味するという捉え方は一般的ではなかった。
欧米の研究者の多くは、詩に登場する「アンゴルモア」をフランスの地名のアナグラムと推測した。
1999年8月の皆既日食や、政治的な指導者の交代、あるいはキリスト教的な「ミレニアム(千年紀)」の節目に伴う社会変動を指すものと解釈するのが主流であった。
実際には1999年に人類滅亡は起こらず、この一件をきっかけに「ノストラダムスの予言は当たらない」という見方も定着したが、この背景には、当時の出版文化が生んだ独自のイメージが深く関わっている。
本来の予言は「滅亡」の宣告というよりも、時代の大きな転換点に対する象徴的な警鐘に近いものであったといえるだろう。
信じるか信じないかはあなた次第
今も年末が近づくと、ノストラダムスをはじめとする予言や占いが、各国のメディアなどで特集されている。
今回紹介した「2026年に関連する」予言とは、26番目のフレーズや、数秘術的に「2+0+2+6」で計算した「10」に関連するフレーズを集めたものである。
こういった予言の類は、科学的に実証されたものではないため、その正確性や信憑性は定かでない。解釈の違いでも大きく変わる。
この記事の内容はあくまでエンターテインメントとして楽しんでもらうためのものだ。あとは来年の答え合わせとかもね。
ブルガリアの予言者「ババ・ヴァンガ」の2026年の予言も、合わせて楽しんでもらえたらいいんじゃないかな。
References: Nostradamus prophecies for 2026: Bees, 7 months great war, 3 fires and more[https://www.wionews.com/photos/nostradamus-prophecies-for-2026-bees-7-months-great-war-3-fires-and-more-1765255518958/1765255518966] / Nostradamus' Predictions For 2026 Are Pretty Spooky[https://www.grunge.com/2031779/nostradamus-predictions-2026-spooky/]











