惑星が生まれる場所は、宇宙では巨大な円盤のような形をしている。NASAのハッブル宇宙望遠鏡が、これまでに観測された中で最大となる惑星の誕生現場を撮影することに成功した。
ケフェウス座の方向、地球から約978光年離れた場所に位置するこの巨大な円盤は、私たちの太陽系をはるかに超える規模を誇る。
これまでの科学的な常識を覆すほど無秩序で、激しく乱れた姿を見せている。科学者たちがドラキュラのチビートという愛称を付けたこの天体は、惑星がどのように形作られるのかを知るための重要な手がかりとなる。
この研究成果は『The Astrophysical Journal[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/ae247f]』誌(2025年12月23日付)に掲載された。
観測史上最大となる惑星誕生の現場
天文学者たちはハッブル宇宙望遠鏡を使い、若い恒星のまわりを回る原始惑星系円盤を可視光で詳しく調べた。
この円盤は生まれたばかりの星の周囲にガスや塵が集まってドーナツ状に広がった構造で、惑星が作られるための材料が詰まっている。
今回発見されたアイラス 23077+6707(IRAS 23077+6707)という天体は、その大きさが約6437億kmにも及ぶ。これは太陽系の果てにあるカイパーベルトの外縁までを含めた太陽系の直径と比較しても、40倍もの大きさがある。
円盤の中央には若い星が隠れており、非常に高温で巨大な星か、あるいは2つの星が回り合う連星であると考えられている。
この巨大な円盤は、既知の惑星形成円盤の中で最大であるだけでなく、最も珍しいものの一つとして注目されている。
ユニークな愛称の由来と共通点
この巨大な天体には、ドラキュラのチビート(Dracula’s Chivito)という不思議な愛称が付けられた。
この名前は研究チームの出身地を反映したもので、一人が吸血鬼ドラキュラの伝説で有名なルーマニアのトランシルバニア出身であり、もう一人がチビート(Chivito)と呼ばれる肉料理のサンドイッチを国民食とするウルグアイの出身だったことに由来する。
ハッブル宇宙望遠鏡が捉えた画像を見ると、この円盤を真横から観察した姿は、中央にある塵の暗い帯を上下から光るガスが挟み込んでいる。
その見た目が、具材をたっぷりと挟んだハンバーガーやサンドイッチのように見えることも、この名前が選ばれた理由となっている。
片側だけが伸びた奇妙な不均衡構造
今回の観測で科学者たちを驚かせたのは、円盤の形が非常に不自然なほど歪んでいることだ。
一般的な惑星の誕生現場は整った形をしていることが多いが、この巨大な円盤はフィラメントと呼ばれる糸状の物質が、なぜか片側にだけ長く伸びている。
ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のクリスティーナ・モンシュ博士は、惑星の誕生現場がこれほどまでに活発で混沌としていることは予想外だったと述べている。
この不規則な構造は、最近の塵やガスの流入、あるいは周囲の環境との激しい相互作用といった、ダイナミックな変化が円盤を形作っていることを示唆している。
太陽系のルーツを探る手がかり
共同研究者のジョシュア・ベネット・ラベル氏は、ハッブル宇宙望遠鏡が惑星を作り上げている最中の無秩序なプロセスを特等席で観察させてくれたと語る。
この円盤は木星の10倍から30倍もの質量を持っていると推定され、複数の巨大なガス惑星が誕生するのに十分な材料が存在する。
これは、かつて私たちの太陽系が生まれたばかりの頃の姿を、より巨大なスケールで見ている可能性がある。
モンシュ博士は、このような巨大な環境では惑星の形成方法が異なるかもしれないが、根本的な仕組みは似ているだろうと推測している。
この新しい画像は、惑星が長い時間をかけて、さまざまな環境でどのように形成されるのかを解明するための出発点となるだろう。
References: Science.nasa.gov[https://science.nasa.gov/missions/hubble/nasas-hubble-reveals-largest-found-chaotic-birthplace-of-planets/]











