痛恨の一撃ってやつだ。自分の動きをそっくりそのまま再現してくれる最新のAIヒューマノイドロボットを操作していた男性が、ロボットに股間を蹴り上げられてしまうという惨劇に見舞われた。
どれだけ痛いのかは女性にはちょっとよくわからないが、悶絶してうずくまる様子を見ると、かなりの激痛が走ったに違いない。
自分で操作しているのになぜ?と思うかもしれないが、これには、最先端のロボット工学が抱える「通信のわずかな遅延」という、笑うに笑えない致命的な課題が隠されていたのだ。
ロボット操作中、股間にクリティカルヒットを食らう
中国の研究施設のオフィスの一角で、その事故は起きた。黒いモーションキャプチャースーツを着た男性が、ヒューマノイドロボット「Unitree G1」の隣に立ち、キックボクシングの構えをとっていた。
このロボットは、最新の遠隔操作技術によって、男性の動きを鏡のようにコピーして動く仕組みだ。
男性がステップを踏みながらシャドーボクシングや空中に向けた蹴りを繰り出すと、ロボットもその動きをそっくりそのまま再現していく。
ところが、ロボットが男性の正面に回り込んだ瞬間、最悪のタイミングが訪れた。
男性の動きを約1秒遅れて追いかけていたロボットの脚が、あろうことか操作主である男性の股間にクリティカルヒットしてしまったのだ。
最新技術ゆえに生じた「一瞬のズレ」
男性が悶絶するこのシュールな動画は、中国の動画共有サイト「Bilibili」に投稿されるやいなや、瞬く間に世界中へ拡散された。
これほど器用な動きができるのは、ニューラルネットワークに基づいた高度な動作制御モデルを使っているからだが、現時点では人間の動きとロボットの反応の間に、どうしてもわずかなタイムラグが生じてしまう。
投稿者によれば、この遅延は将来的に0.1秒以下にまで短縮される見込みだという。
しかし今回は、その進化の過程で生じた一瞬のズレが、操作主自身の急所を正確に射抜くという皮肉な結果を招いた。
ロボットは男性と同じポーズをとっているが、見方によっては男性の惨劇を腹を抱えて笑っているかのようにも見えたりする。
「AIの反逆」を予感させるネットの反応
この「自業自得な自爆劇」に対し、SNS上では多くのユーザーが反応した。
X(旧ツイッター)のあるユーザーは、「未来の支配者たちに、人間の倒し方をわざわざ教えてやっているようなものだ」と皮肉を込めてコメント。
また別のユーザーは、SF作家アイザック・アシモフ氏の小説に登場するロボット三原則をプログラムし忘れたのではないかと指摘している。
人間に代わってロボットが活躍する未来を予感して、もはや人間は不要になるかもしれないという声も上がった。
高度なAIが人間の弱点を学習したかのようなこの光景は、人々に「技術への期待」と同時に「AIへの根源的な恐怖」を思い起こさせたようだ。
ヒューマノイドロボットの課題
今回の騒動の主役となったのは、中国のUnitree Robotics社が開発したUnitree G1だ。
価格は約1万6000ドル(約240万円)と、高性能なAIヒューマノイドとしては比較的手が届きやすく、身長約127cmと小柄ながら、関節の可動域が非常に広く、アクロバティックな動きも可能だ。
スタンフォード大学などが研究している遠隔操作システム「TWIST」もこの機体が採用されており、人間がしゃがめばロボットもしゃがむといった精度の高い制御が実現されている。
将来的には、人間が操作したデータを大量に蓄積することで、ロボットが自律的にスキルを学ぶための教材としても期待されている。
しかし、AIが目標を追求するあまり、人間の意図から外れた行動をとる問題は深刻で、ロボットが人間に危害を加えないという倫理を守らせるには、まだ多くの壁が立ちはだかっている。
ヒューマノイドを一般家庭で安全に稼働させるための研究は世界中で行われているが、実用化への道はもう少し先になりそうだ。











