ベテルギウスの隣に隠れた相棒を発見!謎の減光の正体がついに判明か
ベテルギウスとそれを周回する伴星の想像図 Artwork: NASA, ESA, Elizabeth Wheatley (STScI); Science: Andrea Dupree (CfA)

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 オリオン座の赤色超巨星ベテルギウスの周囲に、隠れた伴星が存在することを裏付ける決定的な証拠が発見された。

 NASAのハッブル宇宙望遠鏡と地上の天文台が、この伴星がベテルギウスの膨大な大気をかき乱しながら進む「航跡(こうせき)」を初めて直接捉えたのだ。

 この発見により、長年謎とされていた6年周期の明るさの変化が、星の内部現象ではなく外部天体による物理的な干渉である可能性が極めて濃厚となった。

大気の中に刻まれた伴星の航跡

 アメリカ、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター(CfA)のアンドレア・デュプリー博士率いる研究チームは、ハッブル宇宙望遠鏡と複数の地上望遠鏡を用い、約8年間にわたってベテルギウスの大気を精密に観測した。

 その結果、ベテルギウスの外層大気の中に、周囲よりも密度の高い物質が尾を引くように渦巻く構造を検出した。

 この現象を引き起こしているのは、以前から存在が予測されていた伴星だ。

 この星はハワイのジェミニ北望遠鏡によって初めて直接観測され、2025年7月にNASAエイムズ研究センターのチームが画像を公開した。

 おぼろげに捉えられた青白い伴星には、学術的な仮称「オリオン座α星B(Alpha Ori B)」や、ベテルギウスの相棒を意味する「ベテルバディ(Betelbuddy)」という愛称があるが、この時、アラビア語でブレスレットを意味する「シワルハ(Siwarha)」という名が付けられた。

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 そして2026年1月6日、アリゾナ州フェニックスで開催されたアメリカ天文学会第247回総会で、デュプリー博士が発表した最新研究では、この伴星がベテルギウスの大気内を公転し、ガスを物理的に攪乱している様子を克明に記録したという。

 デュプリー博士は、この様子を水面を進むボートに例えている。ボートが通過した後に波紋が残るように、伴星が大気に物理的な影響を与え、その痕跡がスペクトルデータとして明確に捉えられたのだ。

 研究チームはこの星を、アラビア語でブレスレットを意味する「シワルハ(Siwarha)」と名付けている。

 この航跡が確認されたタイミングは、伴星が約2100日の周期でベテルギウスの前を横切る計算上の軌道と正確に一致している。

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繰り返された超新星爆発の噂

 ベテルギウスは、古くからその挙動が注目されてきた星だ。不規則な減光が観測されるたびに、いよいよ超新星爆発が起こるのではないかという話題が絶えなかった。

 2019年末から2000年初頭に起きた大規模な減光の際も世界中で騒動となったが、その後の解析で星の表面から放出されたガスが冷却され、塵となって光を遮ったことが原因だと判明している。

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 こうした騒動の背景には、ベテルギウスに見られる複数の明るさの変動周期がある。

 膨張と収縮による約400日の周期に加え、約6年という長い周期の変動が存在し、これが星の寿命が終盤にある予兆ではないかと議論されてきた。

 しかし今回の発見は、この長期的な変動が内部崩壊の兆しではなく、伴星という外部要因によるものであることを明確に示している。

ベテルギウスの明るさの変動と伴星の因果関係を特定

 先に挙げた2025年のジェミニ北望遠鏡による伴星の画像を、NASAエイムズ研究センターが公開した際、それは存在を示す強力な証拠となったが、一部の専門家からは「確定させるにはさらなる観測が必要だ」という慎重な意見も出ていた。

 視覚的な発見だけでは、明るさの変動と伴星が本当に関連しているのかを完全に証明できなかったからだ。

 今回の研究が決定打と言われる理由は、ハッブル宇宙望遠鏡がその伴星が実際に大気をかき乱し、物理的な影響を与えている現場を8年分のデータで証明したからだ。

 これにより、伴星「シワルハ」が、ベテルギウスの明るさを6年周期で変化させている有力な実体であることが示されたのだ。

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巨大星の進化を読み解く指標

 地球から約550光年離れたベテルギウスは、半径が太陽の約760倍(以前の想定より約25%小さい数値)であり、その中には太陽が約4億4000万個も収まるほどの巨大さを誇る。

 これほど巨大な星が、至近距離にある伴星とどのように影響し合い、質量を宇宙空間へと放出して進化していくのかを知ることは、恒星物理学における重要な課題だ。

 今回の発見により、ベテルギウスの長期的な光度変化は、星の寿命が尽きる兆候ではなく伴星との力学的な関係によるものであることが示された。

 これは、巨大な星が超新星爆発へと至るまでの正確な進化プロセスを解明するための極めて重要なデータとなる。

 シワルハは2027年11月に、地球からの観測でベテルギウスから最も離れた位置に到達すると予測されている。

 その時、この伴星をより鮮明に捉える新たな観測が計画されているとのことなので、期待して待つことにしよう。

あと2年、頑張って生き残れば、シワルハの詳しい正体を見ることができるかもしれない。

この研究成果は『The Astrophysical Journal[https://iopscience.iop.org/journal/0004-637X]』誌へ掲載予定だが、現在は査読前論文[https://arxiv.org/abs/2601.00470](2025年1月1日付)が公開されている。

【追記】(2026/01/09)
 地球からベテルギウスまでの距離は長年約650光年~700光年と考えられてきましたが、2020年の最新研究(Joyce et al.[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/1538-4357/abb8db])により、現在は約548光年とする説が有力視されています。これに伴い、本文中の距離および星の大きさに関する記述を最新の数値に訂正いたしました。

References: Science.nasa.gov[https://science.nasa.gov/missions/hubble/nasa-hubble-helps-detect-wake-of-betelgeuses-elusive-companion-star/]

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