2026年1月、アメリカ・ペンシルベニア州にある古い墓地で続いていた墓荒らし事件は、思いもよらぬ展開を迎えた。
捜査を進めていた警察が辿り着いた先には、100点を超える遺骨やミイラ化した遺体が集められた地下室だ。
警察関係者が「ホラー映画が現実になったようだった」と語る現場で、いったい何が起きていたのだろうか。
閉鎖された墓地で墓を荒らしていた男を逮捕
事件発覚のきっかけとなった場所はフィラデルフィアの郊外、デラウエア郡エイドンにあるマウント・モライア墓地である。
2026年1月6日、墓地周辺に停まっていた車の後部座席に、人間の骨や頭蓋骨が置いてあるのを警察が発見した。
車の持ち主はジョナサン・ガーラック(34)で、バールを持って車に戻ろうとしていたところを逮捕された。
その際に所持していた麻袋の中からは、幼い子供2人分のミイラ化した遺体、3つの頭蓋骨、その他の骨が見つかった。
容疑者の自宅から100点を超える遺骨や遺体が発見される
さらに墓地から約110km離れた場所にある彼の自宅を調べたところ、地下室から100点を超える人骨・頭蓋骨、ミイラ化した手足、腐敗が進んだ胴体2体分、その他の骨格の一部が発見されたという。
遺体の状態はさまざまでした。吊るされているようなもの、組み合わされていたもの、棚の上に頭蓋骨だけが並べられているものもありました。
これらの遺体の中には200年前のものもある一方で、明らかにもっと新しいもの、中にはペースメーカーが体についたままのものもありました
デラウェア郡のタナー・ラウズ検事は、現場の様子についてこう語っている。地下室からは遺体のほか、墓から盗まれたとみられる装身具も回収された。
捜査官たちは、まるでホラー映画が現実になったかのような現場に入りました。本当に信じられない光景でした。
私自身も、捜査官も、そして目の前にあるものを文字通り「繋ぎ合わせようとしている」検視官たちも含め、関係者の誰一人として、こんな現場を見たことはありません。
現時点では、すべての遺体について年代を特定したり、身元を確認したりすることはできていません。本当に恐ろしい出来事です
2か月にわたっって「墓荒らし」を続けていた
ガーラックの車両ナンバーを照会した結果、警察は墓荒らしが発生していた期間中、ガーラック容疑者が何度もエイドン周辺に現れていたことを突き止めた。
警察によれば、マウント・モライア墓地では2025年の11月初旬以降、少なくとも26か所で墓荒らしが発生していた。
手口の多くは古い密閉型の納骨庫や霊廟を狙ったもので、石材が破壊されたり、こじ開けられたりしていたという。
捜査当局に対し、ガーラック容疑者は約30体分の人骨を持ち去ったと話し、盗掘した墓の場所も示したそうだ。
捜査官たちは現時点で大量の骨を回収し、それが誰なのか、どこから来たのか、そして一体何人分なのかを突き止める作業を続けています。最終的な答えが出るまでには、かなりの時間がかかるでしょう。
マウント・モライア墓地に家族が埋葬されているバーバラ・キルマーティンさんは、今回の事件を知って次のように話している。
疑問が山積みで、誰に相談したらいいのかもわかりません。亡くなった人の願いを尊重し、静かに眠らせてあげることは、私たちの最後の務めです。
どうしてそれを乱すことができるのか、理解できません。どんな人間が、何のためにこんなことをするのか、想像もつきません
また、捜査が行われていることを知って墓地を訪れたクリスティ・コールさんも、不安そうにこう語る。
私の曽祖父母はここに埋葬されています。怒りも悲しみもあります。
誰であっても、亡くなったあとにこんな扱いを受けるべきではありません
19世紀に設立された「閉鎖された墓地」
マウント・モライア墓地は1855年に開設された墓地で、敷地面積は約160エーカーに及び、推定で15万基以上の墓が存在するとされる。
19世紀から20世紀初頭にかけては地域の主要な墓地だったが、20世紀後半に入ると運営母体の経営悪化や管理体制の崩壊が進んだ。
2011年には裁判所の判断により事実上の閉鎖状態となり、一般向けの新規の埋葬は基本的に停止されている。
その後は荒廃が進んだため、現在はボランティアや自治体の協力で、維持・修復活動が続けられているものの、記録の散逸や管理の難しさが課題となっている。
今回の事件では、こうした管理の空白が生じていた墓地が狙われた形となり、遺体の年代特定や身元確認に時間を要している背景の1つとみられている。
イェドン自治区警察署ののヘンリー・ジアマルコ署長は、墓地の埋葬記録の古さから、身元の特定と遺族への連絡には長い時間がかかるだろうと話している。
現在、私たちは遺族への連絡を進めている段階です。相当な量がありますが、記録が非常に古いため、作業は簡単ではありません。1800年代のものとなると、手書きの台帳を一つひとつ確認しなければならないのです
このニュースに、ネット上ではさまざまな意見が寄せられていた。
- 悲しい話だけど、今の世界の状況を考えると、正直かなり複雑な気持ちで「生きている人間を狙ったわけじゃなく、墓荒らしだった」と知って、少しだけホッとしてしまった自分がいる
- この事件を見て、改めて自分は火葬にしてほしいと思ったよ
- 彼は人骨などを扱うFacebookのグループで売買していたらしい。そんなことをする人間がいるなんて本当に許しがたい。警察にはそのグループに関わっていた人間もきちんと捜査してほしい
- 彼の婚約者、警察に保管場所の存在を知らせたらしいけど、家は共同名義なんだよね。彼が怪しい方法で骨や遺体を仕入れて売っていたことを、知っていたのかもしれない
- 15年くらい前に何度か一緒に遊んだことがある。
彼はいつも感じが良かった。こんなことをする人間だなんて微塵も感じなかったよ
- 自分も彼を高校時代から知ってたし、2024年までは連絡も取ってた。婚約したときはお祝いのメッセージも送った。本当にいいやつだったのに
- 骨は100年以上前のものも含まれていて、大人も子供も乳児もいるって聞いて、背筋が凍った。自分が死んでから100年後に、こんな変人に体を荒らされるなんて想像もしたくない
- 祖母が亡くなって25年後に「遺体が80km離れた家で見つかった」なんて電話が来るとか、悪夢でしかないよ
- 正直、こんなことを実行できる神経が理解できない。自分で気持ち悪くならないの?怖くならないの?
- 人骨の売買が成立するという事実が理解できない。売る方はもちろん買う方も理解に苦しむ。
- 腐敗した遺体に群がる虫、あの臭い。あれは人生で一番ひどい臭いだと思う。それを見つけて、保管して平気でいられるって信じられない。
- まさか彼、人骨で家具を作ってたとかじゃないよな? エド・ゲイン[https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%82%A4%E3%83%B3]は1950年代で最も恐ろしい人物だった。墓を荒らして人骨で家具や不気味なアート作品を作っていた。
目的はネットでの人骨の売買か?
実は警察は2025年12月中に、「ガーラックの自宅の地下室で、部分的に腐敗した遺体が吊るされている」という情報提供を受けていたという。
その情報には、彼が「シカゴに行き、人の頭蓋骨を売っていた」という内容も含まれていた。
捜査が進む中で、警察当局はガーラックに関連するオンライン上の活動を確認した。そこには「人骨・頭蓋骨販売グループ(Human Bones and Skull selling group)」での投稿も含まれていたそうだ。
そこでは購入者による、「おそらく10代のものと思われる骨」や「ヒヒとサル」を郵送してくれたことに対して、彼に感謝する書き込みも見つかっている。
実はアメリカでは、人骨の売買を一律に禁止する連邦法は存在しない。そのため、Facebookなどを利用した人骨の売買が実際に横行しているという。
その目的は、教育や研究のためというまっとうなものから、コレクター向けの怪しいものまでさまざまだ。
ただし、先住民の遺骨や盗掘された遺体、公有地や保護された墓地から持ち出されたものについては、連邦法や州法によって厳しく禁じられている。
今回の事件では、骨そのものの売買よりも、墓荒らしや盗難、州境を越えた移送の有無が、刑事責任の焦点となっている。
犯人は100件の死体損壊など複数の容疑で起訴された
ラウズ検事は、この前代未聞の事件の被害者に対し、その気持ちに寄り添うメッセージを寄せている。
この出来事に心を痛め、混乱し、自分の家族や子供なのではないかと苦しんでいる方々のことを思うと、胸が張り裂けそうになります。
中には数か月ほどの乳児とみられる遺体も含まれていると考えています。影響を受けたすべてのご家族に、心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
また、ジアマルコ署長も次のように述べている。
私の30年のキャリアの中で、おそらく最も恐ろしい出来事の一つでしょう。乳児の遺体もあったんです。
父親であり祖父でもある私にとって、本当に胸が引き裂かれる思いでした。人には安らかに眠る権利があるのです。
遺体はとても古いものですが、それでも彼らは生きていた人間であり、人生があり、価値のある存在でした。
私たちにとって重要なのは正義を実現することです。検事局と協力しながら、正義が果たされることを願っています
ガーラックは死体損壊と盗品受領各100件のほか、公共記念物・崇敬対象物・歴史的埋葬地それぞれの冒涜に不法侵入、窃盗など複数の罪で起訴されている。
ただし現時点では人骨の販売行為については、当局が発表した起訴一覧では罪名としては示されておらず、詳細は依然捜査中とのこと。
保釈金は100万ドル(約1億5800万円)と高額に設定されており、ガーラックは現在も拘留中である。
References: 'Horror movie come to life': Cops find more than 100 skeletal remains in man's home[https://abc7ny.com/post/jonathan-gerlach-arrest-cops-find-more-100-skeletal-remains-mans-ephrata-pennsylvania-home/18374111/] / 100 skulls and mummified body parts found in a Pennsylvania grave robbery case, police say[https://www.kcra.com/article/mount-moriah-cemetery-human-remains-theft/69956515]











