ダイバーと仲良くなったイルカ、海のゴミ拾いに協力する(ギリシャ)
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 ギリシャのコリントス沖の海で、1人のダイバーと1頭の野生のイルカが、不思議な友情を築いている。

 彼らをつないでいるのは、海に漂うプラスチックごみだ。

ひょんなきっかけで出会ったふたりは、再会を繰り返すうちに絆を深めていった。

 そしていつか、イルカはひらひらしたプラスチックゴミを拾って、「これで遊ぼう!」と持ってくるようになった。

 ひとしきりイルカと遊んだ後、ダイバーはゴミを回収する。イルカはいつの間にかそれを学習し、自主的にゴミを渡すように。

 ふたりはいつか、海洋汚染と闘う「相棒」になっていったのだ。

ギリシャの海で偶然出会ったダイバーとイルカ

 2020年の夏、ギリシャのコリントス沖でシュノーケリングをしていたダイバーのジョニー・ボーさんは、突然、2頭の野生のハンドウイルカと真正面から出くわした。

 彼は思わず固まってしまい、イルカたちはそのまま通り過ぎるだろうと思ってじっとしていたが、そのうちの1頭はなぜか離れようとしなかった。

1頭は僕に興味を持ったようでした。おそらく、モノフィンを付けてフリーダイビングしていたからだと思います。その瞬間が、僕の人生を変えました

 ジョニーさんは、その「新しい友だち」にすっかり心を奪われた。やがてイルカは泳ぎ去ったが、また会える気がしてならなかった。

 そこで彼は再会を願い、イルカと出会った同じ場所に、週に2回通い始めた。

何時間も水の中で待つことが多く、何も起こらない日もありました。

それが1か月半ほど続きました。それでも僕はあきらめませんでした

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何度か再会を繰り返すうちに仲良しになる

 そして、ほぼ2か月にわたって毎週通い続けた結果、ついに同じイルカが再び姿を現した。ジョニーは大喜びした。

 そして、イルカのほうも、久しぶりに友だちに再会できて、本当にうれしそうだったという。

 ジョニーさんとイルカの定期的な「再会」は、彼のシュノーケリング・ライフの中で一番の楽しみになっていった。

 海に入るたびに必ず会えるというわけではないが、イルカ姿を現してくれたときは、ただ一緒に泳ぐ時間を楽しんだ。

 そしてその後、ふたりはまるで親友同士のように、頻繁に海で会うようになったのだ。

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 ジョニーさんは、イルカという生き物は、ある意味「猫」に似ていると言う。

まったくの猫ってわけじゃないんだけど、遊び好きで好奇心旺盛で、時にそっけないところなんかが「猫っぽい」って言われているよね。

特にひとりで遊んだり、海藻のような物を追いかけたり、軽く触れるような仕草で愛情を示したり、独立心がありながら社交的だったりするところが。

どちらも高い知能を持つ哺乳類で、感情表現や社会構造が複雑なんだ。だから水中と陸上という違いはあっても、共通点があるように見えるのかも

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「遊ぼう」とプラスチックごみを持ってきたイルカ

 そんな日々が続いていた2021年の春、ある日イルカは、背びれの下に何か奇妙なものを挟んだまま現れた。

ナイロンのようなものが、背びれに絡まっていたんです。まるで僕にその何かを見せびらかしているみたいでした

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 ジョニーさんは少し驚いた。

イルカが何かを持ってきてくれたのは、これが初めてだったからだ。

 そしてそれは遊びではなく、何か意図があって見せに来たようにも感じられた。

そのときは、ただ遊びたくて持ってきただけだと思っていました。彼はそれを離して、僕がキャッチできるようにしてくれました。僕はそれを返す。そんなやり取りが、遊びのように感じられたんです

 その日、イルカはやがて泳ぎ去ったが、次にジョニーが海に入ったとき、また別のプラスチック片を持って現れた。ゴミで遊ぶイルカの姿に、ジョニーは驚いたが、同時に悲しくもあった。

残念ながら、ギリシャのプラスチック汚染はとても深刻な問題で、一度意識し始めると、無視することはできなくなります。

プラスチックごみは海の環境の中に常に存在しており、野生動物に害を与え、どんなに美しい海岸線でもゴミ捨て場のようにしてしまうんです

 ひとしきり遊び終わったあと、イルカがそのままゴミをくわえて海の奥へ戻っていくこともあった。

 だが、ジョニーさんの手の中に残していくこともあり、そのときは彼がすぐに水中から回収した。

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やがてふたりは一緒にゴミを集める「バディ」に

 そのうちにイルカは、ジョニーさんの行動を理解するようになった。ゴミを持ち帰るのではなく、ジョニーさんに渡すようになり、2人は一緒に海の汚染と闘う「相棒」になっていったのだ。

あるときから、僕が海の中のゴミ、特にペットボトルを拾い集めるようになりました。それを何度も彼が見ていたんだと思います。

今では、かれはそれを僕に渡してくれるんです。もちろん、ひとしきり遊んだ後に。遊びは遊びですからね

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 それから数年がたち、ジョニーさんとイルカの絆はさらに深まっていった。今では、彼は年間およそ100日をコリントスの海岸まで通い、イルカと過ごしながら、海の中のプラスチックごみを回収するために費やしている。

最近は、彼が適当なゴミを持ってきて一緒に遊んで、しかもそれを僕にくれるんです。すごくうれしいですよ。僕は、彼にビニール袋を集める訓練をしているのかもしれません

 もちろん、イルカと「待ち合わせ」ができるわけではなく、海に行っても必ず会えるわけではない。それでもジョニーさんは気にしない。ただそこに行き、必要なだけ待つのだ。

不思議なことに、彼はいつもそこにいるわけじゃないんです。

次に会えるまで、3週間から5週間かかることもあります。野生動物には予約なんて取れませんから

 OECDによれば、プラスチック廃棄物のうちリサイクルされている割合は、およそ9%程度にとどまるとされる。

 また国連環境計画は、毎年およそ1100万tのプラスチックが海へ流入していると推計しているそうだ。

 2016年の報告では、この傾向が続いた場合、2050年ごろには海中のプラスチック量が魚の総量を重量ベースで上回る可能性があるとの警告がなされている。

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 このなんとも美しい交流に、ネット上では賞賛と羨望の声が巻き起こっていた。

  • 夢の中を生きている気分って、どんな感じ?
    • 彼と一緒に水の中にいると、時間が止まったみたいになるんです。初めて彼を見たときと、同じ感覚ですね(ジョニーさんコメ)
  • 本当に素敵ですね。こんなに美しい生き物と一緒に泳げるなんて、特権そのものです。あなたはとても恵まれています
  • イルカの自然な生息環境の中で育まれる、この関係性は尊敬できます。本当に特別なことだと思う
  • この信頼関係は、どうやって始まったの?
    • 一目惚れですね……僕のほうが。ただ、同じ場所で、ひたすら彼を待ち続けただけです(ジョニーさんコメ)
  • 毎日、その素敵なイルカの友達に会いに行っているんですか?
    • 残念ながら、そうはいきません。家から片道1時間半かかるし、仕事もあるから。
      だいたい週に1~2回くらいかな。でも、彼はいつもいるわけじゃないので、次に会えるまで、何週間もかかることもあります(ジョニーさんコメ)
  • 次は、おもちゃを持って行って一緒に遊んだらいいよ。きっと気に入るはず
    • 僕が彼のオモチャなんだよ(ジョニーさんコメ)
  • あなたは本当に、本当に、本当に恵まれています。この美しい時間を大切にしてください
  • イルカと飼い猫には、似た行動の特徴があるという意見に賛成。イルカは互いに社会的で協力的な面がある一方で、単独行動も見られるから
  • この絆は甘くて心温まるものだけど、あなたちがつながっている「理由」は、本来あってはならないもの、つまりゴミなんだよね。私たち人間は、もっと良くならないと。ゴミを海に出さないようにしないとね
  • 人間は、自然の中でいちばん破壊的な存在なんだよ
  • プラスチックごみは、本当に深刻な問題。海の生き物たちが気の毒でならないよ
  • 感動しているみんな、これはゴミなんだよ。この状況に、僕らは心を痛めるべきだ。もしかしたらイルカは、「あなたたちのゴミで、僕の家を傷つけないで」って言っているのかも。悲しいよ
  • 彼はあなたのことが大好きなんだよね。そして、そのゴミを持ってきたのも、それが私たち人間のものだとわかっているからに違いないよ

 ジョニーさんとイルカの交流風景は、彼のInstagram[https://www.instagram.com/johnnie_boe_/]やTikTok[https://www.tiktok.com/@johnnie.boe]で見ることができる。

ぜひ遊びに行ってみよう。

References: Diver Befriends Dolphin — Then Sees Something Tucked Under His Fin[https://www.thedodo.com/daily-dodo/diver-befriends-dolphin-then-sees-something-tucked-under-his-fin]

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