米カリフォルニアで相次ぐ毒キノコ「タマゴテングタケ」による死亡・中毒事故
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 アメリカのカリフォルニア州で、毒キノコを不用意に食べて体調を崩したり、死亡したりする例が相次いでいる。

 カリフォルニア州ソノマ郡保健省のマイケル・ステイシー医師によると、例年であれば、州全体での毒キノコ中毒の発生件数は5件程度だという。

 だが2025年11月18日から2026年1月4日までの間に、なんと35件の野生の毒キノコによる中毒が発生。うち3件が死亡、3件が肝移植で一命をとりとめた。

 保健省では毒キノコに対する注意喚起を行うとともに、みだりに野生のキノコを食べないよう勧告を出している。

ハイキング中に見つけたキノコで死の縁をさまよう

 カリフォルニア州サリナス在住のカルロス・ディアスさん一家は、11月30日、トロ公園をハイキング中にキノコが生えているのを見つけて持ち帰った。

 妻のローラさんは、そのキノコが故郷のメキシコで採っていたものとよく似ていたと話している。

雨季だったので、地元ではみんながキノコを採る時期なんです。だから、ここでも同じだろうと思いましたし、毒があるなんて思いもしませんでした。

そしていつも通りに調理しました。毒があるとは思わず、故郷でやっていたのと同じように料理したんです

 異変が起きたのはその数時間後だった。2人は激しい嘔吐と下痢に襲われ、病院に担ぎ込まれた。

 ローラさんは回復したものの、夫のカルロスさんは全身が腫れ上がり、昏睡状態に陥った。

 容態は極めて深刻だったが、医師から肝移植を含む治療の選択肢が提示された。幸いにしてドナーが見つかり、手術を受けて一命をとりとめることができた。

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毒キノコのタマゴテングタケが大量発生中

 現地で大発生している毒キノコは、タマゴテングタケというハラタケ科のキノコである。英語ではデスキャップと呼ばれ、強い毒性を持つことで知られている。

 ステイシー医師は、以下のような警告を出している。

例年より早い降雨と温暖な秋の影響で、北カリフォルニアでは致死性の高いタマゴテングタケが大量発生しています。

専門家による同定を経ていない野生キノコの摂取は危険です。有毒な種類の中には、経験豊富な採取者であっても、食用キノコと見分けがつきにくいものがあるからです

 タマゴテングタケ(学名:Amanita phalloides)は、世界的に最も危険な毒キノコの一つとして知られている。

 主にヨーロッパ原産のキノコだが、樹木の移動などを通じて北米やオーストラリアにも広がり、現在ではカリフォルニア各地でも確認されている。

 若い個体が白い卵のような形をしているのが特徴で、この姿が和名の由来になっている。

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 成長すると淡い緑色から黄緑色の傘を広げるが、色味には個体差があり、食用キノコと誤認されやすい。

 致死性の毒成分であるアマトキシン類を含んでおり、加熱や乾燥では無毒化できない。また、摂取後すぐには症状が出ず、数時間~1日ほど経ってから腹痛や嘔吐が現れ、その後、肝不全へと進行する例が多い。

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当局がみだりにキノコを食べないよう警告

 このタマゴテングタケは、2023年にもカリフォルニア州で大発生した例がある。保健省では、毒キノコによる中毒の症状を以下のように説明している。

症状は、有毒キノコを食べてから6~24時間後に現れることがあります。軽い症状(軽度の吐き気など)は、重篤な中毒反応の始まりの可能性があります。

初期症状は1日ほどで治まる場合もありますが、2~3日後に重篤、あるいは致命的な肝障害が進行することがあります。

ご自身やご家族が毒なキノコを食べてしまった可能性がある場合は、症状が出ていなくても、直ちに医療機関を受診してください。

症状が出るまで待たないでください。症状が出てからでは、治療がより困難になってしまいます

 毒キノコに当たらないようにするには、まずよく知らない野生のキノコを食べないことが大切だ。

 たとえ友人や家族が採って来たものであっても、不用意に口にしないのが正解である。

 保健省では、「毒キノコは調理したり冷凍したり、乾燥させたりしても安全に食べられるようにはならない」と、強く警告している。

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 カルロスさんのケースは、州当局が12月5日に野生キノコの接種を控えるよう呼びかけた流れの中で、注意喚起の実例として大きく取り上げられた。

 カリフォルニア州中毒情報システム(CPCS)のクレイグ・スモーリン医師によると、年明けを境に、毒キノコ中毒の発生数は落ち着きを見せているという。

 ただし、キノコの採集をする人にはカルロスさん一家のような移民も多く、情報を正しく届けるのが難しい場合もあると指摘している。

 現在、カルロスさんの容態は安定しているが、肝移植が間に合わなければ命を落としていた可能性がある。

 カルロスさんは提供者に対して感謝の言葉を述べると同時に、みだりにキノコを採って食べないよう呼びかけている。

肝臓を提供してくださったご家族のことを思うと胸が痛みます。大切な家族の一員を失うのはとてもつらいことです。それでも、愛する人の臓器を提供し、私に命を与えてくださったことに感謝しています。

地面に生えているキノコを決して採らないでください。こうしたことが二度と起きないよう、公園には注意喚起の看板を設置すべきです

 タマゴテングタケは、日本でもまれに見つかることがあるそうだ。なお、日本にはこれによく似た「タマゴテングタケモドキ」というキノコが存在している。

 このタマゴテングタケモドキも毒キノコである。よくわからないキノコは、けっして不用意に持ち帰ったり食べたりしないよう、くれぐれも注意しよう。

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References: Sonoma County health officer issues advisory to not eat wild mushrooms after death of county resident[https://sonomacounty.gov/sonoma-county-health-officer-issues-advisory-to-not-eat-wild-mushrooms-after-death-of-county-resident]

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