冬の猫と飼い主を悩ませる静電気。その原因と対策を科学で探る
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 冬の時期、猫を撫でる際に発生する静電気の主な原因は、空気の乾燥と、手を滑らせる動作によって生じる表面のごくわずかな「ゆがみ」にある。

 最新の物理学の知見によれば、単に触れるだけではなく、撫でるという動きそのものが電気を蓄積させているそうだ。

 その具体的なメカニズムを知ることで、冬の猫との接し方を正しく理解する助けになるかもしれない。

冬の猫に静電気が起きやすい理由

 寒い冬の時期、猫を飼っている家庭では驚くような出来事が頻繁に起こるようになる。愛猫の体に触れた瞬間に指先を襲う静電気だ。

 撫でようとしてパチッとした衝撃を受け、びっくりした経験を持つ飼い主も少なくないだろう。猫も痛そうだからと撫でるのを控えるのだが、かわいいからついまた撫でてしまい、更に衝撃が走る。

 これは、世界中の愛猫家が共通して抱える冬の問題である。

 なぜこれほどまでに猫の体は電気を帯びやすいのだろうか。その大きな理由は、冬特有の空気の乾燥にある。

 冷たい空気は水分を蓄える力が弱いため、室内で暖房を使うと部屋の中はますます乾いていく。

 本来なら空気中の水分が電気を逃がしてくれるのだが、乾燥した部屋では猫の豊かな毛の中に電気が逃げ場を失って溜まり続けてしまう。

 その結果、猫の体全体がいつ電気ショックが起きてもおかしくない状態になってしまうのだ。

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猫の毛と静電気の深い関係

 猫と静電気の結びつきは、実はインターネットの世界でも有名だ。

 Wikipediaの英語版にある「Triboelectric effect[https://en.wikipedia.org/wiki/Static_cling](摩擦帯電)」の項目では、クーパーという猫がたくさんの発泡スチロールを体にくっつけて困り果てている画像が紹介されている。

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 また、風船が毛にくっついてしまい、困っている様子の猫の動画も有名だ。

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 こうした「猫が電気を帯びる謎」を解き明かすヒントが、2024年に論文が発表[https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.nanolett.4c03656]された、アメリカ・ノースウェスタン大学のローレンス・マークス教授らの研究によって示された。

 研究チームは、摩擦によって電気が発生する「摩擦帯電」という現象を詳しく調べた。

 その結果、物体が表面を滑るとき、ミクロの単位でごくわずかな「ゆがみ」が生じることがわかった。

 このゆがみがプラスとマイナスの電荷のバランスを崩し、静電気を発生させる正体だったのだ。

猫を撫でる愛情が電気ショックを生んでしまう

 この発見は、猫を愛する飼い主にとって少し切ない事実を教えてくれる。

 猫を撫でるという愛情たっぷりの動作こそが、電気を溜め込む原因になっていたのだ。

 飼い主の手が猫の毛の上を滑るとき、手と毛の表面にはわずかなストレス(負荷)がかかる。

 このとき、動いている手の前側と後ろ側で表面の引きずられ方に差が生まれ、目に見えない「ゆがみ」が発生する。

 ただそっと猫に触れるだけなら電気はそれほど溜まらない。しかし、何度も優しく撫でることで、そのたびに電荷が蓄積されていく。

 そして溜まった電気が限界を超えたとき、次に触れた瞬間に一気に放出され、あの不快な衝撃となるのである。

 熱心に撫でれば撫でるほど、知らず知らずのうちに電気ショックの準備を整えてしまっていることになる。

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対策は湿度を上げること

 もちろん、これは自然な現象であり、飼い主や猫に落ち度があるわけではない。

 猫に科学的な仕組みを説明して理解してもらうことはできないが、加湿器を使って部屋の潤いを保つなどの工夫をすることで、この不快な衝撃を減らすことはできる。

 乾燥対策をしっかりと行い、静電気に邪魔されない幸せな時間を愛猫と過ごそう。

References: Pubs.acs.org[https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.nanolett.4c03656] / Why Do I Keep Zapping My Cat? The Strange Science Of Cats And Static Electricity[https://www.iflscience.com/why-do-i-keep-zapping-my-cat-the-strange-science-of-cats-and-static-electricity-82105]

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