インド・グジャラート州にあるヴァドーダラー市で、市当局が始めたゴミ対策の大胆な取り組みが話題になっている。
なんと街角に巨大なスクリーンを設置して、ゴミをポイ捨てしている瞬間の人の画像を映し出すという、いわば公開処刑とも言える措置である。
ゴミ問題に業を煮やした当局の力技とも言える取り組みだが、果たしてこれでインドの街がきれいになるのだろうか。
ゴミをポイ捨てしたら巨大スクリーンで晒す措置
街角にゴミを見境なく捨てる人々に対し、ヴァドーダラー市当局(VMC)が思い切った行動を起こした。
通りすがりに道端にゴミを捨てていく様子を監視カメラで撮影した写真を、大型スクリーンに表示することにしたのだ。
市内にある主要な交差点や道路脇に設置された33台の大型LEDスクリーンには、町中の監視カメラがとらえたポイ捨てのシーンが映し出される。
監視カメラの映像を切り取った画像には、まさにポイ捨ての瞬間の「犯人」の姿のほか、ナンバープレートも拡大して表示されている。
今のところ顔が大々的に映し出されるわけではないが、知っている人が見たらどこの誰だかわかるレベルの情報ではあるようだ。
VMCによれば、街中に設置された監視カメラの映像は、市の指令・管制センターに集約されており、その中か指令センターで違反行為を確認した上でスクリーンに表示しているという。
この取り組みは、路上でのゴミ投棄や放尿、つば吐きなどを含む公共迷惑行為に対する取り締まり強化の一環として始まったものだ。
市当局は、広範な監視カメラのネットワークと市の指令・管制センターを活用し、2025年1月以降、こうした違反者をおよそ500人特定してきたという。
そして過去1か月だけで、ゴミをポイ捨てしていた70人分の画像を、この巨大スクリーンに映し出した。画面には以下のような警告も同時に表示されているそうだ。
見てください。これが、あなたの街を汚している人たちです。
もしこんな風にゴミを捨てれば、街中の人があなたを見ることになります。こうした行為をやめなければ、今後も同じ対応を続けます
「街をきれいにしたい」市当局による本気の取り組み
この大胆な措置を主導したのは、市の行政長官を務めるアルン・マヘーシュ・バブ氏である。
2025年4月に就任すると同時に、バブ氏は精力的にゴミのポイ捨て問題に対する本気の取り組みを開始。
高額な罰金の導入のほか、市民の衛生基準改善のための措置を含む、より厳しい政策を採用している。
VMCのIT部門責任者であるマニシュ・バット氏は、この措置について次のように説明している。
これらの画像を表示することは、市民としての責任を根付かせるための、より広範な取り組みの一部です。個人を晒し者にするのが目的ではなく、ゴミを捨てることの結果について、意識を高めることが狙いです
ヴァドーダラーの市民は、この厳しい措置におおむね賛成のようだ。
当局がこうした取り組みを進めてくれていることに感謝しています。清潔さは本当に大切です。ヴァドーダラーには、ゴミ1つない、きれいな街になってほしい。
唾を吐きまくる人たちにも、間違いなく見せしめが必要です。こんなことをする人がいなくなってほしい。高額の罰金も科すべきです
これは良い取り組みです。
街がきれいになるためには必要なことです。自分の家だけきれいにして、周りを汚していいわけではありません。
私は個人的に大賛成ですし、人々にとっても教訓になります。自分の写真が晒されて、そこに書かれた内容を見たら、周りの人が「お前の写真が出てるぞ」と言うでしょう。そうすれば、次の日からは行動が変わるでしょう
インドのネット上での意見は賛否両論
このニュースを見たインドの人たちの反応はさまざまだ。アイデア自体は評価しつつも、「その前に町自体をきれいにしないと」という意見も多かった。
- 国をきれいに保つために、インド全土で実施すべきだ
- これは、人に行動を改めさせるための、いい方法だと思う。もっと多くの都市が、すぐに真似してほしい
- ヴァドーダラーに行ったことがあるけど、行政レベルがまったく違う。うちの街(プネー)がこの水準に追いつくには、少なくとも50年はかかると思う
- 公共の場にゴミを捨てる人には、名前を出して恥をかかせる手法をインド全土で使うべきだ
- 今や、主要都市ではこれくらいが最低限だと思う。周囲を汚す人たちが恥をかかされ、嫌がらせを受けるくらいにならないと、インドは何も変わらない。罰金の通知も送るべきだし、繰り返すごとに金額を上げるべきだ
- 大型スクリーンを設置して常時監視するより、地元や中央政府はこの辺りに大きな鉄製のごみ箱を置いて、ゴミ袋を使うことを当たり前にする方がいい。週1回の回収も必要だ
- 意味がないよ、これで何が変わる? 電力を節約しろよ
- 公開で恥をかかせるのは大胆だと思うけど、恥の概念がない人には無意味かもしれない。
LEDスクリーンに15分映されるより、重い罰金の方が効果があると思う- インフラの整備も必要だよ。そもそもゴミ箱がなかったり、溢れていたりする場所で捨てた人をさらし者にしたって、ただの嫌がらせにしかならない
- 政府のオフィスの中にも、こういうのを設置した方がいいかも。そうすれば、少しは仕事をするようになるかもしれない
- 意図はいいけど実行はリスクを伴うよ。清潔さは大事だが、プライバシーや悪用を防ぐ仕組みも必要だ。これが嫌がらせに変わってはいけない
- その人は既にゴミがある場所に捨てているだけ。もしそこがゴミ捨て場じゃないなら、市当局が最初に掃除しておくべき。意図はとてもいいんだけど、まず街をきれいにしてからだよね
- 取り締まりするにも限度がある。公に名前を出して恥をかかせる方が、抑止力になるかもしれない
- 恥をかかせるだけでは行動は変わらないよ。恥ずかしい思ったらそもそも外にゴミを捨てたりしない。当局は罰金を科すべきだ。インドでは自分の懐が痛まない限り誰も行動を変えないんだ
- 受け身の対策だね。スクリーンにいくらかかると思うんだ。
実際にゴミを出させないよう管理する方が先だ。アイデアは悪くないけど、支出が目的に見合っていない。現場での清掃をきちんとする方が先。恥をかかせるだけで終わらせるべきじゃない- きれいな環境がほしいなら、まず自分たちが清潔さを守らないといけないよね
正直、インドの街角がきれいになる日は、一朝一夕には訪れないと思う。実はインド人は、自分の家の中は神経質なくらいきれいに保っている人も多い。
だが家の外だったり公共の場所だったりを掃除したり、きれいにしようという発想自体が薄いのだ。
そこには根強いカースト制の問題もある。なぜならゴミを集めたり清掃したりするのは、特定のカーストの仕事だという意識が今も強いからだ。
だからまず意識改革から手をつけることも必要だし、とりあえず当局が街をきれいにして、ゴミを捨てにくくすることも大事なんじゃないかと思う。
こちらはお隣の国バングラデシュでの取り組みだが、人海戦術でこれだけやっても、国全体がきれいになるのはいつになることやら。
大切なのは、きれいで清潔な状態を維持していくこと。そしてそのためには、一人ひとりの意識を変えていくことしかないのだと思う。
今回のヴァドーダラーでの取り組みが、どの程度の効果を上げるかはまだ未知数だが、インドが少しでもきれいな国になる第一歩となることを祈りたい。
References: Dumping Garbage On Vadodara Road Can Land You On City’s Billboards: ‘Isn’t It Unsafe & Breach Of Privacy?’[https://www.news18.com/viral/vadodara-puts-pictures-of-people-littering-roads-on-billboards-aa-ws-l-9837353.html]











