ハリウッドで今、UFOをテーマにした映画製作が相次いでいる。かつて世界を熱狂させた空飛ぶ円盤のブームが再来しようとしているのだ。
名匠スコット・クーパーが、史上最も有名なUFO事件であるロズウェル事件を題材にした新作スリラーに着手した。
スティーヴン・スピルバーグやジョセフ・コシンスキーといった大物監督たちも同様のテーマで動いており、スーパーヒーロー映画に代わる新たなトレンドとして注目を集めている。
ロズウェル事件が再び映画に
最近のハリウッドの映画界はUFOの話題で持ちきりだ。また新たな作品が準備されているというニュースが飛び込んできた。
映画「クレイジー・ハート」などで知られるスコット・クーパー監督が、20世紀スタジオとタッグを組み、新作UFO映画の脚本と監督を務めることが決定した。
今回の映画がテーマに選んだのは、ロズウェル事件だ。クーパー氏は、伝説的なミュージシャンのブルース・スプリングスティーン氏を描いた伝記映画を撮り終えたばかりだが、次なる挑戦としてこの不可解な歴史的事件をスリラー映画として描き出す。
すでに20世紀スタジオとの契約は結ばれているという。
史上最も有名なUFO墜落事件
知っている人も多いと思うが、ロズウェル事件は、1947年7月、アメリカのニューメキシコ州にあるロズウェル近郊の牧場で発生した。
始まりは、1947年7月8日、地元の新聞「Roswell Daily Record」が報じた衝撃的な見出しだった。その1面トップには、「RAAFがロズウェル近郊の牧場で空飛ぶ円盤を捕獲(RAAF Captures Flying Saucer On Ranch in Roswell Region)」という巨大な見出しが掲げられたのだ。
RAAFとは、ロズウェル陸軍航空基地(Roswell Army Air Field)のことだ。
軍が公式に「空飛ぶ円盤」の存在を認め、それを手に入れたと発表したこの瞬間は、人類史上最大のミステリーの幕開けとなった。
回収された謎の破片は、さらなる調査のためにテキサス州にあるフォートワース陸軍飛行場の司令部へと運ばれた。
事態は一変、軍が発表を撤回
しかし、事態は一変する。衝撃的なニュースからわずか1日後、軍はこの発表を完全に撤回したのだ。現場で回収されたのはエイリアンの宇宙船ではなく、気象観測用の気球(ウェザー・バルーン)だったと説明を変えた。
1947年7月8日、フォートワース陸軍飛行場でジェシー・A・マーセル少佐が回収した残骸のアルミ箔を持つ写真が、複数の新聞に掲載された。
軍はこの写真を、回収されたものが円盤ではなく、単なる気球の残骸であることの「証拠」として提示したのである。
写真の中の少佐は、クシャクシャになったアルミ箔や木枠のような部品を手に、カメラを見つめている。
一度は空飛ぶ円盤と認めたものが、なぜ写真一枚で気球へと変わってしまったのか。
この強引ともいえる方針転換こそが、のちに「本当は宇宙船だったのに、偽の残骸ですり替えられたのではないか」という巨大な隠蔽工作の疑念を生むことになった。
1970年代後半になると、当時の関係者たちが次々と証言を始め、事件は再び脚光を浴びることになる。
最初は単なる機体の破片だと言われていたものが、やがて宇宙人の死体が見つかったという話や、軍が生き残ったエイリアンを隠しているといった噂にまで膨れ上がった。
さらに、軍が墜落した宇宙船を分解して解析し、その高度な技術を自分たちのものにしようとするリバース・エンジニアリング(Reverse-engineering、逆行分析)を行っているという陰謀論も定着した
現在でも、ロズウェルはUFO研究家やミステリーファンにとっての聖地となっている。
多くの民間人が感じたこうした不気味な違和感こそが、現在まで続くミステリーの核心であり、今回の新作映画がスリラーとして描かれる理由でもあるのだろう。
巨匠たちが挑むUFOの謎
UFOに注目しているのはクーパー監督だけではない。昨年末には、スティーヴン・スピルバーグ氏が新作映画「ディスクロージャー・デイ」を準備していることが明らかになった。
また、映画「トップガン マーヴェリック」を大ヒットさせたジョセフ・コシンスキー氏も、UFOをテーマにしたプロジェクトを進めている。
さらに、「ジュラシック・ワールド」のコリン・トレボロウ監督は、エリア51に関する映画を製作中だ。
エリア51はネバダ州にある実在の軍用施設で、ロズウェルで回収されたUFOが運び込まれた場所だという都市伝説で知られている。
エリア51周辺の航空写真
スクリーンに帰ってきたUFO
ハリウッドのUFOへの関心は、映画「未知との遭遇」や「E.T.」が公開された1970年代から80年代の黄金期を彷彿とさせる。
なぜ今、再びUFOがブームとなっているのだろうか。
一つの要因として、最近のアメリカ議会でUFOに関する公聴会が開かれ、「全領域異常対策室(AARO)」が、謎の飛行物体の情報をまとめた特設サイトを開設するなど、社会的な関心が高まっていることが挙げられる。
ちなみに現在、UFOは公式にはUAPと呼ばれている。これには2段階の名称変更の経緯がある。
まず2021年頃、アメリカ政府はオカルト的な印象を払拭し、国の安全を守るための真面目な調査対象として扱うために、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用した。
さらに2022年12月、アメリカ政府は、UAPの名称はそのままで意味を「Unidentified Anomalous Phenomena:未確認異常現象」へと変更した。
これは、謎の物体が空だけでなく、宇宙空間から突然現れたり、そのまま海の中に深く潜り込んだりと、場所を問わずに出現することが分かったためだ。
空だけの現象にとどまらない正体不明の異常事態として、政府は本気の調査に乗り出したのである。
こうした現実世界の不気味な動きに呼応するように、スーパーヒーロー映画に代わる刺激的な題材として、未知の存在が再び選ばれたのかもしれない。
クーパー監督の新作が、事件を忠実に再現するドラマになるのか、あるいは全く新しい解釈を加えた物語になるのかはまだ分かっていない。
しかし、最新のドキュメンタリー映画「ジ・エイジ・オブ・ディスクロージャー」が配信でヒットしている現状を見れば、観客が夜空の向こう側に潜むミステリーを求めていることは確かだ。
References: Filmstories.co.uk[https://filmstories.co.uk/news/director-scott-cooper-is-making-a-thriller-about-the-roswell-ufo-legend/] / Worldofreel[https://www.worldofreel.com/blog/2026/1/14/scott-cooper-to-direct-roswell-ufo-movie-for-20th-century] / Worldofreel[https://www.worldofreel.com/blog/2026/1/14/scott-cooper-to-direct-roswell-ufo-movie-for-20th-century]











