中国・上海で、17歳の少年が大規模なオンライン返品詐欺に関与したとして、6年の実刑判決を受けた。
少年が利用した通販ショップのシステムには、注文した後で返品の手続きをすると、商品自体が返送されたことを確認する前に返金されてしまう不備があった。
少年はこの返品システムの不備を発見し、大量の商品を購入。実際には返送せずに返金だけを受け、多大な利益を不正に得ていたという。
大量の商品購入と返品を繰り返す返金詐欺
事の発端は、2024年3月にさかのぼる。上海に拠点を置く化粧品販売会社が、自社の公式通販ショップに不自然な返品と返金が大量に発生しているとして、上海市公安局奉賢分局に被害を届け出た。
その内容は、返品された形跡のない商品に対して、返金処理だけが繰り返し行われているというものだった。
公安当局はこのショップの取引履歴と商品の動きを照合し、短期間に異常な件数の返品申請を行っているアカウント群を特定した。
捜査の過程で浮かび上がったのが、当時17歳だった「呂」という名の少年である。彼はこのショップで1万1,900件もの商品を「購入」した後、システムの脆弱性を悪用して、虚偽の返品手続きを行ったという。
手続きが完了して返金を受けた後、手元に残った商品を低価格で転売。累計で401万元(約9,130万円)もの利益を不正に得ていたというのだ。
返送の確認を待たずに返金されるシステムの不備
以前の記事でも少し触れたが、中国の通販サイトには、実際に商品を返品することなく返金を受けられるところもある。
だが、今回被害者となった化粧品販売会社の通販ショップでは、実際に商品を返送することが、返金を受ける条件になっていたようだ。
本人の供述によると、呂少年は商品の購入後に返品の申請を行う際、返送した荷物の追跡番号を入力するだけで、返金手続きが進むことに気づいたという。
本来なら、商品が倉庫に戻ったことを確認した後に返金が行われるはずだが、事件発生当時はここに大きな抜け穴があったのだ。
複数のアカウントを利用して巨額の利益を得ていた
呂少年はこの仕組みを悪用することを思いつき、自分のスマートフォンに登録した複数の個人アカウントに加え、親族や知人のアカウント、さらにインターネット上で有償で借りた他人名義のアカウントまでを利用。
大量のスキンケア商品などを注文した後で、すぐに返品を申請していた。その後は不正に入手した追跡番号を入力することで、実際に商品を返送することなく、返金を受け取っていたという。
そして受け取った商品を低価格転売し、利益を得ていたというわけだ。騙し取った商品は合計で1万1900件以上にのぼり、総額は約476万元(約1億850万円)にも達した。
こうして不正に得た利益で、呂少年は新型のスマートフォンや高価なブランドものの服などを購入していたほか、飲食やカラオケなどにも使っていたという。
少年には6年の実刑判決が下される
公安当局はこの事件を「未成年者によるEC返品詐欺事件」として立件し、呂少年を詐欺罪で検察に送致。事件は上海市奉賢区人民法院で審理された。
中国の刑法第266条では、詐欺罪には「3年以上10年以下の懲役と罰金」が科されるとしているが、金額が巨額な場合などは、「10年以上の懲役または無期懲役と罰金、もしくは財産の没収」という重い量刑が下されることもある。
今回はこの「巨額」の範囲を超えていたが、被告が犯行当時未成年であったこと、逮捕後に罪を認め判決を受け入れたこと、さらに家族が自主的に200万元(約4,560万円)以上を返金したことが酌量され、最終的に懲役6年の刑が言い渡された。
この判決結果が公表されると、中国のネット上では大きな議論を呼んだ。
- うわ、さすがに怖すぎるだろ
- え、17歳でここまでやるのかよ
- 刑期が軽すぎる。被害額を考慮すれば、抑止力としては不十分だと思う
- 通販サイトの側の責任だよ。
詐欺をやる連中につけ入る隙を与えた- 主な原因は通販サイト側にある。簡単に返金するシステムなんかつくらなければ、こんなことは起きなかったのに
- そもそも返金なんてしなければ、こんな事件は起きなかったはずだ
- スーパーで包丁を買って、それで人を刺したとして、捕まったときに「売ったスーパーが悪い」って文句を言うのか? どんな理屈だよ
- 実際の金額はそこまで多くないんじゃないかな。たぶん1~2割くらいの値段で売って、それを定価ベースで申告しているんだと思う
- ビックリした…400元(約9,130円)くらいの話かと思ってた
- ちょっとくらい得になるとしても、手を出さないほうがいい。数万円のお金で他人の人生を壊しても平気な人間はいる。しかも最初に欲をかいたのは自分だから、相手は何の罪悪感も持ってくれないよ
- 返金してもらった後、ちゃんと商品が返送できたか心配する人もいる一方で、返送なし返金だけで400万元もだまし取っている人がいるんだね
法律関係者の中には、今回の事件が「ECプラットフォームのリスク管理上の脆弱性に対する警鐘を鳴らした」として、判決を評価する意見もあるという。
大量消費・大量返品が前提という中国の通販文化も、今後は少しずつ変わっていくのかもしれない。
References: China teen makes fraudulent returns on cosmetics platform, profiting US$570,000 from resale[https://www.scmp.com/news/people-culture/trending-china/article/3339047/china-teen-makes-fraudulent-returns-cosmetics-platform-profiting-us570000-resale]











