コヨーテがたった1匹で荒波に揉まれながら海を泳ぐ!史上初めて監獄島に到達
Image credit:<a href="https://www.istockphoto.com/jp/portfolio/ArmanWerthPhotography?mediatype=photography" target="_blank">ArmanWerthPhotography</a>

コヨーテがたった1匹で荒波に揉まれながら海を泳ぐ!史上初めて...の画像はこちら >>

 アメリカのサンフランシスコ湾で、たった1匹で荒波を1.6km以上泳ぎ、かつて連邦刑務所があった監獄島として知られるアルカトラズ島に到達したコヨーテの姿が捉えられた。

 この島でコヨーテの存在が記録されたのは史上初めてのことで、その驚きの光景を収めた動画がSNSで大きな注目を集めている。

 動画には、冷たい海面に頭を出しながら懸命に波をかき分け、島を目指す1頭のコヨーテが映っていた。

 岩場にたどり着いたものの、体力を使い果たしたのか、足元をふらつかせながらなんとか立ち上がろうとするその姿からは、旅の過酷さが伝わってくる。

専門家も驚く史上初の島への到達

 この衝撃的な映像を確認した博物学者のジャネット・ケスラー氏は、非常に驚いたと語っている。

 ケスラー氏は約20年にわたりサンフランシスコでコヨーテの行動を記録し続けている専門家だが、アルカトラズ島で彼らを確認したのはこれが初めてだからだ。

 動画の中のコヨーテは、水から這い上がった後、なんとか岩場を移動しようと立ち上がるがなかなか動けない。

 ケスラー氏は、この個体がやっとの思いで島にたどり着き、体力を使い果たして寒さに震えているのだと分析した。

[画像を見る]

外に高いコヨーテの泳ぐ能力

 そもそも、コヨーテはこれほどの距離を泳げる動物なのだろうか。

 実はコヨーテは、イヌ科の中でも泳ぎが得意な部類に入る。獲物を追いかけたり、新たな住処を探したりするために、川や湖を泳いで渡る姿は決して珍しいことではない。

 しかし、今回のように潮の流れが速く、波も荒いサンフランシスコ湾を1.6km以上も遠泳するとなれば、話は別だ。

 この距離を泳ぎ切るには、強靭な体力と精神力が必要であり、コヨーテにとっても命がけの大博打だったといえる。

[画像を見る]

新天地を求めたサバイバル

 なぜ、このコヨーテはあえて危険な海へと飛び込んだのか。

 ケスラー氏は、都市部におけるコヨーテ同士の縄張り争いが背景にあると考えている。

 他の個体に自分たちのテリトリーから追い出され、強い圧力を感じた末に、新しい縄張りを求めてこの移動を決断した可能性があるのだ。

 他の縄張り主たちに追い回された孤独な個体が、生き残るためにかつて監獄島といわれたアルカトラズ島への旅を試み、そして見事にやり遂げたのである。

[画像を見る]

 このコヨーテが島での最初の夜を無事に越せたのかは不明だ。

 だが、島には生き延びるための資源が十分にあるという。

 この島にはドブネズミやハツカネズミ、さらには多くの鳥が生息しており、これらはコヨーテにとって格好の獲物となる。

 また、バナナナメクジというバナナにそっくりな黄色い大型のナメクジも生息している。体長25cmにもなるこのナメクジは、外敵を麻痺させる粘液を出すため普段は敬遠されがちだが、背に腹は代えられない状況のコヨーテにとっては貴重なタンパク源だ。

 野生のサバイバリストであるコヨーテは、たとえ寄生虫のリスクや不快な粘液があったとしても、生き延びるために利用できるものは何でも口にする。

 島に水道はないが、雨が降った後であれば大きな水たまりができているため、飲み水を確保することも可能だ。

 この動画はアルカトラズ島で働く男性が、観光客から提供された映像をSNSで共有したものだ。

 撮影者がコヨーテを刺激せず、適切な距離を保っていたことについて、ケスラー氏は正しい判断だったと評価した。

 コヨーテは野生の生存本能に従って行動しており、人間はそっとしておくべきだからだ。

[画像を見る]

限界を押し広げるコヨーテの適応能力

 コヨーテという動物は、極めて高い適応能力を持っている。

 コヨーテはアメリカ大陸に広く分布するイヌ科の食肉類で、体長は約75cmから100cm、体重は7kgから21kgほどと、オオカミより一回り小さくキツネよりは大きい。

 もともとは北米中央部の草原に生息していたが、環境の変化に合わせてアラスカからパナマまで生息地を広げてきた。

[画像を見る]

 森林や砂漠だけでなく、大都市の市街地でも生き抜くことができる非常に賢い動物だ。

 最大の特徴は、あらゆる環境に対応できる柔軟な食性にある。

 ネズミやウサギなどの小動物、昆虫、果実、さらには都市部のごみまで何でも食べる。このたくましさが、サンフランシスコのような大都会のすぐそばで彼らが繁栄し続けている理由だ。

 サンフランシスコのような都会で何世代にもわたって暮らしている個体もいれば、今回の個体のように自らの限界を押し広げ、新たな環境に適応しようとするものもいる。

 サバイバリスト(生存の達人)であるコヨーテは、常に新しい可能性を求め、その生息域を広げ続けている。荒波を越えて監獄島に降り立ったその姿は、種の強い生命力を物語っている。

References: Theguardian[https://www.theguardian.com/us-news/2026/jan/21/coyote-swims-to-alcatraz] / Cbsnews[https://www.cbsnews.com/sanfrancisco/news/coyote-spotted-swimming-to-alcatraz-island/]

編集部おすすめ