10万人の人間と生成AIの創造性を比較した過去最大規模の研究により、AIが平均的な人間の能力をすでに上回っていることが明らかになった。
カナダのモントリオール大学の研究チームが発表したこの結果は、チャットGPTのGPT-4などのモデルが、特定のテストにおいて多くの人間よりも独創的なアイデアを出せる段階に達したことを示している。
一方で、上位10%に入るような極めて創造的な人間にはまだ及ばないことも判明した。
AIは人間を追い越す敵ではなく、人間のインスピレーションを広げる強力な道具としての役割が期待されている。
この研究成果は『Scientific Reports[https://www.nature.com/articles/s41598-025-25157-3]』誌(2026年1月21日付)に掲載された。
最新AIは人間の平均的な創造性を超えた
チャットGPT(chatGPT)やジェミニ(Gemini)、Claudeといった生成AIは、本当に人間のような創造性を持っているのだろうか。
モントリオール大学心理学部のカリム・ジェルビ教授が率いる研究チームは、AIの先駆者であるヨシュア・ベンジオ教授らと共に、大規模言語モデルと人間の創造性を比較する過去最大級の調査を行った。
研究は生成AIが大きな節目に到達したことを示している。
チームが複数のAIモデルと10万人の人間を比較したところ、GPT-4などの一部のAIは、言語を使った創造性のテストにおいて平均的な人間のスコアを上回る結果を出した。
ジェルビ教授は、一部のAIシステムが特定の課題において平均的な人間を凌駕できるようになった事実は、人々に不安を感じさせるかもしれないが非常に重要な発見だと述べている。
しかし同時に、最高のAIであっても、最も創造的な人間が到達するレベルにはまだ及ばないという重要な事実も浮き彫りになった。
最高レベルの独創性は依然として人間にある
モントリオール大学のアントワーヌ・ベルマール=ペパン氏とコンコルディア大学のフランソワ・レスピナス氏による分析では、興味深い現実が見えてきた。
一部の生成AIは平均的な人間を超えたものの、最高レベルの創造性は依然として人間特有のものだ。
実際に、調査に参加した人間のうち創造性が高い上位50%の平均スコアは、テストされたすべてのAIモデルを上回っている。
さらに、上位10%の非常に創造的な人々とAIの間には、依然として大きな開きがある。
トロント大学のジェイ・オルソン氏と協力して開発されたこの研究の枠組みは、10万人以上のデータに基づいた極めて精度の高いものとなっている。
創造性を測るための特別なテスト
研究チームは、人間とAIの創造性を比べるために拡散的連合課題(Divergent Association Task:DAT)という心理学の手法を用いた。
これは、一つのきっかけからどれだけ多様で独創的なアイデアを広げられるかを測るものだ。例えば、このテストでは意味が互いにできるだけ離れた10個の単語を出すよう求められる。
非常に創造的な人間であれば、銀河、フォーク、自由、藻類、ハーモニカ、量子、ノスタルジー、ベルベット、ハリケーン、光合成といった、脈絡のないバラバラな言葉を組み合わせることができる。
このテストの成績は、文章執筆や問題解決といった他の創造的な活動の能力とも連動しているため、単なる語彙力の多さではなく、創造的思考そのものを測定できる。
さらに研究チームは、俳句の作成や映画のあらすじ、短編小説の執筆といったより複雑な課題でも比較を行った。
その結果、熟練した人間のクリエイターは、AIに対して明確な優位性を保ち続けていることがわかった。
AIの創造性を左右する温度という設定
研究では、AIの創造性を調整できるかという点についても調査された。
その鍵となるのが、AIの回答の予測しやすさを制御する温度という技術的な設定だ。
温度を低く設定するとAIは慎重で予測可能な回答を出すが、温度を高くするとランダム性が増してリスクを取るようになり、より独創的な回答が生まれやすくなる。
また、指示の出し方も大きな影響を与える。
たとえば、言葉の語源や構造を意識するように指示を出すと、AIはより珍しい連想を行うようになり、創造性のスコアが向上した。
これはAIの創造性が、人間がどのようにシステムを導き、設定するかに密接に関わっていることを意味している。
AIはクリエイターの代わりではなく助手になる
今回の研究結果は、AIが人間の仕事を奪うという懸念に対して新しい視点を与えている。
AIは特定のテストで人間レベルに達したが、機械には限界があり、創造性の中心には常に人間がいる。
ジェルビ教授は、AIと人間を競争相手として見るべきではないと語っている。
生成AIは何よりも人間の創造性を助ける強力なツールであり、クリエイターに取って代わるのではなく、それを使う人々が新しい発想を広げ、探索するための方法を根本的に変えていく存在になるという。
創造性の未来は人間と機械の対立ではなく、AIが人間の独創性を豊かにする新しい形の共同作業にあるのかもしれない。
References: Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1113215] / Nature[https://www.nature.com/articles/s41598-025-25157-3]











