イタリア、ポンペイ遺跡で、最新のデジタル技術により2000年前の壁に刻まれた大量の落書きが新たに発見された。
フランスとカナダの研究チームが分析した最新技術で分析した結果、そこには剣闘士の戦闘シーン、さらには現代人と同じように、熱烈な愛の告白や悪口までが記されており、人間の本質が数千年前から変わらないことを証明している。
火山の灰に守られた古代のメッセージは、当時の社会性を知る貴重な手がかりとなるだろう。
最新技術で蘇った古代ローマ人の生きた証
イタリア・ナポリ近郊に位置するポンペイは、紀元79年のヴェスヴィオ山の大噴火により、そこに暮らしていた多くのローマ人とともに、町全体が火山灰に飲み込まれた。
今回注目されたのは、劇場地区と主要道路のスタビアーナ通りを結ぶ、約27mにおよぶ通路の壁だ
この通路の壁面は、石やレンガの表面を白く滑らかに整えるための塗り材である漆喰(しっくい)で覆われていた。
壁自体は230年以上前に発掘されていたが、パリ・ソルボンヌ大学やモントリオール・ケベック大学などの研究チームは、これまで判読不能だった微細な痕跡を最新技術で特定することに成功した。
使用されたのは、光の反射で壁の凹凸を可視化するリフレクタンス・トランスフォーメーション・イメージングという手法である。
これにより、以前は見えなかった79個を含む200以上の落書き(碑文)が特定された。
歴史の教科書には載っていない、かつての住民たちが生きた証として残した暮らしに根付いた落書きが現代に蘇ったのだ。
剣闘士の絵や愛の告白から悪口まで
壁に残された内容は、現代人がSNSやチャットに書き込むような内容と似ていた。
劇場近くの壁には、剣を振り上げ盾を構えた2人の剣闘士が、高さ約10cmのサイズで丁寧に描かれていた。
これは今の私たちがスポーツの名シーンを画像でシェアする感覚に近いのかもしれない。
ある落書きには「エラートは……を愛している」と恋心が綴られ、また別の場所には「急いでいるんだ。元気でな、私のサヴァ。私を愛してくれ!」という内容が刻まれていた。
さらに、コミニヤという人物の家に仕えていたメテという女性は、愛するクレストとの幸せを願い、愛の女神ウェヌスに祈りを捧げていた。
その一方で、悪ふざけや暴露ネタも満載だ。
3人の男と1人の女による情事を、あえて堅苦しい法律用語のパロディを用いて「英雄の物語風」に茶化したネタ投稿のような記述や、ミッチョという人物に向けられた、父親の排泄をからかうような下品な悪口も発見された。
古代ローマ人が現代人と全く同じように、日常のうっぷんを壁にぶつけていた様子がうかがえる。
文明が進んでも変わらない人間の心のあり方
ポンペイ考古学公園のガブリエル・ズフトリーゲル博士は、最新技術こそが古代世界の新しい扉を開く鍵だと語る。
公園側はこれらの貴重な壁面を保護するために廊下に屋根を設置し、今後も1万点を超える落書きの保全を進める計画だ。
火山灰の下から現れたのは、歴史の重厚な記録というよりも、むしろ人間の本音だった。
スマホもSNSもなかった時代、彼らは壁を掲示板にして、今の私たちと変わらない情熱や不満をぶちまけていた。
どれほど文明が進んでも、人間の本質は変わらないようだ。
この研究成果は『Degli Scavi di Pompeii[https://pompeiisites.org/wp-content/uploads/E-Journal_1_2026_Bruits-de-couloir-Shedding-New-Light-on-Ancient-Graffiti.pdf]』誌(2026年1月19日付)に掲載された。
References: Pompeiisites[https://pompeiisites.org/comunicati/pompei-scene-di-gladiatori-e-storie-damore-la-vita-vissuta-che-riaffiora-grazie-a-tecnologie-avanzate/]











