人類滅亡を「0時」とし、それまでの残り時間を象徴的に示す「世界終末時計」。1947年から、人類の危機を象徴的に刻み続けてきたその時計が、また一歩、真夜中に近づいた。
2025年の89秒からさらに針は4秒進められ、2026年は終末の時まで残り85秒というところまで来てしまったという。
相変わらずの国際情勢や核兵器、気候変動への懸念のほか、今回はAIの潜在的な脅威がより注目されたようである。
人類滅亡まであと85秒
2026年1月27日、米国の非営利団体「原子力科学者会報(BAS)[https://thebulletin.org/doomsday-clock/]」は、終末時計を「真夜中まで85秒」と発表した。
前年2025年の89秒から、さらに4秒進んだことになる。これは、1947年、79年前にこの時計が初めて公開されて以来、滅亡まで最も短い時間である。
BASの会長兼CEOであるアレクサンドラ・ベル氏は、次のように述べている。
終末時計のメッセージは、これ以上ないほど明確です。破局的なリスクは高まり、協力は低下し、私たちの時間は尽きつつあります。
変化は必要であり、また実現可能でもあります。しかし、国際社会は、指導者たちに迅速な行動を求めなければなりません
終末時計の時刻は、BASの科学・安全保障委員会(SASB)が、ノーベル賞受賞者8人を含む後援委員会と協議のうえで、毎年決定しているものだ。
この時計は毎年の年初に調整される。2025年には残り89秒となり、これは当時の最短記録だった。今回、さらに4秒間短縮されたのである。
2026年の声明で挙げられた「85秒前」の主な根拠は以下の通り。
- 核兵器をめぐる大国間の緊張の継続
- 軍備管理の枠組みの弱体化
- 気候変動対策の遅れ
- 生物リスクへの国際的な備えの不足
- AIなどの「破壊的テクノロジー」がもたらす不安定要素
BASでは、滅亡85秒前という悲観的な時間を設定したことについて、以下のような声明を出している。
1年前、私たちは世界が地球規模の大惨事に非常に近づいており、軌道修正が遅れれば遅れるほど、大惨事の可能性が高まると警告しました。
しかしロシアや中国、米国をはじめとする主要国は、この警告に耳を傾けるどころか、ますます攻撃的、敵対的、そして国家主義的になっています。
長年かけて築かれてきた国際的な合意は崩れつつあり、勝者総取り型の大国間競争が加速し、核戦争や気候変動、バイオテクノロジーの悪用、AI(人工知能)の潜在的な脅威、その他の黙示録的な危険を減らすために不可欠な国際協力が損なわれています。
あまりにも多くの指導者が現状に満足し、無関心になり、多くの場合はこうした存亡に関わるリスクを軽減するどころか、むしろ加速させるような言説や政策を採用しています。
この指導力の欠如により、BASの科学・安全保障委員会は、本日、終末時計を「真夜中まで85秒」に設定しました。これは、これまでで最も破局に近づいた時刻です
終末時計の時間の変化
終末時計とは、人類が核兵器や気候変動、AIなどの人為的な危機によって、どれほど破局に近づいているかを象徴的に示す「時計」である。
実際の時間を測るものではなく、専門家集団が世界情勢と科学技術のリスクを総合的に評価して針の位置を決めている。
午前零時を人類滅亡の時に設定し、その瞬間まで世界人類がどれだけ近づいているのかを象徴的に示すために、1947年に作られた指標なのだ。
その歴史を振り返ると、進んだり戻ったりの針の動きが注目される。設置された1947年には、時計の針は午前零時の7分前を指していた。
これまでの主な時計の針の動きを見てみよう。
1947年:7分前(最初の設定)
1960年:12分前(米ソが部分的核実験禁止条約に調印)
1980年:7分前(イラン・イラク戦争勃発)
1981年:4分前(ソ連のアフガニスタン侵攻)
1988年:6分前(米ソが中距離核戦力全廃条約を締結)
1990年:10分前(ベルリンの壁崩壊、東欧の民主化)
1991年:17分前(最も遠かった年。冷戦終結後の緩和局面)
1998年:9分前(インドとパキスタンの核実験)
2002年:7分前(前年に同時多発テロ発生)
2012年:5分前(前年に福島第一原発事故)
2018年:2分前(北朝鮮の核開発への懸念)
2020年:100秒前(中距離核戦力全廃条約失効)
2023年:90秒前(前年にロシアのウクライナ侵攻)
2025年:89秒前(中東情勢や核拡散、気候変動)
2026年:85秒前(過去最短)
冷戦終結後の1991年には「真夜中まで17分」と、これまでで最も遠ざかった。その一方で、核や国際情勢への懸念が高まった2018年には2分に縮まり、2020年には初めて「100秒」という表現が使われた。
ネット上では疑問視する声も
このニュースはネット上でも大きな話題となり、SNSには多くの視聴者からのコメントが寄せられている。
- 正直、終末時計なんてあまり信用していないんだ。なんというか、注目され続けるために、いつも「真夜中の数分前」に設定し続けるしかなくなっているように感じるんだよね
- これまでで一番「人類滅亡に遠かった」のは、核兵器が発明される前の時代だったんだと思う
- この時計が表しているのは、約80年間、人類史上かつてないほど、少数の人間が簡単に文明を終わらせられる力を持ってしまったということだ。しかも「事故」で起こって可能性すらある
- 結局、センセーショナルな見出しを全部集めて、それをもとに「専門的な判断」をしているってこと?
- 今の超大国の行動は、冷戦が実際に続いていた40年前よりも危険だって言いたいのかな
- なんでこんなに大きく報道されるんだろう。まあ、たぶん自分の理解を超えた超高度な知性の産物なんだろうけど、やたら逆効果に思える
- 彼らは、AIが本当に意識を持つかどうかを心配しているわけじゃないと思う。もっと社会的な影響、つまり「真実が失われること」を恐れているんだ。いまのAIによる動画や画像生成は、場合によっては本物と見分けがつかないレベルになってきているから
- いわゆるAIが、本当の意味で知性を持っているわけじゃないことは理解しているだろ。それでもAIツール群は、社会にとって深刻な問題で、まだ有効な解決策が見つかっていないんだ
- 人類が自分たちで人類の終わりを正確に予測できると思うのは、ものすごく傲慢だと思う
- 人口の半分はアナログ時計も読めないんだから、デジタルの終末カウントダウンにすればいい。プロレスの入場演出みたいにさ
- うちの夫は2000年問題を心配して、ヒーターとガスと水を買い込んでいたわ。結局、その夏にキャンプで使ったけどね
- 核戦争の脅威なんて何十年も前からあったし、1950年代以降で言えば、むしろ今のほうが可能性は低いんじゃないかな
- 1秒1秒が、人間という存在の限界を示しているんだと思う。
これまでに積み重なった選択の結果、取り返しがつかないか、修正がますます難しくなる状況が生まれているということ- 変化する要素が増えれば、カウントダウンは速くなるよ。だから今こんな動きをするのも不思議じゃないね
- もし今年、何度も針が動くような事態が起きたら、さらに縮まるかもしれないよね。そして、誰もこの時計に注意を払わなくなったとき、滅亡に一番近い状態になるんだと思う
- ちょっと混乱していて、ググってもよくわからない。この終末時計って、特定の日付があるわけじゃなくて、世界の出来事をもとに時間を設定しているだけなんだよね?で、いずれ危険度が高まって「ゼロ」になったら、そのときに大惨事が起きる、ってこと?
- 自分は冷戦時代に育った。今の人たちが、ここまで慣れてしまっているのは正直怖い。でも、だからといって自分にできることは何もない。結局、できるだけ人生を楽しむしかないんだよ
- 科学者や専門家が、データや出来事をここまで破滅的に解釈しがちなのは興味深いね。そういう傾向にどう対処できるのか、気になるところだ
- 要するに、世界平和こそが生き残る唯一のチャンスだって話さ
- 自分が知っている唯一の終末時計は、夜12時までに帰宅しないと、妻から「お前は終わりだ」って言われるやつだけだな
終末時計は予言ではなく警告の象徴
終末時計を作ったBASは、1945年、アインシュタインやオッペンハイマーら、マンハッタン計画に関わった科学者たちを中心に設立された団体である。
彼らは、この時計は「予言のツールではない」と明言している。針の位置は未来を断定するものではなく、社会や政治、科学技術の扱い方次第で変えられる「警告の象徴」だというのだ。
つまり未来を変えるのは我々人類であり、我々一人ひとりの行動であり、それぞれの意識の持ち方だ。いつの時代もそうだったし、これからだってそうだろう。
さて1年後、世界の滅亡への時計の針は、今よりも進んでいるのだろうか。それとも劇的に戻る可能性はあるのだろうか。
References: Thebulletin[https://thebulletin.org/2026/01/press-release-it-is-85-seconds-to-midnight/]











