太陽系を去り行く恒星間天体「3I/ATLAS」を追跡するNASAの探査機、自転の謎に迫る
NASAの太陽系外惑星探査衛星(宇宙望遠鏡)TESS Image credit:NASA

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 NASAの宇宙望遠鏡を備えた太陽系外惑星探査衛星「TESS」が、太陽系を去りつつある恒星間天体「3I/ATLAS」を捉えた最新映像を公開した。

 2025年12月に地球へ最接近した3I/ATLASは現在、木星方向へ向かっている。

 マサチューセッツ工科大学の研究チームは、観測データから自転速度を解析し、異星系から来た使者の正体に迫ろうとしている。

異星系から飛来した第3の使者を追い続けるTESS

 3I/ATLASは、太陽系外から飛来したことが確認された史上3番目の恒星間天体である。

 この天体は2025年12月19日に地球から約2億7000万kmの距離まで最接近した。

 現在は火星の公転軌道を越え、2026年3月中旬には木星の軌道付近に到達する見通しだ。

 太陽の重力を振り切り、二度と戻ることのない旅に出たこの天体を、現在もなお、太陽系外惑星を探索するNASAの宇宙望遠鏡「TESS」が追い続けている。

 2026年1月15日から22日にかけて行われた観測では、3I/ATLASの姿を克明に記録することに成功した。

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28時間の追跡記録を公開

 マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究員であるダニエル・ムトゥクリシュナ氏は、2026年1月中旬の観測データを用いて28時間のタイムラプス映像を作成した。

 映像には、無数の星々を背景に、かすかな尾のようなものを引き連れて高速で移動する3I/ATLASの姿が明るい点として映し出されている。

 観測中に機体の太陽電池パネルの不具合で一時的な中断があり、1月15日から18日の間に空白期間が生じたものの、去りゆく天体の貴重な姿を捉えることに成功した。

 太陽系を離脱する最後の姿から、この異星の使者がどのような特徴を持ち、どこから来たのかという謎を解き明かすための貴重な手がかりが得られつつある。 

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自転速度と活動から探る3I/ATLASの記憶

 研究チームが今回のデータから解明しようとしているのは、この天体の自転速度と活動の激しさだ。

 天体が自分自身で回転する速さを特定することは、その内部構造や、表面からどれほどの勢いでガスや塵が噴き出しているのかを知るための重要な鍵となる。

 自転周期がわかれば、この天体がかつて存在した異星系でどのような環境に置かれていたのかを推測できる可能性がある。

 TESSが測定した3I/ATLASの明るさは約11.5等級だ。

 これは肉眼で見える明るさよりも100倍ほど暗い数値だが、宇宙望遠鏡であればその明るさのわずかな変動を感知できる。

 回転に伴う光の変化を詳しく調べることで、天体の核がどのようなリズムで回っているのかを明らかにする試みが進められている。

 この異星からの訪問者は、自らの回転という形で、故郷の星系の記憶を今も携えているのかもしれない。

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惑星ハンターTESSが見せた実力

 TESSは、太陽系外惑星を探索することをミッションとして、2018年4月18日に打ち上げられ地球周回軌道へ投入された。

 その最大の特徴は、ケプラー宇宙望遠鏡の約400倍という広大な面積をトランジット法を用いて観測することにある。

 2025年1月29日までの時点で、TESSは7372個の太陽系外惑星候補を発見し、そのうち604個がこれまでに確認されている 。

 2020年7月4日に主なミッションは終了したが、引き続き観測を行っている。最初の延長ミッションは2022年9月に終了し、TESSはさらに3年間続く2回目の延長ミッションに入っている。

 主星の前を惑星が横切る際のわずかな光の変化を捉える能力に特化しており、全天をくまなく監視し続けている。

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 その広い視野と絶え間ない監視能力は、今回のように太陽系内を移動する天体を追跡する際にも実力を発揮した。

 TESSの能力は、3I/ATLASが2025年7月1日にチリの小惑星地球衝突最終警報システムによって正式に発見される2ヶ月も前のデータを遡ることで証明されている。

 研究者が過去の観測記録を精査したところ、2025年5月の時点でTESSはすでにこの天体を捉えていた[https://iopscience.iop.org/article/10.3847/2041-8213/adfd4d]ことが判明した。

 人類がその存在を知る前から、惑星ハンターは静かにこの使者の姿を記録していた。

 太陽系を去りゆく今、蓄積された膨大なデータはMAST(Mikulski Archive for Space Telescopes)[https://archive.stsci.edu/hlsp/tica]で公開されている。

 科学者たちはこの一連の記録から、彗星の特徴を持つ謎多き恒星間天体の正体を一歩ずつ解き明かそうとしている。 

References: Science.nasa.gov[https://science.nasa.gov/blogs/3iatlas/2026/01/27/nasas-tess-reobserves-comet-3i-atlas/]

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