ニューヨークのケープペンギン、寒すぎて室内に避難
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アメリカ・ニューヨーク州にあるロングアイランド水族館では、記録的な寒波により20羽のケープペンギンが屋内に避難した。

 北極からの寒波で気温がマイナス29度まで低下し、アフリカ原産で温暖な気候を好むペンギンたちにとって命に関わる寒さとなったためだ。

 ピョコピョコ、ペタペタと一列になって室内を目指して移動する愛くるしい姿は、微笑ましくもあるが、今年の冬の猛威を如実に物語っている。 

ニューヨークを襲った大寒波

 ニューヨーク州東部の沿岸に位置するリバーヘッドでは、2026年1月下旬、記録的な寒波に見舞われ、気温はマイナス29度を記録した。

 この寒波はニューヨーク市を含む近隣3州におよぶ広い範囲を覆っており、週末まで厳しい寒さが続く見通しだ。

 米国国立気象局(NWS)は、冷たい強風による低体温症の危険を警告し、適切な対策を講じるよう呼びかける「寒冷注意報」を発令した。

 人間にとっても過酷な状況は、水族館で暮らす動物たちにとっても同様だ。

 リバーヘッドにあるロングアイランド水族館の広報担当者は、飼育している20羽のケープペンギンの群れを、緊急措置として屋内に移動させたと発表した。

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アフリカ生まれのペンギンは寒さに弱い

 ペンギンといえば冷たい氷の上で暮らす姿を想像しがちだが、種類によって適応した環境は大きく異なる。

 今回避難したケープペンギンは、南アフリカ共和国やナミビアなど、アフリカ南西部の沿岸部や島々を原産とする種だ。

 ペンギンたちは温暖な砂浜で日光浴を楽しむような生活を送っており、南極のような極寒の環境には適応していない。

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 水族館のガイドラインでは、屋外の気温がマイナス1度を下回った場合、季節を問わず屋内に避難させる決まりになっている。

 ケープペンギンは体温調節のために目の上にピンク色の皮膚が露出した部分があり、暑い時にはそこに血液を送って熱を逃がす仕組みを持つが、氷点下の寒波に対しては無防備だ。

 現在、ケープペンギンは野生での個体数が激減しており、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危惧種に指定されている。そのため、飼育下にある個体の健康管理は極めて重要である。

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一列に並んでピョコピョコ、無事全員が避難

 ペンギンたちは普段から夜間は屋内で過ごしているため、今回の避難もスムーズに行われた。

 飼育員たちはペンギンを退屈させないための遊び道具を用意し、一緒に過ごす時間を増やしている。

 室内施設には巣箱や専用のスイミングプールがあり、ペンギンたちはリラックスした様子で過ごしている。

 水族館の来館者は、ペンギンたちが屋内にいる間もガラス越しにその様子を見学できる。

 移動の指示に従って、階段をピョコピョコと一列にならんで降りていくペンギンたちの姿はとても微笑ましいが、内心は「寒すぎんよ、ふざけんな」と思っているかもしれない。

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 ペンギンたちは現在、快適な温度に保たれている室内施設で過ごしている。

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過酷な運命から救い出されたペンギンたち

 この水族館で暮らすケープペンギンたちには、ドラマチックな背景がある。

 2004年、現在の群れの元となった24羽のペンギンたちは、ニューヨークのジョン・F・ケネディ国際空港にて当局に没収された子たちだ。

 当時、ペンギンたちは南アフリカから韓国の動物園へ送られる途中だった。

 しかし、野生動物の国際取引を規制するワシントン条約に基づいた正当な書類が提示されず、不適切な商業取引(実質的な密輸)として差し押さえられた。

 長旅で衰弱したペンギンたちをアフリカへ送り返すことは、命の危険を伴う。

 そこで、アメリカ魚類野生生物局はロングアイランド水族館に保護を要請した。

 水族館はこれを受け入れ、専用施設を建設してペンギンたちを迎え入れた。保護から始まったこの取り組みは大きな成功を収め、現在では多くのヒナが誕生し、種の保存を支える希望となっている。

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