雨の日に傘をさすと片手がふさがってしまうのが難点だが、現代のテクノロジーで解決しようと試みた男性は、ついに空飛ぶ傘を完成させた。
MIT(マサチューセッツ工科大学)の学生、ジョン・スー氏がユーザーのフィードバックをもとに、約2年の歳月を重ね、改良に改良を重ねた結果、ついに自動追尾型の空飛ぶ傘を作り上げたのだ。
まだいくつかの課題は残されているものの、ドローンと最新のセンサー技術を駆使して、暗闇でも追尾してくれるこの傘は、ドラえもんがポケットから出してくれるような、未来の道具へと一歩また近づいた。
近未来的な「空飛ぶ傘」の開発をスタート
雨の中を傘をさして歩くとき、完全に手が自由になることはない。頭に装着するタイプの傘ならすでに販売されているが、もっと未来的で魅力的なやつが欲しい。
そう思ったジョン・スー氏は、自分の頭上で浮遊し、追いかけてくれる「空飛ぶ傘」の開発を思いついた。
スー氏は2024年に初めてドローン駆動の傘を製作した。
自作のX型アームを持つクアッドコプター(4つのプロペラを持つドローン)が傘を飛ばし、頭上から雨を防ぐというものだ。
概念実証(アイデアが実現可能であることを示す)の目的は果たしていたが、そこには明らかな欠点があった。
コントローラーで手がふさがってしまう問題
視聴者から、すぐにその欠点を指摘された。それはコントローラーで操作する必要があるという点だ。
片手どころか、コントローラーを操作するため両手を使う必要があり、管理すべきデバイスがもう一つ増えただけだった。
YouTubeのコメント欄には、「手がふさがるなら普通の傘と変わらない」「実用的ではない」という厳しい指摘が相次いだ。
ジョン・スー氏はこれらの意見を真摯に受け止め、続く2年間を、自動で追尾する空飛ぶ傘の開発に費やした。
突破口は最新のカメラセンサー技術
スー氏は、スマホやコントローラーを一切使わずに、傘が勝手に自分を追いかけてくる自律型への改造に意欲を燃やした。
まず試したのは、人工衛星を使った位置情報システムであるGPSによる追跡だ。
しかし、GPSの精度は3mほどのズレが生じてしまうため、頭上を正確にカバーするには不十分だった。
そこで導入したのが、光の反射を利用して距離を測る「ToF(Time-of-Flight)カメラ」という特殊なセンサーだ。
このカメラがユーザーの頭の位置をリアルタイムで特定し、小型コンピューターのラズベリーパイ(Raspberry Pi)が飛行制御を計算する。
プログラミングには、スタンフォード大学でコンピューターサイエンスを学ぶ友人のヘンソン氏も協力した。
3Dプリンターで自作した折りたたみ機構
技術的な課題は追跡システムだけではなかった。持ち運びやすさを追求するため、傘の骨組みを一から設計し直す必要があったのだ。
ジョン・スー氏は、カーボンファイバーを配合した特殊なナイロン素材を3Dプリンターで出力し、頑丈で軽量なパーツを制作した。
特にこだわったのは、4つのプロペラアームがワンタッチで展開し、使用時にがっちりと固定される折りたたみ機構だ。
これにより、使用しないときは三脚ほどのサイズにまでコンパクトに収納できるようになった。
見た目もSF映画に登場するガジェットのように洗練され、第一世代の不格好さは消え去っていた。
358日の苦闘の末に訪れた歓喜の瞬間
開発は困難を極めた。原因不明の機材トラブルでメイン基板が故障したり、数えきれないほどの飛行テストで墜落を繰り返したりと、何度も挫折の危機に直面した。
学業による中断を経て、プロジェクト開始から358日目。ついにその時は訪れた。
夜の暗闇の中、手を離しても傘はふわりと浮かび上がり、ジョン・スー氏が歩き出すと、まるで意志を持っているかのようにピタリとついてきたのだ。
激しい雨の中でのテストでも、ドローン傘は安定して飛行し、彼の頭上を守り抜いた。
完璧をめざすより、完成させることの大切さ
まだ他にも課題はある。風や激しい雨は軽量なドローンのバランスを簡単に崩してしまう。バッテリー寿命によって頭上に浮かんでいられる時間も限られる。
また、騒音の問題や、公共の場で人々の頭上でプロペラが回っているという危険な現実もある。
コメント投稿者たちは、このようなデバイスがどれほど安全で、社会的に受け入れられるのかを疑問視した。
スー氏もそれを否定していない。しかし彼は、「完璧主義に陥って、完成させることを止めてはいけない」と語る。
大切なのは、想像したものを現実の形にすることなのだ。
この空飛ぶ傘は、未来のテクノロジーの可能性を示したシンボルだ。 いつの日か、誰もが、空飛ぶ傘を追尾させながら街を歩く姿が当たり前になる日が来るかもしれない。
それまでは、どうしても両手を使いたいのなら、ハンズフリー対応の頭にかぶる傘を装着することにしよう。
Amazon : [HUIKKJP] 両手が使える かぶる日傘 釣り傘 かさ帽子 撮影 屋外作業に 農作業帽子 折り畳み式 晴雨兼用











