フロリダが寒すぎてイグアナが木から落ちる事案が相次ぐ

フロリダが寒すぎてイグアナが木から落ちる事案が相次ぐの画像はこちら >>

 2026年2月、記録的な寒波に見舞われたアメリカ・フロリダ州で、侵略的外来種のグリーンイグアナが寒さで動けなくなり、木から落下する現象が相次いだ。

 フロリダ州は年間を通して温暖な気候だが、熱帯に属する南部のマイアミでも朝方の気温が2.8℃となった。

 SNSでは地面に横たわり身動き一つしないイグアナの動画が数多く拡散されているが、彼らは決して死んでいるわけではない。

 爬虫類は低温によって一時的な仮死状態に陥るため、凍っているように見えても生きている場合が多い。

 この事態を受け、州当局は市民に対し、回収拠点へ持ち込むよう呼びかける異例の対応を実施した。 

 この官民挙げた捕獲作戦が行われた結果、5,000匹を超えるイグアナが当局によって回収されたという。

寒波に見舞われたフロリダでイグアナが「凍る」事案が発生

 2026年2月、フロリダ州では大寒波に襲われた。通常、このエリアの2月初旬の最低気温は、寒くても17℃前後。それが一桁、しかも2℃台になったのは、これは2010年以来とされる歴史的な寒さなんだそうだ。

 ちなみにオーランドではなんとマイナス4.4℃を記録した。これは2月1日という日付としては、1890年代以降で最も低い気温とされている。

 この寒さで、文字通り「木から落ちる」グリーンイグアナが続出している。寒さで動けなくなったイグアナたちが、そこいらじゅうに落ちているのだ。

[画像を見る]

当局は「特例措置」として市民による回収を認める

 この事態を受け、フロリダ州魚類野生生物保護委員会(FWC)は、市民に対し寒さで動けなくなったイグアナの回収と持ち込みを呼びかける臨時対応を実施した。

 まず前提として、今回の現象の中心となっているのは、都市部を中心に大量に定着しているグリーンイグアナである。これらはもともと人間によって持ち込まれた外来種で、野生化した個体が増えたことで環境や生活への影響が問題となってきた。

 フロリダではグリーンイグアナは侵略的外来種とされており、捕獲後に別の場所へ移して自然に放す行為は法律で禁止されている。一方で、私有地などでは人道的な方法による駆除は通常から認められている。

 今回の寒波では、寒さで動けなくなった個体に限り、2月1日と2日の2日間、市民が回収して指定されたFWCの回収拠点へ直接持ち込める臨時措置が取られた。

 持ち込まれたグリーンイグアナは、職員の確認を経て、州の規定に基づき人道的な方法で処分されるか、認可を受けた業者へ引き渡された。

 侵略的外来種の拡散を防ぐ観点から、回収されたイグアナが自然に戻されることはなく、個人が飼育したり、別の場所へ放したりする行為も認められていない。

 臨時措置終了後は、再び州の規則に従った対応が求められ、生きた個体を移送したり自然に放したりすることは禁止されたままとなっている。

サルモネラ菌保持の恐れがあるため要注意

 テレビのニュースも、連日この「イグアナ事変」を報じている。地元の捕獲業者ライアン・イスキエルドさんは、2月1日の1日だけで68匹捕まえたという。

[動画を見る]

 彼はプロとして、イグアナを回収する際には、十分に注意して持ち上げるよう住民らに呼びかけている。

 イグアナの口の中にたまっている唾液には、危険なサルモネラ菌が含まれている可能性があるからだ。

 FWCでは、回収する際は保護手袋と長袖・長ズボンの着用を心がけ、密閉された布袋に入れた上で、さらに鍵付きの容器に入れて施錠するよう指導している。

 インフルエンサーの@stackzさんはイグアナ毛布にくるまっている動画を投稿しているが、よいこは決して真似をしないように!

[画像を見る]

凍っているわけではなく、寒さで動けなくなっているだけ

 FWCによると、このイグアナたちは一見すると凍り付いているように見えるが、寒さで動けなくなっているだけで、厳密には凍っているわけではない。

 爬虫類は変温動物のため、気温が4℃前後まで下がると、エネルギーを節約するために身体機能が大きく低下する。

 これは一時的な休眠状態であり、本当に凍っているかのように外からの刺激に反応しなくなり、木から落ちてしまうこともある。

 だが気温が上がるにつれ、多くの個体は再び動けるようになるため、当局は「死んでいると決めつけないように」と注意を呼びかけている。

[画像を見る]

 「低温による仮死状態となった」イグアナの回収を行っている「イグアナ・ソリューションズ」のジェシカ・キルゴアさんは、次のように語っている。

途中で目を覚ます可能性もありますが、彼らは侵略的外来種なので、食べてもらうために引き渡します。

イグアナを別の場所に連れて行って助けることも、法律で禁止されているんです

[画像を見る]

2日間で5,195匹の仮死状態のイグアナを回収

 FWCによると、今回の寒波で木から落ちたり動けなくなって捕獲されたりしたイグアナの数は、2日間で5,195匹と発表されている。

外来種であるグリーンイグアナは、フロリダの環境と経済に悪影響を及ぼしています。

5,000匹を超える外来種をこれほど短期間で除去できたのは、FWCの複数の部署や事務所の多くの職員、パートナー団体の尽力によるものです。

そしてもちろん、自宅の敷地から低温で麻痺したイグアナを回収し、持ち込んでくださった多くの住民の皆様の協力のおかげなのです

 FWCはこのように述べるとともに、引き渡されたイグアナのうち、許可証保有者への譲渡ができなかったものは、訓練を受けた職員によって「人道的に」殺処分されたことを明らかにした。

 フロリダのグリーンイグアナは、1960年代にペットとして持ち込まれたものが野生化し、爆殖した個体群である。

 現在の個体数に関し、正確な数字は出ていないが、おそらくフロリダ南部だけでも、100万匹以上が生息しているとみられている。

 そのうちの5,000匹は本当に微々たる数字であり、焼け石に水ではあるのだが、短期間にこれだけのイグアナを駆除できたことは、FWCにとってある意味タナボタ的な出来事だったと言えるだろう。

[画像を見る]

 実はフロリダでは、これまでにも寒さで仮死状態になったイグアナが木から落ちる事案が繰り返し発生している。

 カラパイアで紹介しただけでも、2010年2020年2023年と3回記事にしている。気候変動の影響

[画像を見る]

 今回の特例措置を知った人たちからは、ネット上でさまざまな意見が寄せられていた。

  • プエルトリコでは、冷凍のイグアナの肉が売られているよ
  • まあ、楽に捕まえられる方法だよね
  • 車の中で温まると目を覚ましちまうんじゃないか?
    • だからヒーターはつけないんだよ。もしくはSUVじゃなくて、ピックアップトラックを使うとかね
  • 爬虫類は得意じゃないけど、イグアナたちが気の毒になるよ。どこか暖かくて冬眠できる場所はないのかな。はは。なんだかクマみたいだな
  • これは本当に悲しい。私が住んでいる地域では、イグアナはペットであって食べ物じゃない。うちでもイグアナを飼っているけど、犬みたいに懐いて可愛いんだよ!
  • かわいそうだよね。自分はフロリダ在住じゃないけど、もし見つけたら、暖かい場所に入れて助けようとすると思う
  • お願いだからイグアナを保護施設に連れて行かないで。あそこでは、政府の駆除プログラムで殺されてしまうの。箱の中で解凍させたら、箱に入れたまま元の場所に戻して
  • 悲しすぎるよ
    • いや、これはいいことだ。ポジティブな話だよ。イグアナは侵略的外来種で、在来の野生生物を壊滅させているんだから
    • こいつらは侵略種なんだ。
      既存の生態系への思いやりもなく、感情だけで泣き叫んでる動物愛好家もいるけど、これは正しいことなんだって
  • 誤解しないでほしい。何かが死ぬのは、どんなものであっても悲しい。でもこいつらは、フロリダを故郷にしている動物たちに害を与えている。人間が持ち込んだ結果なんだ
  • イグアナを殺すなら、素早く、確実にやってほしい。これも生き物なんだ。そして、ここに連れてきたのは俺たち人間だ。駆除が必要なのはわかるけど、どうか残酷にはならないでほしい。爬虫類好きとして、ひどい扱いを見るのは胸が痛む
  • まるで彼らには生きる権利がないかのように言うんだね。侵略的外来種だって? 人間だってそうじゃん
  • 人間だってこの場所に来てから、イグアナよりも多くの在来種を追い出して殺してきたくせに
  • みんなニュースを見ろよ。侵略的外来種なんだから、イグアナを捕まえて、どこかに放すのは違法なんだよ
  • フロリダでは最近、認可された業者が州外のペット希望者に販売できるようになったらしい。見た目のいいやつは、テネシーあたりでペットとして生き延びるかもな

[画像を見る]

寒波は去ってもイグアナとの闘いは続く

 今回の大寒波は、フロリダだけの出来事ではない。アメリカの広い地域が強い寒気に覆われ、その南端がフロリダ半島まで届いたのだ。

 米国立気象局(NWS)マイアミ事務所は、強い寒冷前線の通過後に、北西風に乗って「乾いた北極由来の大陸性の寒気」がフロリダ半島を南下して来た、と説明している。

 フロリダ上空の雲の様子を見てみよう。まるで西高東低の日本列島のように、筋状の雲に覆われた「冬型の気圧配置」になっている。

[画像を見る]

 NWSの予報によると、南フロリダは寒波のピークを越え、数日かけて平年並みに戻りつつあるそうだ。

 最低気温は一時的に1桁台まで下がる日があるものの、日中は20℃前後まで上がる見込みで、強い冷え込みが連日続く状況は峠を越したようだ。

 イグアナが凍って木から落ちるほどの低温は、今後は解消されるはず。彼らにとってはホッと胸をなでおろしたい状況だろう。

 グリーンイグアナは草食性の大型のトカゲであり、作物や花壇を食い荒らし、生態系のバランスを崩す被害が指摘されている。

 さらに堤防や住宅周辺に巣穴を掘ることで、護岸の損傷や地盤の崩れなどインフラ被害を引き起こす。糞による衛生問題やサルモネラ菌なども無視できない。

 そのためフロリダでは、グリーンイグアナは保護対象ではなく、私有地などでは人道的な方法による駆除が認められている。。

 残虐な扱いは禁止されているものの、捕まえた個体を別の場所へ運んで放すこともできない。

 寒波は去っても、フロリダの住民と侵略的外来種イグアナとの戦いは、今後もまだまだ続くのだ。

[動画を見る]

References: Iguanas Drop From Florida's Trees as Record Cold Blasts Southern US[https://www.sciencealert.com/iguanas-drop-from-floridas-trees-as-record-cold-blasts-southern-us]

編集部おすすめ