2026年1月上旬、たった1匹で1.6km以上の荒波を泳ぎ、アメリカのアルカトラズ島に渡ったコヨーテに関する続編情報が入った。
サンフランシスコ湾にあるアルカトラズ島はかつて連邦刑務所があったことから監獄島として知られているが、この島でコヨーテの存在が確認されたのはこれが初めてのことである。
上陸直後、極寒の海を越えて疲れ果て、岩場で激しく震えていた痛々しい姿が目撃され、安否が危ぶまれていたが、約2週間が経過した現在、コヨーテは驚くべき回復を見せ、見違えるほどたくましく元気に暮らしているという。
死の淵から生還。驚異的な回復を遂げたコヨーテ
2026年1月初旬、観光客が撮影した動画には、海を泳いで上陸を果たすと、ずぶ濡れで足元をふらつかせ、なんとか島に這い上がるコヨーテの姿が映っていた。
専門家も、体温とエネルギーを使い果たしたこの個体が、仲間が1頭もいない孤島で生き延びることは難しいのではないかと懸念していた。
しかし、その後の調査で確認された写真には、以前よりも体格が良くなり、落ち着いた様子で島を歩き回る健康的な姿があった。
約20年にわたりコヨーテを観察してきた博物学者のジャネット・ケスラー氏は、彼は驚異的な回復力を見せ、非常に元気に過ごしていると報告している。
監獄島には豊富な餌が存在していた
アルカトラズ島で働くエイダン・ムーア氏によると、このコヨーテは現在、多くの鳥が巣を作る広場の近くに縄張りを置いているという。
島にはドブネズミやハツカネズミも生息しているが、今は繁殖のために集まっている野鳥たちが、コヨーテにとって格好の栄養源となっている。
島のあちこちで鳥の残骸が見つかっており、コヨーテは到着した時よりも明らかにふっくらとした体つきになったという。
通常コヨーテは効率的な狩りのために群れを形成するが、豊富な食材があるため、単独でも十分に栄養を摂取できていると専門家たちは語る。
一代限りの孤独な帝王となったコヨーテ
その後の調査により、このコヨーテはオスであることが判明した。
本来、コヨーテは家族単位で強い絆を持ち、群れで暮らす動物だ。しかし、アルカトラズ島に彼の同族は存在しない。ここで家族を育んだり、仲間と出会ったりする機会は、今のところ皆無と言っていいだろう。
彼こそは、国立公園局が1972年にアルカトラズ島の管理を開始して以来、初めて記録された「島に住まうコヨーテ」なのだ。
彼は家族を持つことと引き換えに、誰にも脅かされることのない「孤独な帝王」の座を手に入れたのである。
カリフォルニア大学バークレー校のクリストファー・シェル博士は、彼が本土での激しい縄張り争いに敗れ、この島へ逃れてきた可能性を指摘する。
サンフランシスコ市内の縄張りはすでに飽和状態で、若い個体が生き残る道は極めて険しい。
このコヨーテは、命の危険が絶えない本土での競争を捨て、たったひとりで生き抜くという「究極の自由」を選んだのかもしれない。
移送か?残留か?コヨーテの未来
国立公園局(NPS)は現在、海鳥の繁殖地への影響を調査するため、このコヨーテの監視を続けている。
あまりに鳥を食べ過ぎて生態系のバランスを崩すようなら、本土への移送も検討されるという。
しかし、シェル博士は、移送先で慣れない道路を渡って車に撥ねられるリスクを考えれば、このまま島での定着を見守るべきだと主張している。
一代限りで1匹で終わるのであれば、さほど生態系に影響を及ぼさないのではという見方もある。
コヨーテは、北米大陸のあらゆる環境に適応してきた驚異的な能力を持っている。荒波を越える航海術と、未知の環境で生き抜く柔軟な精神。
命をかけて泳ぎ続け、たどり着いた監獄島でひとりたくましく生きるコヨーテ。
References: Sfstandard[https://sfstandard.com/2026/01/27/coyote-swam-to-alcatraz-san-francisco/]











