アメリカ、ラスベガスの閑静な住宅街にある一軒家で生物実験室が発見され、連邦捜査局(FBI)が1,000点を超えるサンプルを押収する事態となった。
2026年1月31日に行われた強制捜査では、現場から正体不明の液体が入った大量の容器や実験器具が次々と押収されている。
この物件の所有者は、過去にエボラ出血熱などの病原体や1,000匹ものマウスを隠し持っていた違法ラボの運営者と同一人物であることが判明しており、組織的な犯罪が継続されていた疑いが強まっている。
閑静な住宅街に突如現れた特殊部隊
事件発覚のきっかけは、ネバダ州ラスベガス市警察に寄せられた「住宅内にバイオラボ(生物学研究所)が設置されている」という情報提供だった。
当初は建物に関する条例違反の疑いも持たれていたが、市職員が建物内を検査したところ、家庭用とは思えない大量の医療材料や専門的な器具を発見したことで、警察に相談したのだ。
警察は、2026年1月31日の朝、速やかに捜索令状を執行する判断を下した。
閑静な住宅街に完全武装した特殊部隊(SWAT)が投入され、現場は騒然となった。
その結果、住宅内に違法な研究施設が存在することを確認した警察は、事案の重大さを鑑み、捜査の主導権をFBIを中心とする「合同テロ捜査タスクフォース(JTTF)」へと引き継いだ。
現場には、猛毒や細菌などの危険物質を専門に扱う危険物処理班も出動し、数日間に及ぶ徹底的な証拠品の回収作業が開始された。
ガレージに隠された不気味な実験室
ラスベガス市警察のケビン・マクマヒル保安官によると、違法な実験設備は主に施錠されたガレージ内に隠されていた。
捜査員が踏み込んだその場所には、正体不明の液体が入った無数のシリンダーを詰め込んだ複数の冷蔵庫や冷凍庫が並んでいた。
さらに、1約3.8リットルサイズの巨大な容器に入った液体や、物質を高速回転させて成分を分離する遠心分離機など、一般的な家庭には到底あるはずのない高度な実験器具が所狭しと置かれていた。
FBIラスベガス支局のクリス・デルゾット特別捜査官は、回収されたサンプル数が1,000点を超えていると発表した。
現場で見つかった液体は多様な色と組成をしており、その正体はまだ特定されていない。
これら膨大な証拠品は現在、全米各地にあるFBIの分析施設へ移送され、専門家による解析が進められている。
過去の異常な事件との深い繋がり
捜査が進むにつれ、この物件の背後にある不気味な事実が明らかになった。
FBIの調べにより、この家の所有者が2023年にカリフォルニア州リードリーで摘発された「違法バイオラボ事件」の主犯、中国籍のジア・ベイ・ジュ(別名:デビッド・ヘ)氏であることが判明したのだ。
過去のバイオラボ事件では、無許可の施設内でエボラ出血熱、HIV、マラリア、結核、新型コロナウイルスとラベル付けされた極めて危険な病原体がずさんな管理下で発見されている。
さらに衝撃的だったのは、その現場で1,000匹近いマウスが劣悪な環境で飼育され、多数の死骸が見つかったことだ。
今回のラスベガスの現場から押収された物品は、カリフォルニアの事件で見つかったものと外見が酷似している。
当局は、主犯格が拘束されている間も、同じ組織が場所を変えて活動を継続していた疑いが極めて強いとみている。
現場でこの住宅の管理を任されていた55歳のオリ・ソロモンは、有害廃棄物を無許可で排出した容疑などで逮捕・起訴され、身柄を拘束された。
国家安全保障に関わる重大事案へ
今回の摘発を受け、アメリカ国内では国家安全保障と公衆衛生の両面から懸念の声が高まっている。
連邦議会の一部では、病原体を扱う民間の研究施設に対する監視を強化する法案の再提出を求める動きが加速している。
FBIのキャッシュ・パテル長官は、回収された1,000点のサンプルの分析結果次第で、さらなる追加起訴を行う方針を示している。
現在、FBIは関連する他の20か所の拠点についても捜索を行っており、国際的な背景も含めた巨大な闇の全容解明に全力を挙げている。











