アメリカ・ニュージャージー州で深夜のパトロールを行っていた警察官が、「夜勤」に励むビーバーに遭遇した。
午前4時、静まり返った住宅街の横断歩道を、自分の体よりも長い木の枝をもくもくと運搬するその姿は、同じく深夜の任務に当たる警察官の心には、ビーバーに対する強い共感と敬意が芽生えたという。
警察官はパトカーを止め、ビーバーが横断歩道を渡り終えるまで、しっかりと見守った。
深夜のパトロール中に、謎の作業者と遭遇
ニュージャージー州のイブシャム・タウンシップ警察に勤務するイアン・トレイバー巡査は、2026年1月中旬の午前4時ごろ、住宅街をパトロールしていた。
トレイバー巡査はゆっくりとパトカーを走らせていたため、視界の端にある歩道の縁石から何かが動く気配に気がついた。
彼は最初、それがスカンクだと思ったという。北米に生息するスカンクは、危険を感じると強烈な悪臭を放つ液体を噴射するため、トレイバー巡査は慎重にパトカーをバックさせて距離を取った。
車を止め、様子を見ていると、毛皮に覆われたその物体は、長い木の枝を引きずりながら横断歩道をゆっくりと渡り始めた。
なんどこの動物は、野生のビーバーだったのだ。
生態系を支える森のエンジニアの重労働
北アメリカ(アラスカ~フロリダ北部)にはアメリカビーバーが生息しており、ニュージャージー州にも存在する。
ビーバーは夜に最も活発に活動する夜行性の哺乳類だ。鋭い前歯で樹木を倒し、泥や石を組み合わせて川をせき止めるダムを建設する習性がある。
その建築能力から森のエンジニアと呼ばれ、ビーバーが作ったダムは豊かな湿地を生み出し、多くの生物に生息地を提供する重要な役割を果たす。
目撃されたアメリカビーバーも、近隣の森でダムの建設や補修に使うための材料を運び出している最中だったようだ。
自分の体長を超える長さの枝を夜中に懸命に運ぶ姿は、まさにプロの職人だ。
ビーバーに仲間意識が芽生えた警察官
人々が寝静まった時間に黙々と重労働をこなすビーバーの姿は、同じく深夜の街を守るトレイバー巡査の心に強く響いたようだ。
特に、自分の体よりも長い枝を引きずりながら、律儀に横断歩道を渡っている姿には深い感銘を覚えたという。
ビーバー自身はパトロールカーの存在など全く気に留めていなかったかもしれないが、動物好きの巡査は、夜に任務を全うする者同士として、仲間意識が芽生えた。
夜のパトロールでは予期せぬ発見や経験がつきものだが、この働き者のビーバーとの完璧なタイミングでの遭遇は、トレイバー巡査にとって勤務中の最高のハイライトとなった。
ビーバーが安全に横断歩道を渡り終えるのを最後まで見届けた後、トレイバー巡査は再びパトロール任務へと戻っていった
ビーバーもまた、無事に目的地へ建材を届け、自らのダム建設という大仕事を完遂したことだろう。











