75歳のコアホウドリの「ウィズダム」が毎年のように巣作りしている、ミッドウェー環礁国立野生生物保護区の営巣地。
残念ながら、今シーズンはウィズダムの産卵は確認されなかったが、現在この営巣地では次々と卵が孵り、可愛いヒナたちの姿が確認されるようになっている。
今回はそんな愛くるしいヒナたちと、子育てに奮闘する親鳥たちの様子を見てみよう。
ミッドウェー環礁のコアホウドリのヒナが次々に孵化
1月になると、ミッドウェー環礁にある営巣地では、次々とコアホウドリのヒナたちの姿がライブカメラにも捉えられるようになる。
下のキャプチャ写真の真ん中には、ヒナとその世話をする親鳥の様子が写っている。周囲にはまだ卵を抱いているコアホウドリたちの姿がたくさん見えると思う。
あと1カ月もすれば、この営巣地はたくさんのヒナたちが餌をねだる声で、これ以上ないくらいにぎやかになるだろう。
米国魚類野生生物局(USFWS)によると、ミッドウェー環礁では、クロアシアホウドリとコアホウドリが同じ繁殖地で多数営巣している様子が確認されている。
今シーズン(2025~2026年)のそれぞれの巣の数として、クロアシアホウドリが28,246個、コアホウドリが589,623個が報告されているそうだ。
これは今まで記録された中では、クロアシアホウドリは過去2番目、コアホウドリは過去4番目に多い数だという。
下はボランティアの助けを借りて行われた、巣の数の年次調査の様子だ。一か所一か所、手作業でカウントしている様子がわかると思う。
夫婦で子育てするコアホウドリ
そして下は、生まれたばかりのコアホウドリのヒナが、親鳥のクチバシで毛づくろいされている様子である。
彼らのクチバシは本来、獲物を捕らえるための強力な武器でもあるが、子育ての場面ではヒナの柔らかい産毛を整えるための繊細な道具として使われている。
いとおし気に我が子の毛づくろいをする親鳥と、気持ちよさそうに目を閉じているヒナの姿が何とも愛らしい。
現地で保護活動をしている「ミッドウェー環礁国立野生生物保護区友の会(FOMA)」によると、生まれたばかりのコアホウドリのヒナは、親鳥が吐き戻す「栄養価の高い油分の多い混合物」を食べて育つ。
これは主に部分的に消化されたイカや魚卵などが混ざったもので、非常に栄養価が高いのが特徴だ。
ヒナたちは、最初の約2週間ほどは毎日のように給餌される。その後は親が遠くまで採食に出るため間隔が空き、親の不在が長くなることもあるそうだ。
下は親鳥が吐き戻した食事を口にするヒナの様子。上にどっかりと親鳥の身体が乗って来るのは、少々迷惑そうではある。
ヒナを育てるのは、パパとママ両方の役目である。1羽が巣に残ってヒナを守る一方で、もう1羽が餌を探しに行く。
この時、長ければ数日~数週間も留守にすることがあるという。戻ってきた親は、胃に蓄えたイカや魚などを吐き戻してヒナに与える。
こうして両親が交代でヒナを守り、餌を探しに行き、協力して面倒を見るのがコアホウドリの育児なのだ。
巣に残っている親鳥は、ヒナの毛づくろいを欠かさない。海鳥にとって羽毛の手入れは、単なる身だしなみだけを意味するのではないからだ。
彼らの羽毛は細かくかみ合うことで空気の層を閉じ込めており、この空気が断熱材の役割を果たしている。
親鳥がヒナの産毛を整えるのは、この構造を維持し、体温が逃げるのを防ぐためでもある。
特に生まれたばかりのヒナは体温調節能力がまだ未熟であり、羽毛の状態は生存に直結する問題なのだ。
また、羽毛の手入れは防水性を保つためにも欠かせない。羽毛が整っていれば水は表面で弾かれるが、乱れていると内部まで染み込みやすくなる。
FOMAが公開した映像で見られる毛づくろいは、微笑ましいスキンシップというだけでなく、ヒナが海鳥として生きていくための体を整える重要な行動なのだ。
最高齢ウィズダムは今季卵を産まなかった
さて、気になる御年75歳のウィズダムはどうしているのか?
ウィズダムは、2024年、74歳で新たな伴侶の卵を産んだことで世界中が見守っていたが、残念ながら孵化はしたものの、ヒナは巣立ちを迎える前に死亡してしまった。
ウィズダムは2025年11月、ミッドウェー環礁国立野生生物保護区に戻り、再び巣作りを開始したことが報じられたが、今シーズンは産卵していないそうだ。
とはいえ、現在もウィズダムがこの営巣地にいることは確認されている。
コアホウドリはさまざまな理由で、繁殖をスキップする年があるという。その理由は体調や前シーズンの繁殖の成否、環境条件などいろいろだ。
また、コアホウドリは、繁殖を休む年でも営巣地へ戻る習性があるという。
FOMAは今期のウィズダムについて、次のように話している
コアホウドリは2~3年ごとに繁殖を休むことがよくあり、今回の休みは生活史の一部で、ウィズダムの子育てが終わった兆候ではありません。
ウィズダムは、海鳥の長寿はバランスや回復力、そしてタイミングによって築かれることを私たちに繰り返し思い出させてくれます。
現地のパートナーから新たな情報が得られた際には、引き続き最新情報をお伝えしていきます
ミッドウェー環礁のコアホウドリの卵は1~2月にかけて孵化し、6~7月にはヒナたちが巣立ちのときを迎えるという。
FOMAでは引き続き、ミッドウェー環礁のコアホウドリたちのライブ映像を、24時間体制で配信している。
もしかするとヒナが顔を出す瞬間が見られるかもしれない。ぜひ一度見に行ってみてほしい。
References: Watch an albatross give its brand-new chick a very careful cleanup[https://www.popsci.com/environment/albatross-chick-video/]











