イギリスのイングランド中部で、牧場で飼われていたラマたちが窃盗犯を「私人逮捕」するという事案が発生して話題になっている。
ラマの鳴き声のけたたましさは、「番犬代わり」になると言われるほど。
それに気づいた牧場主が警察に通報。犯人はみごと御用となったそうだ。
牧場に逃げ込んだ犯人を取り囲むラマの群れ
2026年2月2日18時頃、ダービーシャー州サウス・ノルマントンのマンズフィールド・ロード周辺で、タバコが盗まれたという女性からの通報がダービーシャー警察に入った。
警察は容疑者がカーンフィールド・ヒル付近の林の方向へ向かったのを確認し、周辺で捜索と追跡を開始した。
その頃、カーンフィールド・ホール近くにある牧場でも、何やら異変が起きていたという。牧場で飼われているラマたちが、突然騒ぎ始めたのだ。
どうやら犯人の男は、警察の追跡を逃れようとして、牧場のやフェンスを乗り越えて牧草地へと入り込んだらしい。当時敷地内には、8頭のラマの群れがいた。
ラマたちは、日が暮れてから自分たちの空間に誰かが入ってくるのを嫌がるんです。
1頭のラマが犯人に気づき、警戒の鳴き声を発しました。するとラマたちがみんな駆け寄って来て侵入者を取り囲み、一斉に鳴き声を出し始めたんです。
ラマの警戒音は、まるで老人が笑っているような声なんです。暗闇の中で8頭のラマが輪になって彼を囲み、笑い声を上げていたのです
牧場主のハイディ・プライスさんは、その時の様子をこう語る。声に気づいたパートナーのグラハム・オリバーさんが、すぐに犬を連れて様子を見に行ったそうだ。
既に日没後であたりは暗くなっていた。侵入者の男はラマたちに囲まれて途方に暮れており、さらに犬にも吠えたてられて、涙を浮かべるほど怯えていたという。
ちなみにラマの警戒の声はこんな感じ。闇が忍び寄る中、8頭の得体のしれない動物に囲まれてこれをやられたのだから、そりゃあ泣きたくもなるかもしれない。
グラハムさんはすぐに通報すると、男をラマの群れから引き離して、フェンスまで誘導した。男は駆けつけた警察に身柄を拘束されたという。
ハイディさんが仕事から戻ってきたのはちょうどその時で、彼女は自宅がパトカーに囲まれているのにびっくりしたという。
帰宅すると、通りは警察車両でいっぱいで、何が起きているのかまったくわかりませんでした。
すると誰かが来て「あなたのラマはヒーローですよ」と言ったんです。もしラマたちがいなかったら、男はまんまと逃げ切っていたかもしれません。
あるいは牧草地のさらに奥へ進み、5頭のハイランド牛に遭遇していた可能性もあります。どちらにせよ、彼にとって良い結果にはならなかったでしょう
安楽死一歩手前で保護されてきたラマたち
この牧場にいるラマたちは、今から約10年前、閉鎖される農場からハイディさんのもとに引き取られて来たのだそうだ。
当時、ハイディさんにはラマの飼育経験がなかったので、引き取りの話を最初に持ちかけられたときは断ったという。
しかし、引き取り手が見つからなければ安楽死させられる可能性があると知らされ、一時的な預かりとして受け入れることに同意した。
だが彼らの新しい飼い主が見つかることはなかった。こうしてラマたちはそのままカーンフィールド・ホールで暮らすことになり、現在に至っているのだ。
引き取られた当初、ラマたちは人にまったく慣れておらず、触れることもできない状態だったという。
ハイディさんは時間をかけてラマたちの世話をし、彼らが安心できる環境を整えながら信頼関係を築いていった。
そしてコロナ禍の間も、ハイディさんはラマと人が触れ合えるよう訓練を続けた。その結果、現在では人と接することができる穏やかな性格になったんだとか。
ラマたちは今、セラピーアニマルとしても活動しており、精神科看護師のハイディさんと共に、メンタル面でのケアを必要とする患者の支援に関わっているそうだ。
「番犬」ならぬ「番ラマ」の役割を果たす
ラマは常に興味深い動物です。身を守る術は基本的に唾を吐くことだけですが、羊やニワトリを守る能力があることが知られてきて、番犬代わりに使われるようになったんですよ
ラマの鳴き声のけたたましさは、どうやら折り紙付きらしい。
なお、ダービーシャー警察によると、ラマたちの協力で逮捕されたのは30代の男であり、その後保釈されたそうだ。
ちなみに「逮捕劇」の間、ラマたちは唾を吐くことはなかったという。ハイディさんは彼らの紳士的な振る舞いについて、次のように話している。
困難な状況でも、ラマたちは礼儀正しく振る舞っていましたよ。今回はラマたちが私人逮捕をしたようなものじゃないですか。何か表彰されてもいいのではないかと思ってるんですけど











