アメリカ・テキサス州の12歳の少年が、自作の装置で核融合に成功したと発表し世界を驚かせている。
ダラスの学校に通う中学1年生のエイデン・マクミランくんは、共同の実験用工作施設で試行錯誤を重ね、原子が融合した証拠である中性子の放出を確認した。
これまで、世界最年少の核融合ギネス記録の保持者は、テネシー州のジャクソン・オズワルドくんだったが、13歳の誕生日のわずか数時間前だったため、エイデンくんのほうが早い。
もし認定されれば、ギネス記録を更新することとなるだろう。
コロナパンデミック中、8歳で核物理学に目覚めた少年
テキサス州ダラスに住む、現在7年生(日本では中学1年生)のエイデン・マクミラン(Aiden MacMillan)くんが核融合の研究を始めたのは、2020年、わずか8歳の時だった。
世界中が新型コロナウイルスの影響でロックダウンに見舞われていた時期、エイデンくんは周囲が娯楽に時間を費やす傍らで、独学で核物理学の専門書を読み耽っていた。
エイデンくんを惹きつけた核融合は、太陽が輝き続ける仕組みと同じエネルギー反応だ。
水素のような軽い原子同士がくっつき、別の原子に変わる瞬間に膨大なエネルギーを放つ。
これを地球上で再現する研究は「地上の太陽」の実現と呼ばれているが、当時8歳の少年はこの壮大な理論を理解し、自らの手で装置を作る計画を立てた。
そして2年間の調査を経てエイデンくんは本格的な装置の製作に乗り出した。
工作施設で2年を費やし核融合装置を完成
10歳になったエイデンくんは、地元ダラスにある学生向けの非営利工作施設「ローンチパッド(Launchpad)」[https://www.launchpadincubator.org/]で核融合装置の製作を開始した。
ここは3Dプリンターや溶接機などが揃う本格的な実験場だ。
エイデンくんはそこで2年にわたり試行錯誤を繰り返し、装置の試作を重ねてきた。
努力が実を結んだのは、2026年2月初旬のことだった。
12歳のエイデンくんが製作した装置から、ついに中性子が放出された。
中性子とは原子の中心にある粒の一つで、核融合反応が起きた際に外へ飛び出してくる性質を持つ。
この粒の観測は、装置の内部で原子同士が融合したことを示す決定的な証拠となった。
夢のエネルギー「核融合」と原子力発電の違い
エイデンくんが成功させた核融合は、次世代のクリーンエネルギーとして期待されている。
よく混同される「原子力発電(核分裂)」とは、仕組みも安全性も全く異なる。
現在の原子力発電が重い原子を割ってエネルギーを出すのに対し、核融合は軽い原子同士をくっつける。
最大の利点は安全性だ。
原子力発電は反応が連鎖して止まらなくなる「暴走」のリスクがあるが、核融合は装置に少しでも不具合があれば一瞬で火が消えるように反応が止まってしまう。
さらに、数万年も管理が必要な高レベル放射性廃棄物もほとんど出ないため、現在のエネルギー問題の悩みを解決する理想の技術なのだ。
ただし、家庭で使える電力として実用化するには高い壁がある。
最大の課題は、消費する電力よりも多くのエネルギーを取り出す効率の改善だ。
研究機関が巨大施設で挑んでいるこの難問に、12歳の少年が個人レベルで一歩近づいたことは、科学界にとって大きな意味を持っている。
最年少記録を塗り替え、ギネス更新へ挑む
現在、エイデンくんはギネス世界記録への申請を正式に進めている。
これまでの最年少記録保持者は、2018年1月19日に当時12歳で記録を達成したジャクソン・オズワルドくんだ。
オズワルドくんは13歳の誕生日を迎えるわずか数時間前、12歳364日で核融合に成功し、世界を驚かせた。
2026年2月時点で12歳のエイデンくんが、もしこのまま組織に記録を承認されれば、オズワルドくんの記録を日付単位で塗り替え、史上最年少の核融合達成者となる。
8歳で抱いた夢を約4年かけて形にしたエイデンくんの情熱は、未来のエネルギー問題に取り組む大人たちにとっても大きな刺激となっている。











