人差し指が長い男性は脳が大きくなる?胎児期のエストロゲンが脳の進化を促した可能性

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 人差し指が薬指より長い男性は、脳のサイズが大きい可能性があるという。

 英国とトルコの共同研究チームによると、胎児期にエストロゲン(女性ホルモン)を多く浴びるほど人差し指が長くなる傾向があり、人差し指の長さに比例して脳のサイズも大きくなることが判明したという。

 人差し指の長さは、いわば胎児期のホルモンバランスを映し出す鏡だ。この意外な相関は男性にのみ確認されている。

 人類が他の霊長類よりも脳を巨大化させた進化の謎を解く手がかりになるかもしれない。

 この査読済みの研究成果は『Early Human Development[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378378226000022]』誌(2026年)に掲載された。

人差し指と薬指の長さの比率でわかる胎児期のホルモンバランス

 私たちの人差し指と薬指の長さの比率は、2D:4D比(指比)と呼ばれている。

 この比率は、母親のお腹の中にいる妊娠初期(第1三半期)に、胎児がさらされた男性ホルモン(テストステロン)と、女性ホルモン(エストロゲン)の相対的な量によって決まると考えられている。

 一般的に、胎児が男性ホルモンを多く浴びると薬指が発達して長くなり、逆に女性ホルモンを多く浴びるほど人差し指が長くなる傾向がある。

 男性であっても人差し指が薬指に対して長い場合、それは胎児期にエストロゲンの影響を強く受けていた身体的なサインといえる。

 英国スウォンジー大学のジョン・マニング教授は、この分野の第一人者であり、特定のホルモンがヒトの身体形成や特性に与える影響を長年調査してきた。

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男性の頭の大きさと人差し指の長さに密接な相関関係

 マニング教授らは今回、トルコのイスタンブール大学と共同で、新生児225人(男児100人、女児125人)を対象とした調査を実施した。

 赤ちゃんの脳の大きさを推定する指標として頭囲(頭の外周)を測定し、指の比率との関連を分析したところ、男の子においてのみ明確な結果が出た。

 胎児期に女性ホルモン(エストロゲン)の影響を強く受けて人差し指が長くなっている男の子ほど、それに比例するように頭囲が大きく、脳のサイズ(容積や重量)も大きいという相関関係がわかったのだ。

 マニング教授は、新生児の頭の大きさはその後の知能指数(IQ)の高さとも関連していると述べている。

 一方で、女性については指の比率と頭の大きさの間に目立った関連性は見られなかった。

 これは、もともとエストロゲンの影響が強い女性よりも、本来男性ホルモンが優位なはずの男性において、エストロゲンが脳の巨大化という進化に「特殊な影響」を与えてきた可能性を示唆している。

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脳の大きさと知能の関係

 ここで気になるのは、脳の大きさが知能にどこまで影響するのかという点だ。

 実は、脳の容積と知能の関係については長年議論が続いており、最新の科学では「大きさよりも構造やネットワークの質が重要」とする見方が強い。

 2015年、オーストリアのウィーン大学が行った大規模な調査によれば、脳のサイズとIQの間には確かに相関があるものの、その影響はごくわずかだという。

 例えば、男性は女性よりも脳の物理的サイズが大きいが、IQテストの結果に性差はなかったという。

 しかし、これはあくまで人間同士を比較した場合の話だ。

 他の霊長類と比較したとき、人類の脳が格段に大きく進化したのは紛れもない事実である。

 今回の研究で示されたエストロゲンの影響の可能性がある脳の大型化は、人類が知性を発達させる過程でたどった物理的な設計変更の記録と捉えるのが自然だろう。

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大きな脳を手に入れるための進化の代償

 人類が進化の過程で脳を大きくするのと並行して、骨格が華奢になるなど身体全体が女性的な特徴を強めてきたとする説がある。

 これは、エストロゲン化された類人猿(estrogenized ape)仮説と呼ばれている。

 マニング教授は、この進化にはトレードオフ(代償)が伴うと指摘している。

 研究データによると、胎児期にエストロゲンの影響を強く受けて人差し指が長くなった男性は、心臓疾患のリスク上昇や精子数の減少、統合失調症になりやすい傾向といった、生存上の弱点を抱える可能性があるという。

 しかし、そうしたリスクを負ってでも脳のサイズを大きくし、知能を高める仕組みを構築することが、人類が生き残るための生存戦略だったのかもしれない。

 大きな脳がもたらす高い知性が、身体的な生存能力の低下を補ってきたと考えられるからだ。

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指に現れるホルモンの影響は多岐にわたる

 マニング教授のこれまでの研究では、指の比率が健康や能力など、様々な側面と関わっていることが示されている。

 例えば、胎児期に男性ホルモン(テストステロン)を多く浴びた薬指が長い男性は、サッカー選手としての酸素摂取能力が高い傾向にある。

 一方で、薬指が長い男性は、アルコール摂取量が増えやすいという側面も指摘されている。

 また、ウイルスに感染した際の回復力についても、テストステロンの影響を強く受けた「薬指が長い男性」の方が、重症化しにくく生存率が高い傾向にあることが報告されている。

 指の長さには、私たちが生まれる前の発達段階で受けたホルモンの影響が、物理的な記録として刻み込まれているようだ。

 個人差があるのですべての人に当てはまるわけではないが、傾向的にみると、男性の場合、人差し指が長ければ「大きな脳」を、薬指が長ければ「強靭な身体」を優先して獲得してきた可能性があるといえそうだ。

【追記】(2026/02/21)タイトルの人差し指の「人」が抜けていたので訂正して再送いたします。

References: Sciencedirect[https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0378378226000022] / Eurekalert[https://www.eurekalert.org/news-releases/1115522]

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