ニューヨークの「マーチャント・ハウス博物館」で、建物の引き出しの下に隠されていた秘密の通路が発見された。
この博物館は1832年に建てられた歴史的な住宅で、現在はニューヨークの歴史的建造物に指定されている。
引き出しの下の四角い穴には、下の階へと続く梯子がかかっており、大人が一人ようやく通れるほどの約60cm四方の狭い秘密の空間は、建物の外からは決して見えないよう設計されている。
家具の底に隠されていた秘密の空間
ニューヨークのマンハッタンにある、約190年前に建てられた邸宅は、現在マーチャント・ハウス博物館として開放されている。
この博物館の2階にある寝室で、隠し通路が発見された。
最近になって、壁際に作り付けられた重い引き出しの、一番下の段を取り外したところ、床板に長方形の穴が切り込まれているのが確認された。
その穴の奥には、1階の壁の裏側に作られた隠し空間へと続く梯子が設置されていた。
この空間は、建物の設計段階から「部屋の内壁」と「建物の外壁」の間に作られた隙間である。
当時、不当に自由を奪われていた犠牲者たちは、この壁の内部に潜伏し、追っ手の追跡から身を隠していた。
住宅の建設者が隠し空間を作った理由
1832年にこの家を建てたのは、、当時ニューヨークで成功していた帽子商人のジョセフ・ブリュースター氏だ。
彼は富裕層であったが、同時に奴隷制度の廃止を求める活動家でもあった。
ブリュースター氏は家を建てる際、奴隷制度の犠牲者を保護するため、あらかじめ西側の壁を二重構造にして、その内部に人が入れるだけの隙間を組み込んでいた。
完成からわずか3年後の1835年に彼はこの家を手放しているが、その短い居住期間の間、周囲には商人として振る舞いながら、家の壁の中に、秘密裏に人が隠れるための空間を確保していたのである。
助けを求める人々を救った組秘密のネットワーク
壁の中に作られたこの隠し空間は、犠牲者たちが北部の自由な州やカナダへ移動する際、一時的に身を潜めるための中継地点だった。
当時、こうした救済活動は「地下鉄道」という通称で呼ばれていた。これは実際の鉄道を指すのではなく、秘密裏に助けを求める人々を運ぶ活動につけられた名前である。
この活動への協力は当時、重い罰を受けるリスクがあった。
約100年の時を経て、地下空間の存在が明らかに
1835年にブリュースター氏からこの建物を買い取ったのは、銀製品商のシーバリー・トレッドウェル氏だ。
トレッドウェル家は1933年に末娘のガートルードさんが亡くなるまでの約100年間にわたり、この家を家族の住まいとして守り続けた。
一家が豪華な家具に囲まれて贅沢な暮らしを送っていた長い年月の間、壁の裏にある隠し通路の存在に気づいていたのかは分かっていない。
最近、歴史的建造物の保存を専門とする弁護士や建築史家らが詳しく調査を行ったことで、この空間が地下鉄道に関連するものであることが判明した。
専門家は、これほど保存状態の良い活動拠点の発見は非常に珍しく、自由を求めた人々の歴史を証明する貴重な物的な証拠であると述べている。











