フランスのファッションブランド「VETEMENTS」が、ポケットの部分にアイロンの焦げ跡をデザインした新作シャツを約17万円で発売中だ。
あえて日常の失敗を「粋」とするブランドの意図に対し、SNSでは驚きの声が広がっている。
もしアイロンがけの最中に、うっかりシャツを焦がしても、絶望しなくていいのかもしれない。
しれっと着ることで、「これが最先端のファッション風」を装うことができるかもしれないのだから。
日常の失敗を芸術に昇華する高級ブランドの挑戦
フランス・パリを拠点とするファッションブランド「VETEMENTS(ヴェトモン)[https://www.vetements.com/]」は、ルイ・ヴィトンやメゾン・マルジェラなどで経験を積んだデムナ・ヴァザリアが2014年にスタートしたブランドだ。
ストリートウェアを高級感のあるモードに落とし込んだ、オーバーサイズや独特なシルエットが特徴で、2016-17年秋冬にはバレンシアガのデザイナーにも就任し、世界的に注目された。
ヴェトモンが2026年に発表した新作「ホワイト・アイロニング・バーン・グラフィック・シャツ(White Ironing Burn Graphic Shirt)」が、世間を驚かせている。
ゆったりとしたシルエットの白いシャツなのだが、胸ポケットのすぐそばには、アイロンを生地の上にほんの少し長く置きっぱなしにした時にできる、あの茶色い「焦げ跡」がリアルなグラフィックとしてプリントされているのだ。
ハイブランドゆえのお値段約17万円
日常のハプニングをあえて芸術的なデザインとして取り入れる試みだが、注目されたのは独創的なコンセプトだけではない。
販売価格は1139ドル(約17万1500円)というハイブランドならではの設定だ。
これには、ファッションが「洗練された美」の追求から、高度な「皮肉」や「日常の再解釈」へと進化しているのかと、多くの人々が関心を寄せる事態となっている。
この挑戦的なデザインに対し、SNS上ではユーモアあふれる反応が飛び交った。
「うち母さんならこれ、タダで作ってくれるよ」、「これからは夫のシャツを焦がしちゃっても、最先端のファッションって言い張るわ」、「自分の洗濯物の山は、実はハイファッションのアーカイブ(保存記録)だったんだな」などの声が上がった。
感性は人それぞれ、みんな違ってみんないい
ブランド側は、あえて不完全さをデザインとして取り入れる手法を貫いているが、この表現を「前衛的」と受け取るか、「日常的すぎる」と受け取るかは、個人の感性次第だ。みんな違ってみんないい。
ブランド側も万人受けを狙っているわけではない。
ダメージ加工のスニーカーや破れたデニム、ペンキが飛び散ったジャケットなどは、すでにファッションの定番として受け入れられているわけだし、焦げた風も、もしかしたら今後定番になるかもしれない。
とはいえ本物はちょっとお高いので、もう着なくなったシャツで実験的に自分で作るのもありかもしれない。
ファッションはある種の自己満足でもあるので、本当に焦げていても、焦げた風でも、どうどうと着てればそれだけで様になるのかもしれない。











